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すみません。テイマリアン・サーガを読みたくて  作者: きっと小春
第五章 ひしめき合う闘争と成長点
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スイレン

魔法の箱に入ったベネツィオは、深い悲しみに捕らわれていた。中にはスイレンの遺体が保存されていたのである。


無残な遺体を前に、どうにか生き返らせることができないか思案する。いや…考えなくても命の眷属であるわたしにはわかっていた。人の魂が大量に必要なのだと。だが…そんなことをしてまでも生き返ったスイレンは喜ぶだろうか?


はぁ…。どうしたらいいもんかね。


うん? あっ、わたし…いつ出れば良いのだろうか? リーナのように外の情況を教えてくれる人がいないのだ。えっと中の方が時間が進むの遅いから…。そろそろ出ても大丈夫?


えいっ! と出る。


すると、約600名に周囲を取り囲まれた中央に自分がいた。あれれ? アルトたちは?


「ベネツィオ!!!! あいつを殺せ!!!」とセニシアルが叫ぶ。


おいっ! 引き渡せと…いや、公開処刑と言っていたな…。


「ワン!」「キュッ!」とメタフォとうさ角が吠える。うん? 任せろということ?


わたしは短剣を二刀流にして防御に徹することにした。


心のスキル、命の達観と無常の諦念が発動する。瞳の光がすーっと消え、殺意に満ち溢れる。


「メタフォ、うさ角。全員を殺しなさい」


命を奪いに来たものを生かして返す義理はない。もう人を殺さない理由を探さない。


メタフォの六本目の尻尾も剣だった。メタフォも二刀流だね!!


僅か5分。残りは…セニシアルだけになった。


「こ、殺さないでぇ…。や、やめろ!! あ、悪魔!!」と喚き散らすセニシアル。


「黙りなさい!!」わたしはセニシアルのほっぺたを叩く。


でも、どうしたものかと、悩む。わたしは命の眷属の力を使い、セニシアルを6歳の男の子にしてしまう。顔も変え記憶も消す。「あなたはアニタリアです。お父さんもお母さんもいません」と眠っている男の子に話しかけた。


灰の魔法を使い全ての馬や死体や装備を灰にする。これで証拠も残らないだろう。


魔法の箱に入ると、命の魔法とダンモフの新芽の力で、スイレンの遺体を修復する。そしてかき集めた魂で、スイレンの魂を呼び戻す。


冥界か天国か…何処からか魂が光の玉となって、スイレンの胸にゆっくりとふわふわと落ちてきた。それはすーっと静かに吸い込まれ、スイレンの心臓が再び動き出す。やがてスイレンの肌に赤みが戻り、静かに目を開ける。


「ベネツィオ?」いつも豪快なスイレンからは思いもよらぬ小さな声だった。


「うん。まだ本調子じゃないから、今は休んでいて」


そっとスイレンの手を握る。


「私、生き返ったんだね。わかるよ。ありがとう、ベネツィオ。みんなを悲しませちゃったみたい。アルトにね…死んでから告白されたんだよ」


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