盗賊と騎士
男たちは、剣を捨て、魔物たちを座るように命令させた。すると盗賊たちは、剣を回収し、魔物たちを殺し始めた。偶然にも、うさ角は、わたしのローブの中にいて姿を見られていなかった。
「逆らうなと言ったよな?」と盗賊の首領は笑いながら、若い娘の首を切断した。
「貴様っ!」と村人たちは憤るが、盗賊たちは武器を持っていた男たちを、次々と刺殺していく。お婆ちゃんは、殺戮が始まってすぐに、わたしに覆いかぶさり、その行為を見せないようにした。
村の成人男性1/4ぐらいが殺されてしまい。村は完全に掌握されてしまった。
「おい、これ以上、犠牲者を出したくなけりゃ、言うことを聞かせるんだな」と盗賊の首領は村長に念を押した。
村人は全員、中央広場に集められた。アルジェリカの姿は無かった。上手く隠れているのだろうと安心する。夕日が沈みかける中、北の方から何かの足音が聞こえてきた。それも沢山の足音だ。
「我が名は、王国騎士団第三部隊副隊長レギルス。イフリアン王国軍、イマレフト将軍から、お前ら盗賊の撲滅の命を受け馳せ参じた!! 村人を解放し、大人しく投降せよ!」
薄暗くわからないが、100名ぐらいいるのかな? と観察していたら、「これは…不味いね…」とお婆ちゃんが呟く。一体、何が不味いのだろうか?
「くっ。追撃が予想以上に早いな」盗賊の首領は毒づき、騎士に怒鳴りつける。「いいか? その門から一歩でも入ってみろ! この村の女子供の命を道連れにしてやる!!」
盗賊たちは、女、子供、大人、老人と分けて、広場に座らせた。お婆ちゃんと離れてしまう。
盗賊の首領の言い分からすると、騎士団は…この村に突入してくるってこと? 人質とか気にしないで?? だから、お婆ちゃんは不味いといったのか…。どうする? どうする?
もう何時間も盗賊たちと騎士団の睨み合いは続いている。夏だからいいようなもの、真冬だったら凍死しているよな。と考えるが、そろそろ眠る時間で、意識が遠くなってきた…。
月明かりが雲で遮られる。騎士団のたいまつの明かりでは、照らせない距離、盗賊の首領が、こっそりと村の奥へ消えた。
わたしも、こっそりと、子供の集団を抜け、盗賊の首領の後を追う。三日月の砂浜で鍛えた音の出ない歩き方です。だけど完璧に音を消せるわけじゃないんだよね。と考えていると、小さな声で「モプー」と囁かれた。何? と思ったけど、すぐにわかった。足の裏にモフモフを付けてくれたのです。これなら足音は限りなく小さくなる。
盗賊の首領は、一番大きな家。つまり村長の家に侵入した。不味いよアルジェリカが見つかってしまう!! 急ぐ気持ちを押さえて、音を立てないスピードで村長の家に近づく。外の窓から中を見るけど、暗くてよくわからない。
戦闘準備だ。左手首にダンモフを移動させ、いつでも盾を作れるようにする。フードの中のメタフォは、この後に及んでも手助けしないスタンス…。うぅ…。あとでごはん抜きだぞ…。うさ角は、しっかりと右足に寄り添いながらついてくる。短剣は背中の腰の辺りに括り付けてあり、いつでも抜ける状態です。
どうする? 玄関で出てくるのを待ち伏せする? いや…アルジェリカが心配だ。家の玄関は開いている。そとの壁に背中を付け、ゆっくりと中を覗く…。誰もいない。腰を屈めながら家に入る。家に入ると、うさ角を別行動にさせる。「なるべく物陰を移動するんだよ」と注意した。
盗賊の思考なんて、まったくわからないよ。一階? 二階? そもそも大きい家に入るなら、お金目当て? だとすると、二階にいるのかな? そのとき、一階からアルジェリカの小さな悲鳴が聞こえた。
わたしはは、足音など気にしないで、全力でアルジェリカの元へ向かう。




