修行の始まり
「それに信頼は刻一刻と変化するものだ。例えば、裏表無い屈強な戦士がいたとする。その戦士の妹が賊に捕まり、解放条件として仲間を殺すことだったとしたら? 相手が変わらない場合でも、己が変化する場合もある。自分が悪に染まった時、それでも相手は一緒に命をかけてくれるか?」
「つまり信用とは? 妄想だと言いたいの?」頭から煙を上げるフェレンツァ。
「ん〜。その言い方は悲しいかな。信頼、人、自然、何でもなんだけど、完全なものは存在しないと覚えておいて欲しいかな」
「何だよ、ソレ。結局、判断する方法を教えられねーんじゃねーかよっ!」と怒るペチカ。
「ははっ。でも、ペチカ。君は、弱った俺を無条件で介抱して、食事まで与えてくれた。もしも、俺が圧倒的な武力を持つ殺人鬼だったらどうした? そして【心眼】スキルを使ったとき、敵を認識したが、それを使わず…ジッと殺すときを狙う異常者だったら? 君たちは死んでいたよ?」
「そ、それは…。そ、そんなの、誰にもわかんねーだろっ!」
「だから練度を上げる。経験則、感、魔法、スキルなんかを、今よりも少しでも、鍛えるしかないだろ?」
「でも、どーして、レグザルフは、俺達に教えてくれるの?」
「それだよ、フェレンツァ。君は、俺がもっともな説明をすれば、きっと信じてしまう。例え、ペチカが怪しいと助言しても。信じるなとは言わない。常に疑い続けろとも言わない。でも、今の君たちは、純粋無垢な子供であり、宝石の原石であり、そのまま街に行けば…恐らく大人たちの餌食になってしまうだろう。それがわかっているから、つい…。そんな理由だ」
「まだ街に行くなと言うの?」と何か納得したペチカが穏やかな口調で言った。
「二人も…街を目標にしてると言ったね。実は、わかっているんじゃないのかな? 自分たちが、とても脆く弱い子供だと」
「ど、どのぐらいで…強い大人になれるかな? フェレンツァを守りたい。さっきは悪かった。教えてくれ…よ」
「いいよ。期間は…正直、わからない。君たちには、何か日付に拘る理由があるのか?」
「いえ、ないです」とフェレンツァ。
「そうか。では、まず…信じてもらえるように、俺のステータスとスキルを見てもらいたい」
ペチカは訝しげな表情で言った。
「見てくれってことは…隠蔽化する何かを持ってることだろ?」
「はははっ。いいね〜。その調子だよ」
■名前:レグザルフ・デスター(22) ■クラス:魔法剣士Lv43
■ステータス:STR:70、DEX:45、VIT:61、AGI:80、INT:55
■スキル:心眼Lv3、剣技Lv5、体術Lv3、交渉Lv4、暗黒魔法Lv5
「意外と…まともな配分だな…。バランス型?」と感心するペチカ。
「えー。ペチカ、俺にも、教えてよ」と懇願するフェレンツァ。
「って言っても、見せられねーし。だが、このおっちゃんは強いことは確かだ」
「おっちゃん!? 俺まだ…22歳だぞ!? そ、そこは訂正しろっ!!」




