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すみません。テイマリアン・サーガを読みたくて  作者: きっと小春
第六章 解放された絢爛たる開花
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クルーデン戦線 その8

直撃後爆発するはずの太陽エネルギーは、少年の氷の体を削り取るだけに留まる。少年も直撃した部分を、凄まじいスピードで再生する。破壊と再生を繰り返す。どちらの燃料が先に尽きるかの戦いである。


メタフォビームが負ける…。そんな気がする。しかし、今、倒せないならば、この先倒せる気がしない。最後の切り札は、ブラックカードの世界を破壊した「合成魔法・惆悵の童子」だけだけど、あれ使ったら今度は死ぬよね? 前回はたまたま眷属が助けてくれたけどさ。今回も助けてくれるとも限らないし、死ぬかもとわかってる魔法なんて誰が使うか!! 


少年は人間も巨石魔神も建物も大地も吸収できるものは全て吸収しているため、少年は地面に吸い込まれるように見えた。


***** ***** ***** ***** ***** 


ベネツィオの魔物から放たれた強力なエネルギーを、難なく受け止める魔神の少年。その少年は周囲全てを飲み込み、大地さえ取り込もうとしている。氷の鎖から”天使の羽”で上空に逃れた聖女アリスは、まさかの逆転に繋がる攻撃をベネツィオが繰り出すとは思っていなかったのだが、大地を取り込みクレータ状になった中心にいるボロボロの少年にとどめを刺すタイミングを狙っていた。


「しかし、ベネツィオのあの攻撃…あれが例の火柱の正体ですか…。放っておけない威力ですね」


放たれているエネルギーにも陰りが見え始める。薄く細くなり始め最後はフッと消えてしまった。


アリスは少年に向かって急降下する! 上空から見ていたアリスにはわかった。もしあのエネルギーがあと数秒持続していれば、少年が取り込める大地だけでは再生が追いつかず、消滅していたことを。だが今はそんなことを言っている場合じゃない! 


呆然とする少年の目の前に立つ。「天使魔法・聖魔封印!」空から光が降り注ぎ、メタフォビームの最終型の火柱と同等の光柱が少年を包み込んだ。少年の表情には抵抗する意志は無く、アリスをじっと見つめ微笑んでいた。少年の中の魔導石が砕け散ると、少年はクレーターの中心に倒れ、光と共に空から降り注ぐ、天使の羽に埋もれていった。


***** ***** ***** ***** ***** 


なに? あの光…。絶対やばいよね!! 逃げないと!! 多分、メタフォビームを耐えきった少年が謎の光と共にパワーアップして再登場!! な雰囲気だよね? わたし最大のピンチじゃない!?


光柱が消え、逃げようとするわたしの腕をガッと掴む剣士さん。あなた…生きていたの? てか、一緒に走ってたんだ…。なんか、笑ってしまった。


「待て、聖女様の勝ちだ」


この剣士はなぜアリスが勝ったと言っているのか? まったく根拠がわからない。


「えっ!? まさか、あの光、アリスの? 剣しか使えない脳筋だと思っていたのに…」


「お馬鹿!! 誰が脳筋だ。本当に殺してやろうか?」


声が方向。つまり上を見上げると、少年を抱えたアリスが天使の羽を羽ばたかせながら降りてきた。


「えっと…魔神に勝ったの?」


「どうにかな…。しかし、あんな攻撃があるなら最初から使いなさい! お馬鹿!!」


ぐぬぬ…。最初に敵に突っ込んだのは…アリスじゃないか!! 


クルーデン戦線、勝者なき戦いとして、歴史に名を残す戦いが幕を閉じた。


ベネツィオは隙あらば、この場から脱出しようと何度か試みたのだが、名も知らぬ剣士と聖女アリスにがっちりと両脇を固められ、逃げるに逃げられなくなった。

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