階層の世界
ベネツィオが、魔神エンディファルスに戦いを挑もうが、イーノーベを倒そうが、世界の終焉は決まっていたのだ。
世界大戦、世界飢饉、人口の爆発的増加、世界大戦による北大陸の魔神エンディファルス復活、”十字路の鍾乳洞”の”悪魔”の復活、層の支配者の死亡、イーノーベの暗躍阻止。
最低でも、これらを全て…解決しなければ、人類に未来はなかった。
階層の世界…。この世界は層になっている。下から順に、魔界・亜人界・人間界・精霊界・神界となる。そんな階層を支える…層の支配者カーネルが死亡したため、各階層が崩壊してしまう。最も甚大な被害を被ったのは、人間界だ。
時系列で説明する。
南大陸が北大陸へ進軍すると同時に、神聖国ノ−ブレディッシュの教皇メセチェフィコは、”十字路の鍾乳洞”の”悪魔”を復活させてしまう。
北大陸にたどり着いた南大陸の連合軍は、魔界と化した…北大陸に驚愕する…。そして、北大陸で生き残った僅かな人間たちと共闘し、”悪魔”を討ち滅ぼそうとするのだが…。戦争よりも遥かに多い犠牲者を出す結果となったが、一向に…元凶である”悪魔”に近づくことすら叶わなかった。
そんな中、南大陸でも動きが合った。レジスタンスである層の支配者カーネルが…連合軍に捕縛され…こともあろうに…処刑されてしまったのだ…。そうならないように、イーノーベが保護する予定だったが…ベネツィオにより、滅ぼされていた…。
しかし、支配者であり不老不死なはずだ。だが、層の支配者だけは異なっていたのだ。その管理する対象が余りに強大で広大な…層という世界そのもの。本来であれば、神が管理するべきものなのだが…魔界からのクレームが有り、中心である人間界で管理することとなる。人間では…例え支配者となっても、不老不死という力を手放さなければ、管理しきれなかったのだ。
層の支配者が死んだことにより、各階層が崩壊を始めたのだ。人間界の上層階である精霊界が真っ二つに割れ、片割れが…人間界の北大陸に墜ちたのだ。その膨大なエネルギーは、死の暴風となり、地上にある全てを吹き飛ばした。また大小様々な層の欠片は、人間界の海に墜ち…その度に、雲に届く程の高さの津波となり、死の暴風から奇跡的に逃げ延びた生命を完全に死滅させた。
また人間界の下層階である亜人界が、人間界を突き抜けた。人間界の生物は…”十字路の鍾乳洞”の”悪魔”たちを残し死滅したが、そこに精霊界と亜人界の生命が流れ込み、各陣営が己の存続をかけて戦いが始まったのだ。そして…世界が混沌とに包まれる。
今、ベネツィオは、破壊神であり、打倒した魔神エンディファルスを取り込んだ…魂だけの状態であった。
階層の世界の惨状を重くみた各層の代表が集まり、世界の修復に耐えられる…生贄のような神を作り出すべく…階層の神を作り出すべく、呪われた契約を交わそうとしていた。
「ベネツィオの願いは…。フェレンツァを別世界に転移させること。そして、転生に耐えられるであろう…王宮魔法使いフィプスアロー、聖女アリス、竜族ラグラシシスを別世界で、フェレンツァと巡り合わせることでよろしくて?」
「はい…。それと、もう1つ…我儘をお許しください」
「どんなことでしょうか?」
「今、わたしの息子が…強大な敵と戦っています。助太刀させてください…」
ここに集まった代表者たちは、決して悪でも鬼でもない。生贄のような神になることに何一つ文句を言わないベネツィオの小さな願いを受け入れた。
「ありがとうございます。しばらく…席を外させて頂きます…」
そして魂は音もなく消え去った…。




