ベネツィオの解放戦線 その6
エレストの側にいた複数の女性…。もうっ! エレストめっ! わたしだって…。
悔しさのあまり、「灰の魔法…灰燼の舞姫!!」で、周囲の拠点を全滅させた。
エレストは貴族ではない。ただの大商人の婿養子だ。そのため複数いた女性は第二夫人とかではなく。家族だったり、侍女だったり…わたしの早とちりだった。
スターナル夫人は、わたしとエレストの事をしっかりと認識していた。だから余計に話し難い。できればキス。駄目ならぎゅっとエレストにして欲しいと思った。
「顔に全部出てますよ」とイフレーレに注意された。
夕方になる前には、敵の殲滅は完了していた。わたしはイフレーレに次の予定を話す。
「南大陸に渡って、連合軍をぶち転がしてきます」
「えっ!? み、南大陸ですか??」
「だって、南大陸から兵士が送られてくるわけでしょ?」
「でも、どうやって?」
「マイダーリンを呼びます」
竜の男の子、ラグラシシス。どんなに遠く離れていても、呼べばきてくれるはず!!
「ラグラシシス!!」
人間の世界に不干渉だけれども、今回だけは、目を瞑って欲しいです!!
町から離れた丘の上で、ラグラシシスを待つ。
「イフレーレは、スイレンのいる東の前線に行っても良いですよ? きっとファースランド帝国と神聖国ノ−ブレディッシュ連合軍の戦いが始まります。そのときアルトとスイレンも参加すると思いますし」
イフレーレはしばらく考えてから答える。
「いえ、スイレン様はきっと勝ちます。私は私の道を行きます。どうか、私も南大陸へ連れて行ってください」
月明かりの下、巨大な竜が舞い降りてきた。降下すれば竜巻が発生し、着地すれば地震かと思えるような地響きに驚く。
「来てくれたのですね」
慣れっこのわたしは、慌てるイフレーレを無視して、巨大な竜にキスをする。
「ベネツィオが突然呼ぶから、何事かと思って、大急ぎで来たんだよ?」
ラグラシシスに事情を説明する。
「南大陸には行ったことがないけど、問題なくたどり着けると思う」
大きな口で話すラグラシシス。だがひとつだけ問題があった。竜の背に乗ることは、結婚するということ。つまりイフレーレが子作りをする対象となるのだ。
「えっ!?」っとイフレーレが固まってしまった。




