信用
はぐっ! むしゃっ! ごきゅっ! ぼりぼりっ! ごっくん!
昨晩、アレだけ暴食したのに、朝ゴハンの匂いで起き上がると、また名乗らずに食べ始めた。
「フェレンツァ、そろそろ怒ってもいいぞ」
「あ、うん…。まぁ、今回だけは様子をみようか」
後から食べ始めたフェレンツァ達が食べ終わったのに、まだ食べている黒い鎧の男。フェレンツァは、黒い鎧の男が食べ終わるのを根気強く待った。
「ぷはぁっ! く、食ったぁ…」と男は満足げに叫ぶと、フェレンツァたちを見た。
「やっと会話ができそうだな」とジト目のペチカ。
そんな汚物を見るような視線に気が付いたのか、黒い鎧の男は慌てて名乗る。
「お、俺は、剣士のレグザルフ・デスターだ。武者修行中で…行き倒れた。うん。剣の腕なら誰にも負けないと自負しているが…冒険者のように旅は…苦手だ」
「はぁ…。そうですか…。僕はフェレンツァ。こっちはペチカ。二人で冒険しながら街を目指しています」
レグザルフは二人の目標に驚く。
「街? 行き倒れた俺が言うのも可笑しいが、街ならば…5、6日歩けば、どこかの村や街に着くだろう? いや、なるほど…そういういことか…」
「そうですよね。でも…。えっ!? 納得した!?」
「【監視】スキル? 違う…触れてない…本物の【鑑定】スキル?」
ペチカは臨戦態勢になり、フェレンツァを庇うように一歩前に出た。
「おいおい! わ、悪かったよ。降参だ!! 敵意はない!! 俺は【心眼】スキル持ちだ」
レグザルフは両手を上げて謝罪する。二人のやり取りから取り残されるフェレンツァ。
「ペチカ、何を怒ってるの!?」
「こいつは、勝手にフェレンツァの力を覗き見したんだよっ! 相手の能力を盗み見るということは敵意があるってことだ!!」
「だから、待て! そういうことだ。俺はお前らに…レベルやスキルとは無関係な実戦の技術を教える。お前らは…食べ物をよこせ。そして、一緒に旅をしようってことだ」
「うん、わかった」
「フェレンツァ!? この男は信用できないよ?」
「うん。ペチカと言ったな。良い判断だ。では、早速、講義といこう。信頼とは? 一番、君たちの今後を左右する重要な項目だ」
フェレンツァはペチカの方を掴んで座らせる。ペチカの興奮が収まったところで、レグザルフが語り始めた。
「人は何を持って人を信用するのか? 己の経験則によって判断するのが一般的だ。だが魔法で簡単に見分けられないであろうか? 答えはYesでありNoでもある。これは日々、日進月歩する魔法故の悩みだ。その時点で、看破する魔法と隠蔽する魔法どちらを所持しているかで勝敗が決まる」




