↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すみません。テイマリアン・サーガを読みたくて  作者: きっと小春
第五章 ひしめき合う闘争と成長点
135/286

ブラックカードの世界 その10

魔導帝国ビルシュ・ベルは6名の最高魔道帝が治める国である。しかし数十年前から1名の空席となっている。理由は簡単でその席に見合う実両者がいないだけだ。魔法の頂点に君臨する魔導帝国を治める5名は強硬派と穏健派に分かれており、とある事案が発生するまで穏健派が3名だったため、多大なる犠牲と費用がかかる新たなる魔法に力を注ぐよりも、既存の魔法をより洗練させる政策を推し進めていた。


そう、とある事案とは、ベネツィオが遺跡の件で使用した火柱である。天をも貫くその圧倒的な破壊力に、魔導帝国が過去封印してきた破壊術式・禁断術式を蘇らせ進化させるべきだと訴えてきた強硬派へ、穏健派から1名が鞍替えしたのだ。


魔導帝国ビルシュ・ベルの強みは、その決定力と行動力、その両者のスピードにある。強硬派、ファンティナル最高魔道帝は、イフリアン国王の魔法に関する国力を低下させるために、学園を狙ったのだ。それも魔導帝国が過去封印してきた禁断術式を蘇らせ、その威力と有用性をアピールするが如く。


ファンティナル最高魔道帝は、数十年に渡り空席がある理由をこのように述べていた。「保守的な魔法など何も生み出さぬ。その証拠に最高魔道帝になれる人材が育っておらぬではないかと。革新的な魔法だけが、魔導帝国ビルシュ・ベルの未来を作るのだと」


強硬派であり、ファンティナルと共に何十年と肩を並べ歩んできたリーザケルマン最高魔道帝は、彼のあまりにも個人的な感情が、魔導帝国ビルシュ・ベルを突き動かしていることに、憂いを帯びた目で見守っていた。ファンティナルの本当の目的とは、恋人であり、数十年前に最高魔道帝の地位を捨て旅立ったヴィシュレイノベラに、もう一度振り向いて欲しいからだった。


ファンティナルは、彼女を愛するあまり、幾度も暗殺者を送り亡きものにしようとしたのだ。自分以外の誰かと愛し合う姿を想像しただけで心が張り裂ける苦しみから逃れるために。それは魔導のみを追求し人の心がわからぬファンティナルが出した悲しい答えだった。


そのヴィシュレイノベラがイフリアン国王にいると知った今、彼は止まらないだろう…。しかし誰が…何のために、この時期にヴィシュレイノベラの情報を渡したのか…。


穏健派の二人は、神聖国ノ−ブレディッシュを介して、イフリアン王国から通達された内容に驚愕し、即刻敵対行動を止めるようにファンティナルへ訴えていた。


そのような暴挙は、イフリアン王国のみならず、神聖国ノ−ブレディッシュが知り得た今、世界各国へ事実が広がるのは時間の問題であった。またイフリアン王国・ブリタルア国王からは、生徒の命が1つでも失われようものならば、魔導帝国ビルシュ・ベルの帝都へ火柱を落とすと宣言されたのだった。


「放っておけ、火柱が、我が帝国に通用しないことを実証する良い機会ではないか」とファンティナルは狂喜に満ちた目で笑っていたのである。


***** ***** ***** ***** ***** 


領地イッシュベルの学園長であるイーノーべは、王宮魔法使いフィプスアローに手紙を送っていた。


ある書物から今回の案件に近い事例が見つかったと記されていた。”その事例では、ある次元に多くの人間を閉じ込めておく場合、その術者もその次元内にいる必要がある”というものだった。


フィプスアローは、早速、ミラージェル王妃の報告すると、事前に作成していた生徒の名簿に目を通した。


国内の犯行の可能性を調べるべく、作らせた資料は元々、<学園に在籍する生徒が、”いる貴族”、”いない貴族”>であったが、生徒の出身先まで記されていたのだ。


「国外の生徒は、たった1名。なぜ気が付かなかったのだ…。ベネツィオとの連絡は?」


「はい。ベネツィオ側からの一方的なコンタクトですので…。正確な時間は不明ですが、恐らく、あと数時間後には…繋がるかと」


椅子に深く座り直すミラージェルだったが、学園長が知り得たタイミングが妙に気になっていたのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。