クルーデン戦線 その4
本隊の合流とタイミングを合わせたかのように、敵の巨石魔神が退却していく。後に残されたのは破壊され燃やし尽くされた瓦礫だけである。神様は我関せずとばかりに、美しい朝日で廃墟と化した町を照らしていた。
これであの少女の弔いはできたのだろうか? 巨石魔神を操る奴等を殺したいと思った気持ちも薄れていたのである。
「お前は、何者なんだ?」
当然の質問だよね。巨大な剣を持つ剣士が、わたしの前で首を傾げている。さて、何と説明すればよいのかな? まぁ、ここは素直で正直に答えておこう。
「わたしは、ベネツィオと申します。イフリアン王国へ大切な人たちに会いに行く途中でした」
「「「「「ベネツィオ!?」」」」」 「「「「「悪魔のベネツィオ!!」」」」」
と叫ぶと、近くにいた騎士たちは、挙ってわたしから数歩離れた。はいっ!? わたしって…こんな国まで名前が知られているの?? そ、それに…悪魔って…。
「えっ!? あ、悪魔?? そ、それ…どういうこと!?」
剣士は巨大な剣をわたしの鼻先に向けると、ゆるい感じの表情から騎士の顔に戻る。その揺るぎない強さの信頼からか、周りの気圧された騎士たちも士気を取り戻し、わたしを取り囲んだ。
「神聖国ノ−ブレディッシュは、この戦の元凶を2つの国と1人の人物としている。その人物がベネツィオ、お前だ」
はいっ!? どういうことっ!?????
「ご、ごめんなさい…。ま、全く理解できないのですが…。いや、何となく、そんな気もしますが…。全部、わたしのせいだと??」
「あぁ、ノ−ブレディッシュに亡命した、何つったけかな…。王宮魔法使いのフェイなんとかアローって奴が、洗いざらい暴露したらしいからな」
「フィプスアロー!! 何言ってんの!! ちょ、ちょっと待ってください!! 本人に直接聞いてみます!!」
”王宮魔法・素娥の旋律”を発動させフィプスアローと連絡とりたいのだが、イフリアン王国を抜けた者にも繋がるかどうか…。
(ベネツィオ!? なのか?)
(ちょっと、どういうことですか! わたし、悪魔扱いですよ!! もうっ!! みんなに聞こえるようにしますから、弁解してくださいね!)
「えっと、王宮魔法使いフィプスアロー様と繋ぎました。わたしの身の潔白を証明しましょう! では、フィプスアロー様、お願いします!!」
「現神聖国ノ−ブレディッシュ・魔法諜報機関・特別顧問フィプスアローの名において、即刻、悪魔ベネツィオの討伐を命ずる!!」
「はっ!? フィプスアロー様!!!」
妖艶なロリっ子少女が、うわぁぁぁぁぁん!!!と泣き出す。剣士も騎士も一体どうなっているんだと、困惑せずにはいられなかった。
「ひ、ひどぉいよぃ…ぐっすん…」




