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すみません。テイマリアン・サーガを読みたくて  作者: きっと小春
第六章 解放された絢爛たる開花
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種族を超えて

ベネツィオならば竜を人に変えてしまうことぐらい問題なくできるし、竜族の中にも種族を変えてしまう禁術ならいくらでもあった。しかし、ラグラシシスは竜族というプライドとベネツィオへの恋のどちらかを選べずにいた。勿論、ベネツィオは竜族を捨てて人になることを喜んだりはしない。


高原にある大きな湖のほとりで巨大な竜に挟まれるように4人は会話をしていた。


「あのね。ラグラシシス。わたしは子供を産めない体なの。だから無理してラグラシシスが人になることもないし、ラグラシシスが種族を残すために他の竜と…セァシラシアとなら…そういうことをしても仕方がないと思っているわ」


「竜はつがいにならないと聞いているわ。どうなの? 二人とも…」マルンが尋ねる。


ラグラシシスとセァシラシアは顔を見合わせる。


「私はラグラシシスが好きよ。それは…ベネツィオやマルンが感じる恋とか愛とかと違うものね。私の場合は強い種族を残すことが全てだから。子作りしたら、それっきりね」


「ラグラシシスは、わたしの話に耳を傾けてくれていたから、人の恋とか愛とかに感化されたのよ。人間的には、わたしを好きと言いながら、他の人と…そういうことをするのは、駄目だけど…。わたしとラグラシシスは、人と竜よ。それぞれの良いところだけを取り入れるべきだわ。わたしはセァシラシアも好きよ、ラグラシシスとセァシラシアなら、わたしは嫉妬なんてしないし、素敵だと思う」


「私たち犬亜人と違って、竜の子作りって、100年に一度なんでしょ? ラグラシシスとセァシラシアは初めてと聞いたけど?」


「うん、初めてだ。みんなありがとう。ベネツィオ、セァシラシア、ごめんな…あと明日には必ず答えを出すよ。それまで待ってくれ」雄大な翼を広げると、遠くへ飛び去ったラグラシシス。


「ベネツィオ、ごめんなさいね。あなたの恋を邪魔してしまって。でも、どうしてもラグラシシスの子が産みたいの」


「セァシラシア、当然のことよ、子を産めないわたしが、ラグラシシスを独占するのは意味がないもの」ラグラシシスと同等のサイズのセァシラシアの尻尾を撫でる。


「優しい人の子、ベネツィオ。あなたの幸福を心から祈るわ」とセァシラシアは巣作りに戻った。


***** ***** ***** ***** ***** 


その夜、ラグラシシスがベネツィオの家を訪ねてきた。ベネツィオは無言で外に出ると、ラグラシシスが首を下げるのを待って、優しくキスをした。そしてニールとの結婚生活で学んだように…男の子が喜ぶことをする。


「ベネツィオ、決めたよ。俺、セァシラシアと子作りするよ」


「うん…。がんばってよ、わたしの彼氏なんだからね!」


「お、おう…」


「ねぇ、ラグラシシス。わたしを乗せて、飛んで…」


ラグラシシスの首にロープを巻くと、わたしの体をぐるぐるに巻きつける。これで落ちない! でも、夜空はとても寒いから、ダンモフだけを連れて行く。アカデミックローブの中をモフモフで満たして、さぁ、出発だ!!!


バサバサっと数回羽ばたくだけで、みるみるわたしの家が小さくなる。雲を突きぬけ月明かりの星空に出る。高原の上空をぐるぐると周り、わたしとラグラシシスのラブラブ度をアピールする??


「ラグラシシス、大好きだよ」と小さく呟く。

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