vs 盗賊の首領
一階、この先にあるのは、わたしの部屋!! 少し廊下に開いた部屋のドアから月の薄明かりが漏れている。勢い余って部屋を通り過ぎるところだった。
あ? あれ? いやぁぁぁぁっ! 足を床に踏ん張り止まろうとしてが、床に何か撒かれていたため、滑り転んだ。「モプー」と後頭部とお尻にモフモフができる。
危ない…。と床に手を付き立ち上がろうとするが、手に着いたのは…血? アルジェリカ!!
急いで立ち上がると、ドアを開ける…。倒れていたのはマレカラートだった。
「お兄様!!」とアルジェリカが叫ぶ。盗賊の首領も振り返り、剣先をわたしに向けた。
「お前は? 広場にいたガキ?」と不思議そうな顔だ。
必死に考える。盗賊の首領は先ほどみたいに…アルジェリカを盾にされないように…どうすれば? と、わたしの考えを看破した盗賊の首領は、「ふっ。流石に馬鹿にするな。お前のようなガキ相手に、人質を取るかよ…。で? 何しに来たんだ?」と質問をしてきた。
混乱する…。信じていいのか? ”頭:洞察力がある”をフル回転させる。
「それ」と本棚を指差し、「テイマリアン・サーガを読みたくて」と言った。
「はぁ?」と盗賊の首領が首を傾げた瞬間に、マレカラートの遺体? を飛び越え、盗賊の首領の懐に入る。
「舐めんなっ!」と蹴りが背の低いわたしの顔面に迫るが、軽く手を添えて自分を浮かす土台に変えた。
「なっ!」と驚く盗賊の首領のガラ空きになった、心臓へ短剣を突き刺す。あっ!? つい…海猿と同じ感覚で…人を殺めてしまった…。盗賊の首領弱すぎる…。
絶命した盗賊は、魔物と同様にドロップアイテムの盗賊の小手と銀貨3枚を残して消えてしまった。そして…魔法・”盗賊の手首”を覚えますか? と頭に響く。えっ!? この魔法は…テイマリアン・サーガの主人公が持ってる魔法だ!!! 迷わす、覚えよう…。
「お兄様!!」とアルジェリカが抱きついてくる…。「えっ? お、お兄様…。背が縮んだのでしょうか?」と訝しげな表情だ。
「そ、それよりも、マレカラートは、どうしたの?」と無理やり話を変えるために尋ねると、「身を挺して守ってくれたのです」と答えた。
マレカラート、見直したよ…。生きているかどうか…。あれ? 村の守衛さんや、村人は殺されてもドロップアイテムにならなかったよね? マレカラートも…。生きているってこと?
ダンモフを左腕から剥がし、マレカラートを治癒させる。「モプー…」とご機嫌斜めだ。
外からは剣や怒号、馬の足音などが聞こえてくる。後でお婆ちゃんに聞いた話だが、村の入り口で騎士たちの突入が始まると、盗賊の首領がいない烏合の衆を簡単に制圧してしまったらしい。
わたしはアルジェリカと一緒に、マレカラートの治癒を見守る。ドア付近には、うさ角を待機させている。
「お兄様は、魔物を二匹も操れるのですか?」
フードを取り、三匹目のメタフォを見せる。多分、ドヤ顔になっていると思う。
しかしメタフォを見て驚くよりも、わたしの顔を両手で押さえ「お兄様? お、女の子に?」と驚かれてしまった。




