ベネツィオの救出作戦 その8
支配者の使命。人間の意思。周囲の期待。矛盾だらけの全ての願いを叶える方法などはない。ベネツィオはベネツィオの。カーネルはカーネルの。そしてツクヨミはツクヨミの最善と思える方法で世界を救うことを決意した。
カーネルはカーネルの身代わりを用意した。彼女もまた被害者である。その被害者とわたしは、ツクヨミに連行された。そのときツクヨミによって、魔物たちは石化されてしまった。
わたしは酷い拷問に何日も耐えた。その拷問している映像を神聖国ノ−ブレディッシュに送信して、ヤマト帝国の第三皇女ミカズキ姫との人質交換を有利に進めようとしていたツクヨミだったが、交渉は決裂した。いや最初からツクヨミは、人実交換を成立させる気などなかった。ただのパフォーマンスとして連合国の注意を逸していたに過ぎないのだ。
肉体的にボロボロなわたしだったが、処女だけは守らされていた。それはツクヨミの指示であるため厳守されていたのだ。わたしの体の傷が癒えるのを待って、ツクヨミはわたしに子を作れと命令してきた。それがわたしの命を守るためだと言って。
わたしも国の中枢で密かに国を救う方法、魔物たちの石化を解く方法、誰を殺すべきかなど、調べていたのだが、どれもこれも上手くいっていなかった。
子作りに関しては、わたしが考えていたものと全然違っていたし、肉体を許すとツクヨミは徐々に心を開いてくれたのだ。お互いの秘密を共有し合う中になった。そこでわたしは、世界の害悪を振り撒くが存在することを知った。
その悪は世界中の人々を支配していること。わたしだけが抜け出したこと。あっ…。あの心を縛っていたモヤモヤのことかっ!
その話で重要なことは、自分だけが支配から抜け出しても、今のわたしのように他人に引っ張られてしまい結局は運命に縛られているということ。つまり抜け出せないということが証明されたのだ。
そして何も出来ないまま時間だけが過ぎていった。
レジスタンスはわたしを救うつもりでいる。拷問室ではなんとか魔法が使えたが、この部屋は暗殺防止の観点からか、魔法が一切使えないのだ。心の開示でイフレーレに止めるように説得も出来ない。
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「いよいよ…北大陸への進軍が始まろうとしている」
ツクヨミはわたしの手を握りながら伝える。
「ねぇ、わたし…その…戦いたいの。世界の害悪と…だから…お願い。魔物たちの石化を解いて。あなたの邪魔はしないわ」
「どうやって?」
「それは…言えない。けど、試したいことがあるの」
ツクヨミは頷き部屋を出て行った。
わたしが戦うべきもの。それは、この南大陸の大地エネルギーを吸い取っている何か。そんな事をしなければ、戦争など起きなかったのだ。今更かも知れないが、わたしは大地を蘇らせたい。
「まったく、この魔物たちは、石化を解いた瞬間に攻撃してきたぞ」
ツクヨミが呆れた顔で魔物たちを連れて帰ってきた。
「お帰り。メタフォ、ダンモフ、うさ角、砂スラ、へびっちょ」
わたしの最後になるかもしれない戦いが幕を開けた。




