覚醒のとき
フェレンツァは震えた。ビトン達たちの話に出てきた名前。うさ角…ダンモフ…。お母さんが、お母さんと、一緒に旅をした…魔物たちだ。
「いでよ、ネコミっ!」何となく、そんな呼び方だったら、出てくれるのかなと思ったのだ。
ボフンッ!! 煙と共にネコミが出現した。
「イミュー、イミュー」(お前の中、とても暖かい。友達も沢山できたぞ)
「いでよ、うさ角!」「いでよ、ダンモフ!」「いでよ、メタフォ!」「いでよ、砂スラ!」「いでよ、へびっちょ!」
ボフンッ!! ボフンッ!! ボフンッ!! ボフンッ!! ボフンッ!!
「キュッ!」(フェレンツァ!! 会いたかったよ!!)
「モプー!」(大きくなったね。寂しかったでしょ? これからはずっと一緒だよ)
「ワン!」(ベネツィオ子、フェレンツァよ、我が剣は主と共に…)
「サラ!」(ご主人様。行きましょう! 地上へ!!)
「ニョロ!」(命に代えてもお守りいたします)
一人と六匹の魔物は抱き合った。
「キュッ!」(ベネツィオと同じ匂いがするね!)
***** ***** ***** ***** *****
快進撃が始まる。
先頭を行く、うさ角は、王牛だろうと、王鹿だろうと、複数だろうと、一切、フェレンツァに魔物を近づかせないのである。
「キュッ!」(張り切りすぎだぞ、うさ角、ペース配分!!)
「モプー!」(ネコミにも、戦いを教えないと駄目だよ?)
片目だったネコミは、ダンモフの新芽により、眼球が再生したのだ。
この魔物たちと繋がっていると、なぜか、お母さんを感じるのだ。自然とフェレンツァは笑顔になる。
「キュッ!」(待てっ! 王狼だ…。こいつらは…ネコミのお母さんの仇だぞ!!)
メタフォは、アカデミックローブのフードから飛び出すと、仇の王狼以外を瞬殺する。
「キュッ!」(ネコミどうする? 今のお前では勝てない敵だ。俺が代わりに仇討ちしてやろうか?)
確かに戦闘経験が少なく、攻撃を有利に進める技もないネコミには、荷が重たいだろう。
「ネコミ。一緒に戦おう。みんなは周囲を警戒して」
フェレンツァがネコミの横に進み出た。
「ギュルルル!!」(舐めるなよ、人間風情がっ!!)
飛びかかってくる王狼を”守護者の指輪”の魔法障壁で防ぐ。王狼にしたら、全力で岩壁にぶつかったと同じ状況なのだ。
「今だ。ネコミ。爪で攻撃だっ!!」
鼻が潰れ意識が朦朧としている王狼の横っ腹を、ネコミの爪が斬り裂く。




