キレる灰の眷属
”夜の森”の森に入る。思い返せば納得がいかない。成人式(10歳)を迎えた男の子だったテイムすらしていない、わたしを1人でこの森に放置するなんて、お父さん…ブリタルアは、一体何がしたかったのだろうか?
チクリと頭に何かが刺さったように痛い。
なんだろう? 何か…。
ボフっと灰が撒き散らされ、一人の? 悪魔が現れた。
「よう! 元気だったか?」
「灰の眷属さん…。こんにちは」
「浮かない顔をしているな。全部見ていたから知ってるけど。さて、何から話そうか?」
「見ていたんですか…。なら、教えて下さい。わたしは…どうすればよかったのですか?」
「うん? ざっくり過ぎて、何に対してなんだか…。そうだなぁ、眷属…いや、俺とお前の違いを教えてやろう。俺は人間社会を捨てた。お前は人間社会から逃げた。つまりお前は未だに人間に未練たらしく執着しているのさ。わからんでもない、人間社会に共に生きた仲間がいるからな。あと200年もすれば、俺たちと同じ…立派な眷属になるだろうけど」
「共に生きた仲間…」
その言葉にベネツィオの中で何かが疼く。
「そうだ。お前は自分を人間の延長だと考えているだろ? だから巨石魔神や人工魔神如きに遅れを取るのさ」
灰の眷属は手を私に向けた。何だろうと? 見ていると、激痛が胸に走る。け、剣が刺さっている? いつの間に?? し、心臓が…。
「眷属は不老不死だ。心臓が剣で刺されようが死なない。痛いけどな。お前は自分の可能性を信じきれていないのだ」
灰の眷属が剣を抜くと、ブシュッと血が吹き出したが、痛みが急速に消える。感覚でわかった。治癒魔法もなしに、治癒してしまったのだと。
「眷属を殺せるのは、眷属に代償を払う力のみだ。これは厄介だぞ? どんな攻撃が眷属の力を使った攻撃か、しっかり見極めないと死ぬからな。注意してくれ」
「どうして…そんなことを…今、教えてくれるの?」
「お前が、”どうすればよかったのですか?”なんて聞くからだ」
「つまり? わたしに…戦えと?」
「あぁ…もう!! お前が人間社会から逃げ出したとき、気づいたのかと思ったが、全くわかっていないんだな!! ”服従の論理”ってのがあるのけど、ある事自体に疑問を持たなかったのか?」
服従の論理って…。常にルールに従おうとするわたしの苦悩を和らげるスキルだったはず。
「それが??」
「お馬鹿!! じゃ、なんでルールに従おうとするんだよ? あぁ…もう言っちゃうぞ!! 見えない呪縛に縛られているんだよ!! 自分の心を真剣に見つめてみろ!! お馬鹿!!」




