フェレンツァの進む道
深い森の中、フェレンツァとペチカは、静かに身を隠していた。100mほど離れた場所にゴブリンという魔のが6体程いるのだ。それを初めて見るフェレンツァにも、弱い魔物だと直ぐに理解できた。
しかし…。フェレンツァは迷っていたのだ。魔物をテイムするフェレンツァには、魔物は敵であると同時に味方なのだ。勿論、魔物からすれば、フェレンツァは、敵であり餌なのだが。
きっと、ここで魔物を倒せば…フェレンツァ・ワールドに建つ神殿の上空に写し出されるだろう。そうなったら…きっとテイムした魔物たちも…良い気はしないだろう…。
すると、王牛の王ギューカクが現れた。ペチカはベトンと異なる魔物に驚き腰を抜かす…。
「主よ、勘違いしないで頂きたい。魔物は魔物だ。種別が異なれば魔物は敵とみなす。例え姿形が似てようとも、ここは別世界…元の我らと何一つ繋がりはない。それにメタフォ殿たちは、魔物を倒すのを嫌がっていましたか? 主のため躊躇なく倒していたのではないですか? 極論を言えば、ガーディアンも魔物なのです。おわかりですか? テイムするに値する魔物をテイムすれば良いのです。狩るときは躊躇なく狩ってください。それにより我らの忠義が下がるなどと考えるられる方が、我らにとって信頼されてないと思わざるを得ない」
「ありがとう。ギューカク…目が覚めたよ」
ギューカクは無言で頷き光の粒子となり消え去った。
「ペチカ。最初から躓いちゃってごめんね。ここで見てて」
「えっ!? いくら弱いと言っても…って、待って!!」
ペチカは、フェレンツァが混乱しているのではないかと、慌ててしまう。
ペチカが体勢を整える前に、フェレンツァは、大きな樹木の幹を垂直に歩いて登っていく。しかもその途中でフェレンツの姿は消えてしまった。
「えっ!? ど、どうなってるのあれ?」と、慌てながらも必死にフェレンツを探す。
そして「ギャフィッ!!」とゴブリンの断末魔が聞こえた。ペチカが目を向けると既に3体のゴブリンが倒されていた。そこにスッとフェレンツァの姿が現れる。ギョッと驚くゴブリンの急所を狙い澄ましたように一撃でゴブリンを倒す。残り2体は、仲間を見捨て背を向けて逃げる。
「フェレンツァ!! 深追いは駄目だよ!!」とペチカが声を上げる。
しかし、逃げ出したゴブリンは、途中でバタリと倒れてしまう。
「っ!? どうなってるの??」
ペチカはフェレンツァのもとに駆け寄り、ペタペタと体を確認する。
「け、怪我はない? 駄目だよ、勝手に突っ込んだら! もう…心配しちゃったよ…」
薄っすらと涙を浮かべるペチカに、「ごめん…」と一言謝るフェレンツァ。
「もう…何がどーなっているか、説明してよね」
説明を聞いた後、ペチカは言った。
「テイマーも規格外だけど…。フェレンツァは、【暗殺者】ギルドに入った方が良いかも」
「えっ!? 暗殺者とか…怖いんだけど…。ほら、お母さんに、戦いの無い世界で、ゆっくりまったりと生きるように言われてるし…」




