最も深き穴 その3
がある…。我の心臓は、そこの死にかけの矮小なる兎に潰されてしまった。もう長くは持たないだろう…。だが悔いはない。いや…そこの兎を、みすみす殺してしまうのは勿体無い。だから…我が命を使い、融合させよ…。それ以外、その兎が助かる見込みはあるまい」
「あ、あなたは…それでいいの?」
「問題ない」
わたしは、メタフォ達を見る。その眼は、うさ角を救ってくれと強く訴えていた。
「うん。あなたの名前を教えて」
「我が名か…。すまぬ、もう忘れてしまった」
「ありがとう。優しき竜よ」
わたしは進化の奇跡を使い、竜とうさ角を融合した。うさ角の頭部から背中にかけて竜の鱗で覆われ、尻尾が竜の様に長くなり、右腕は竜の腕が生えてきた。うっ…。左右別々の腕になってしまった…。それにいつもの光焔角と半妖精の羽。うさ角…。君は一体…。
うさ角の心臓の鼓動が蘇ると、うさ角の目がゆっくりと開く。
「ギュオンッ…」軽く吠えただけなのに魂を揺さぶられた。
「へっ!?」
きっとそういう効果があるんだ程度に考えておこう。
「今日は疲れましたね。うさ角も体力を回復させなければならないし、ダンモフも新芽を使ってしまいました。しばらく…ここで休みましょう」
わたしは奥に光る転移魔法陣をチラリと見ながら言った。恐らく、あそこが”最も深き穴”への入り口なのだろう。それに…いろいろ準備をしなければなりませんからね。
わたしは安全のために、”魔法の箱”の中に魔物を連れて入った。
フカフカの布団の上に、ダンモフとうさ角を寝かせと、臨月を迎えようとしてる大きなお腹を撫でながら、その横に寝転がった。
「この子は、どんな子になるのでしょうか。わたしみたいに…馬鹿じゃなければ良いのですが…。みなさんにお願いがあります。どうか…。この子を助けてあげてくださいね」
そのまま、わたしは寝てしまった。
ダンモフの新芽が復活するまで、わたしはうさ角の変化点を確認したり、”最も深き穴”に入る準備をしたり、その他いろいろと準備で忙しかった。
これもうさ角のおかげだ。ただ我武者羅に”最も深き穴”へ突っ込もうとしていた…わたしにあるヒントを授けてくれたのだから。
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そして全員の準備が整う。
「さぁ、行きましょう…。これが最後の…冒険になるかも知れません…」
わたしは、光り輝く転移魔法陣の上に乗る。すると体の負荷もなく、光苔で明るく照らされた巨大な洞窟に転移させられた。その足元に、転移魔法陣はなかった。
「どうやら、一方通行のようですね」
魔力も威圧も殺気も何も感じないが、確かに背後に誰かいる。振り返ったら殺される。メタフォがフードの中にいるのにも関わらず、そう感じた。最高戦力を持ってしも…手が届かないのか…。
「安心しなさい。振り返っても殺しませんよ。少し…話をしましょう。ベネツィオ」




