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すみません。テイマリアン・サーガを読みたくて  作者: きっと小春
第五章 ひしめき合う闘争と成長点
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逃走

ベネツィオは後悔する。馬まで殺さなければよかったと。でも乗馬なんてしたことない!


アニタリアをおんぶしたスイレンと歩きながら、ベネツィオは考えていたことを伝える。


「あのさ、スイレン…。わたし、逃げようと思うの。いろんなことから」


約600人を殺し、人の姿も年齢も変え、死んだ人間を生き返らせる。はっきり言って化物だ。こんなのが人と一緒にいて良いはずがない。それに勝手に恨まれたり、わたしの力を利用したり、そんなことが人間社会にればずっと続くだろう…。きっと灰の眷属は、こういうことも指摘していたのだ。


今まで誰かに強要されていた人生だが、そこで出逢った人たちにも感謝している。だけど…一度全部リセットして、本当に大切な人だけを守ってあげたいし、これからも繋がっていたい。


立ち止まり、背の高いスイレンは、わたしを見下ろし睨みならが言った。


「うん。ベネツィオ…約束して、辛い時は、いつでも会いに来て愚痴を言うのよ? それが約束できないなら、私の命を賭けても行かせないわ」


「ありがとう。でも、楽しいときも遊びに行くかも…」


「それは問題ないわ」


「あの、このネックレスを学園長に返しておいて。それと、その子なんだけど…。この金貨100枚を寄付して、孤児院に預けられないかな?」


「心配するな。全部やっておくよ」とスイレンはニコリと笑う。


遠くから聞こえる馬の蹄の音。遠くてもわかるアルトの心音。早く逃げないとね! 「またね」とベネツィオは手を振り、スイレンと別れる。


ネックレスを外したのだ。これからは眷属狩りのハンターにも警戒しないとね。支援魔法で素早さを強化して走るベネツィオ。


さて、何処へ行こう? 本当は村の近くが良いけど、すぐに見つかっちゃいそうだよね。


大地に沈む夕日に向かって進むベネツィオだった。


***** ***** ***** ***** ***** 


王国騎士団・第一部隊隊長ジェフレイジは、1人の少女の前で止まる。ベネツィオかと思ったが、全く別の少女であった。しかもこんな荒野を子供をおんぶして歩いているとは…。一体??


「おい、お前は…??」


「領地グリスタール、ライアール村、ツシキマ家のスイレンです。ベネツィオは全てを捨てて旅立ちました」


止まった? ベネツィオがいたのか? と、幌馬車からアルトが降りる。そこでジェフレイジと対峙するのは、ス、スイレン? アルトは無心で駆け出すと、スイレンを抱きしめる。


「どういうことだ? スイレン!! いや、そんなことはどうでもいい…。生きててくれてありがとう!!」


ジェフレイジは困惑するが、首を振り冷静になる。

「おい、ベネツィオを逃したのか?」


「ベネツィオを止められる者が、この世界に何人いるのでしょうか?」とスイレンは抱きついているアルトの肩越しに答えた。


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