眷属のお仕事
一応、命の眷属のボスとして、代償の回収に行かねばなりません。はい? 自分は、光の眷属と灰の眷属の借りは返したのかって? はい。返しましたよ? 光の眷属は、それは面倒なダンジョンを指定して魔石を取って来いと言い。灰の眷属は、人間基準で悪者を数名殺して来いと言ってきましたね。
わたしの場合は、一年かけて、沢山の人の手助けさせるようにしています。だって人の命を救えって言っても、そんな場面そんなにないでしょ?
大体の人がクリア基準を満たしていませんが、そんな場合は眷属の力を剥奪してお終いにしています。甘いと他の眷属からお叱りを受けますが、だってね…。勿論、最初から放置の人は許しません。即死ですよ?
ボスの特権として、眷属の場所まで転移できます。また報告などが終わったら元の場所に転移できるのです。便利ですね。わたしの眷属は88名。なるべく数が増えないように調整しています。しかし命の儚さを嘆き、純粋な心で死を受け入れ、己の肉体を差し出そうとすると、わたしが呼ばれてしまうのです…。
今日は23歳の男性ですね。彼が眷属になった理由は、ズバリ復讐です。さて…回収できるのか心配ですが、行きましょう!!
彼が1人になったとき、わたしは現れる。「どうも、お久しぶりですね。人助けは進んでいますか?」と尋ねる。いや、ここに来る前から結果はわかっているのですが…。
「やぁ、命の眷属さん、いつ来るかとお待ちしておりました」その言葉と同時に、眷属狩りのハンターたちが別室から雪崩込んでくる。
眷属を復讐に使う人間って、大体人助けしないんだよね。全く人助けしない連中って、いつも同じパターンだ。女神と交渉して産まれる眷属は不老不死なのだが、例外的に眷属の力なら殺すことができるのだ。つまり眷属狩りのハンターって何かの眷属なんだよね。何だそりゃ? って思う。
でも眷属の力を使うから借りができるのだ。それを回収する眷属たちとも戦っていくんだけど、回収する眷属側って1人だけど、使った側って複数人で待ち構えるのがずるい。まぁ、回収する側が圧倒的に有利なんだけどね。こんな風に。
わたしが即死と伝えると23歳の男性が死亡。遅れて力を使い始める眷属狩りハンターたちを横目に転移で戻る。こんな感じ。優秀な眷属狩りハンターなら、別室に隠れていないで、わたしが転移直後から攻撃を仕掛けてくるのだ。
こんなこともありました。6歳の男の子。奴隷の子供で、お母さんが拷問により死亡。その復讐に力を使ったのだ。奴隷の子供が他人のために人助けなんて無理だから、眷属にならない方が良いよと力説したんだけど、生きていても仕方ないから、復讐を果たしてお母さんのところに行くと言って聞かなかったのだ。
そして一年前に眷属の力を使ってしまった。あう…。残念だ。本当に。
これからその代償を回収しに行かなければならない。でも、頑張って、毎日、言われもしない掃除をずっとやっていたんだよ。これは…助ける価値があるんじゃないのか?
「眷属のお姉さん、こんばんわ。あのお願いがあります」
「うん? 何? わたしにできることがあれば…」
「あの…僕、ここで死んじゃうと、みんなの迷惑になるの。だから、どこか遠くに死体を埋めて欲しいの」
「うん、わかった」
わたしは男の子を抱きしめると、小さな犬者に変えてしまった。それが今のアカ。とても命を奪うことなんてできなかったの…。




