ベネツィオの救出作戦 その1
ベネツィオが南大陸の連合軍に喧嘩を売ってから一年が経っていた。現在の戦況は思わしくない。その地で出逢ったレジスタンスのカーネルのために、捕虜になってしまったのだ。
ベネツィオが人として、活動できるタイムリミットは、あと一年程度。ベネツィオが大人しく捕まっている理由は、カーネルの処刑回避のためであり、魔物たちの石化を解く方法を調べるためだった。
またベネツィオは、神聖国ノ−ブレディッシュに捕らわれている連合国一の大国、ヤマト帝国の第三皇女ミカズキ姫との交渉に使われたが、交渉が決裂していた。
そんな状況下でベネツィオは、ヤマト帝国の第二皇子ツクヨミに孕まされてしまったのだ。それは北の大陸まで伝わり、同様にミカズキ姫も孕まされるという事態に陥っていた。
***** ***** ***** ***** *****
「すまぬ、二人きりにしてくれ」威厳のある声が室内に響く。
この者に逆らうことは、即死を意味していた。誰も抵抗すること無く、寝室には、ベネツィオとツクヨミだけになった。
「調子はどうだ?」
「体の崩壊も今は止まっている。赤ちゃんも無事育ってるみたい」
本来、極刑であるベネツィオを救ったのがツクヨミだ。それも捕虜に子を身籠らせるという奇行でだ。
ツクヨミは知っている。ベネツィオが人でいられる時間に限りがあることを。だが子が産まれる方が早い。そして子が産まれたら、ベネツィオは、即処刑されるかもしれない。
ベネツィオは南大陸に渡り、北大陸への進軍の理由を知った。その複雑な理由に抗うレジスタンスとも出逢った。そしてカーネルのため全てを投げ出した。
「わたしには、どうすることもできなかった」
「いいさ。それも…時期に終わる。最後まで、一緒にいよう」
***** ***** ***** ***** *****
連合軍・オーストラン王国・イビリアス領・港町アーケル。
その倉庫の地下室で、レジスタンスの会合が行われていた。
聖剣イフレーレは、テーブルを力任せに叩いた。
「それでは…ベネツィオに死ねと言っていると同じ…。あなたを…カーネルを助けるために…」
「わかっています。だからこそ、ベネツィオの犠牲を無駄にしてはならないのです!」
イフレーレは剣をカーネルに向けた。
「ベネツィオは死んでいません。次に、亡きものと扱えば、あなたでも、斬ります」
ドンとドアを力任せに閉め、イフレーレは退室した。
「おい、カーネル。言い方ってものがあるだろ?」
竜亜人に変化できるようになったラグラシシスがカーネルを睨む。
「最早、南も北も、竜も人も、何もかも関係ありません。全世界が、どうするべきかです」




