クルーデン戦線 その5
「まぁ…あれだ…。お、俺達は…この前線で戦い抜いた…友…だ。お、お前を悪魔だとは思わねぇ。だが、世の中の評価は……そういうことになっている…。なるべく…人に関わらないようにして、イフリアン王国へ、行くんだぞ? いいな? だ、大丈夫か?」
と、わたしをあやすように話しかける剣士さん…。
「う、うん…ありがとう…」
アカデミックローブの袖で涙を拭き、トボトボと歩き出す。えっと…イフリアン王国って、どっちだろう? とキョロキョロしていると、剣士さんが、指で方向を教えてくれた。
「「「「「またな〜」」」」」
背後から騎士団の声が聞こえる。そうだよね、一緒に戦った仲間だもん。信じてくれて…。
ドガーーーンッ!! ドガーーーンッ!! ドガーーーンッ!!
三度の大きな爆発音が聞こえる。振り返ると、剣士と騎士のいた場所が砂煙で覆われていた。
その上空に広域破壊術式の魔法陣が展開されている…あれは? 遺跡戦で使われたものに似ているけど…。
しばらくして砂煙が消える…。惨状を予想したが、剣と騎士たちは結界に守られていた。
何か突然、高レベルな魔法戦が始まったんだけど…。
町の奥、国境側から数十体の巨石魔神が、地響きと共に進行してくる。アルベシオン王国の騎士団も迎え撃つように上空にある魔法陣の範囲外に出ると、同じ形をした巨石魔神を召喚する。
はうっ!! 巨石魔神 vs 巨石魔神!! これが国同士の戦なのか…。
アルベシオン王国の騎士団も敵進行経路の上空に魔法陣を構築すると広域破壊術式を発動させた。
構築から発動までの流れが早い。学園では展開も発動もかなりの時間がかかっていたはずだ。
超重量級の巨石魔神同士のぶつかり合い、高レベル広域破壊術式の撃ち合い…。わたしの出る幕などなかった。うん、わたしは徐々に離れていき、崩れかけた教会の屋根の上から戦いの行方を見守っていてた。
首筋にピタリと剣を突きつけられ、戦場の解説を聞かされる。
「愚かなものね。あれは魔導帝国ビルシュ・ベルが作り上げた魔道具を利用しているだけ。魔道具の魔力が無くなれば、争いも収まるでしょう。しかし問題は、南から侵略してくる南大陸の連合軍なのよ。本来はあの戦力を連合軍にぶつけるべきなのですが…」
首筋から剣が離れる。しかし…わたしの後ろにいる何者かは…一瞬にして、わたしの背後を取る…恐るべき実力を持つ者。振り返って良いのかどうかも、わからない。
「いいわ。こちらを向きなさい」
言われるがまま振り返ると、わたしと同じような背格好の神官系ローブを着た少女が立っている。神官系が刃物とか持って良いんだっけ? とか…どうでも良いことが頭をよぎる。
「私は神聖国ノ−ブレディッシュの聖女アリス。自分で聖女とか言うな! とか、そんなツッコミは不要よ。時間がないから簡単に説明します。私の命令に従いなさい。現時点では私の方が、あなたよりも強いのです。逆らえば殺します。聖女が殺すとか言うな! とか、そんなツッコミは不要よ。えっと…ね。これから現れる…私とあなた、二人がかりでも倒せるかどうか、わからない…本物の魔神を討伐するのです!」




