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最も深き穴 その8

謁見の間にて、通訳の王子を介し、現状の報告を受ける。


より強い”王豚”の子孫を残すため、”王豚”は強者に王を受け渡すらしい。わたしは女だし、ほら、見てみて、お腹に赤ちゃんもいるよ? と、強くアピールした。


もうっ! 説得するのに、三日も掛かったじゃないっ!! でも三日間は王族の扱いとなり、とても美味しい食事などを堪能できたので、う〜ん…プラマイゼロで。


話し合いの結果、王座は辞退した。辞退する代わりに、うちの息子を連れて行けと言ってきた。わたしが悩むその横で、できたら孕ませてしまえと言っているのだろう。言葉が通じなくても、そのいやらしい手つきでわかるぞっ! 種付に関して、どこまで本気なのか知らないが…。


”王豚”の一族たちも、魔神が復活する予兆を感じていたのだという。魔神が復活すれば、”王豚”たちの自我は崩壊し、ただの殺戮者として人間界に解き放たれるらしい。魔神が復活すると、この最も深き穴が崩壊して、外に出る前に全滅する種族も少なくないらしい。うわっ。めちゃハードだよね…。


どうも話を聞いていると、最も深き穴に生息する魔物たちは、魔神から溢れ出した瘴気と魔力によって生み出されている。だから魔神のために死ぬのは致し方ないと考えているが、できれば、このまま平和に暮らしたいと願っているのだ。


当たり前だよね。


わたしたちは、明日、”王豚”の国を出発して、また最下層を目指する。”王豚”の研究機関の調査によると魔神が復活するまで、後33日と予測されていた。


そして王子も同行する気だ。まぁ、言葉が通じるしイケメン風だけど、体のサイズが110cmと大きい。うさ角たちと全然違うのだ。何かあっても、抱っこして逃げるなんてできないよな…。


更に一人で来るのかと思えば、王子パーティなるものを結成していたのだ。王子 + 戦士 + 魔法使い + 僧侶。うわっ…。定番過ぎる…。


「王子はビトン、戦士はガドン、魔法使いはマトン、僧侶はリトンね」と勝手に名前を付けてみる。


この四人はわたしのテイマする魔物ではないのだ。勝手に同行するだから、命の保証などできない。


昼食の後、四人と最後の打ち合わせをする。荷物は緊急用の非常食以外は、わたしが管理することになった。四人の実力は一族の中でも、上位の実力者らしい。また僧侶リトンは女性で出産時の経験もあるため選ばれたのだ。


「リトン、その時はよろしくね」と言ったけれど、リトンとは会話が成立しない。


そのまま訓練場に向かい、戦士ガドンの実力を確認することにした。相手はうさ角だ。


盾と剣のガドンに対して、うさ角はスピードで撹乱する。低く速い動きで、ガドンの剣が空を斬る。うさ角はサマーソルトキックで、ガドンの顎を狙うが、巧みに盾で防ぐ。クルンとうさ角は着地すると、力任せに盾に向かって跳び蹴りを繰出す。ガドンはしっかりと腰を落としていて、うさ角の蹴りを全身で受け止めたのだ。


どうやらガドンは防御主体の戦士らしい。


「そこまで。とても良い動きでした」


わたしが褒めるとガドンは勿論、王子であるビトンも自分のように喜んでいた。


そして翌日、街を埋め尽くす国民に見送られながら、わたしたちは最下層に向けて出発するのだった。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤>魔神のために死ぬのは致し方ないと官がているが 正>魔神のために死ぬのは致し方ないと考えているが
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