ブラックカードの世界 その13
カウント0になっても、音すらしなかった。だが確実に地下側は崩壊したのだろう。
「ベネツィオ…」とアルトが呆然としながら呟く。
フェルスの腕に抱かれたリーナは、魔法弾の直撃を喰らい折れた肋骨が肺に刺さっているようだ。
ウーラはスイレンの変わり果てた姿に声も出なかった。魔法弾の当たりどころが悪く、顔面にヒットした魔法弾が首の骨を折り、ありえない方向に顔が向いていた。胸も潰れ、腹にも穴が空いていたのだ。これは魔法弾の上位である魔鋼弾を喰らったのだろう。即死だっただろう…それがせめてもの救いだ。痛みを感じる前に死ねたのかな…。守れなかった…ごめんなさい…スイレン…。
奇異なウーラに気付いたのか、アルトとフェルスが近づいてきた。アルトは壁を殴り、フェルスは腰が抜けたように床に座り込んだ。
「まだだ。アルト、フェルス。君たちは王国の所属なんだろ? しっかりしろ! ベネツィオとスイレンの分まで生き延びて、こんなことをした奴らに復讐するよ…」
袋小路の通路に入ると、アルトが魔法剣を召喚して見張りに付く。ウーラとフェルスに、リーナを治療する魔法はない。できることはリーナが自分自身で治癒をすること。リーナが目覚めればの話だが…。
そんな彼らの目の前に現れたのは、領地イッシュベルの学園上級生だった。
「よく生き残った。安心しろ、後は俺らに任せろ」魔法・魔導コースの筆頭レオパルドだった。
「シーマス、この子の治療を」
リーナの胸に触れると、リーナの全身から、青い光が溢れ出し、リーナの荒い呼吸が落ち着いてきた。
「ありがとうございます!!」ウーラがリーナを抱きしめながら言った。
「我々にはマジックボックス持ちの仲間がいてね。食料は問題ない。だから同じ学園生徒同士、協力していきたいのだ」レオパルドが提案してきた。
アルトはレオパルドの前に跪く。王の命令で守るべきベネツィオを失い、片思いだったスイレンを失ったのだ。もう騎士のプライドも何もない、ただ復讐するだけだ…。
「私は、王国騎士団・魔法騎士アルトだ。イフリアン王国・ブリタルア国王より承りし使命を全うするため力を貸して頂きたい」
「騎士団? 王国? 使命?? 一体…」流石のレオパルドも困惑する。
「この世界を維持している者が、このダンジョン内にいる…そいつを倒すため力を貸して頂きたい」
「首謀者が…このダンジョン内に??」驚く上級生たちを制するようにレオパルドは手を上げた。
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魔導帝国ビルシュ・ベルの帝都ジェスタの中でも一番高い塔の最上階にいるファンティナル最高魔道帝は、リーザケルマン最高魔道帝に確認する。
「イフリアン王国より、火柱は届いたのか?」
「いや…。何の報告もない」
「ふん。その程度か、イフリアン王国は…ならば、なぜ…そんな国に…」と呟く。
眼下に広がる帝都ジェスタが夕日に沈む中、決して満たされぬ心の赴くまま、次なる行動に出ようとしていたのであった。




