最も深き穴 その1
フィプスアローと別れて、忘れられた大神殿に入る。ツクヨミの事前調査の通り、隠し扉から最奥聖域への通路に足を踏み込んだ。そして魔物たちを展開させる。
「わたしは…こんなお腹です。みんなが頼りです助けて下さい」
魔物たちは任せろとばかりに、元気いっぱいに返事をしてくれた。
先頭にへびっちょ、目の前にうさ角。左手にダンモフ、右手に砂スラ。そしてフードの中にメタフォだ。最強の布陣で神殿内を進む。
へびちょの高度が少し上がると、うさ角が走り出す。目の前にいるのは王牛だ。入口付近で、いきなり王牛レベルの魔物が出てくるとは!?
しかし、すれ違いざまに、へびっちょは特徴である蝶の鱗粉により、王牛を麻痺させた。そこにうさ角の特徴である光焔角にて、王牛の心臓を貫く。
「すごい…。瞬殺だ」
わたしはドロップアイテムの牛肉を魔法の箱にしまった。
「ふふっ。何だか、子供の頃を思い出しますね」
その後も順調に奥へ進むことが出来た。ガシャンガシャンと騎士の鎧っぽい音が奥から聞こえてきた。うん? 聞き覚えのある音だよね…。ゾワッと寒気がする。
「っ!?」
あれは村の近くの洞窟にいた黒い騎士。わたしが勝てなかった魔物。確か、わたしの短剣もメタフォの尻尾剣でも…傷一つ付かなかった強敵だ。
でも、あのときは魔法が使えなかった。今なら、”灰の魔法…灰燼の舞姫”で!! だけど…体に負担がかかってしまう…。
「ワン!!」メタフォがフードの中から飛び出し、黒い騎士の目の前に立ち塞がった。
メタフォは二本の尻尾剣にて、斬るっ!斬るっ!斬るっ!斬るっ!斬るっ!斬るっ!斬るっ!
剣を放てば放つほど、スピードは増していく。100、200? いやそれ以上の連撃だ。
メタフォは黒い騎士の関節部分を集中的に狙っている。よく見れば、鞭のようにしなる尻尾剣は、相手の背後に回り込み、装甲の薄い部分を特に狙っていた。
数分後…。重い金属音が鳴り響くと、黒騎士の右腕が外れ、しばらくすると右股関節が外れた。メタフォは開いた鎧の隙間から、黒騎士のコアを破壊することに成功した。
「ワンっ!!」どうだ! 褒めろと言わんばかりのメタフォの態度だが、素直にギュッと抱きしめてあげた。「すごいよ、メタフォっ!」
ありがとう…メタフォ。わたしの体を気遣ってくれたんだね…。
最奥聖域への通路は基本一本道だ。誤魔化しようがない。黒騎士を倒し、わたしたちは、先へ急ぐ。そこは巨大なドームの部屋になっていた。そこに待っていたのは竜。しかも…ラグラシシスと同じ系統の竜だ。
「キュッ!」今度は俺だとばかりに、うさ角が前に出る。
「無理、無理よっ!」と叫ぶが、うさ角は…竜が待つドーム型の部屋に入ってしまった。うさ角が入ると…ドーム型の部屋へと続く扉は、無慈悲にも閉じてしまったのだ。




