ブラックカードの世界 その9
テイマリアン・サーガの主人公なら、傷ついた人を治療し、恐怖に屈した男も助けただろう。
心のスキル、命の達観と無常の諦念が発動して、これ以上のストレスを軽減する。
現在、地下4階だ。イライラしていて不眠不休でここまで来てしまった。食料は見つからなかったけど、敵からのドロップで肉をゲットした!
何だか懐かしいな。”十字路の鍾乳洞”を思い出す。さてと、ちょっと寝るかな。
魔法の箱の中に入る。この中ならば見張りも必要ない。ダンモフのモフモフで寝るのも久しぶりだね。一応、寝具もあるけど、やっぱりダンモフがいい。
王宮魔法が再使用可能になっていた。”素娥の旋律”を発動させフィプスアローと連絡を取る。
上下どちらかの階層全てが消滅するまで残り数時間だが、魔導帝国ビルシュ・ベルまで繋げられないと報告してきた。
「あれ? 消えるのは1階層だけだよ?」と言うと、「お前が言ったんだろ!! 報告は正確に!!!」と目茶苦茶怒られた。「で、でも…実質、このダンジョン内では死者が増え続けているよ」と論点をすりかえて逃げる。
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ベネツィオと別れて20日が経過した。
アルトたちは休憩していた。スイレンも巨人の斧の反動から回復していて、アルトの負担もかなり減っていた。今は、スイレンだけが起きていて、大地の斧を召喚した状態で、見張りをしていた。
他の生徒たちとは、まったく出会わなくなっていた。それが広いダンジョンに分散したからか、死んでしまったからか、わからないが…。
スイレン達は現在27階にいる。災害指定級の魔物が出現していないため魔物との戦いは、スイレン達にとって丁度いい練習相手程度なのだ。
リーナも”光の魔法・光竜の羽衣”という魔法を覚えて、接近戦をガンガンと熟していた。竜の羽衣の防御力と竜の盾が相性良く、まるでベネツィオ並の防御力なのである。予想外の戦力も増えて、5人のダンジョン攻略は楽勝といったところだ。
”久しぶりだね! 元気だった? 現在の生存者数を公表するよ!! えっとね…。1,856 / 2,433だよ!! 結構死んじゃってるね!! それでは死亡原因を報告する前に説明するね! 死亡原因は直接影響を及ぼした事象だからね! 例えば、餓死寸前で魔物に襲われたら魔物が原因ね! 魔物に重症を負わされて仲間が介錯したら生徒が原因だからね! それでは発表します! <魔物:312、生徒:91、餓死:174、罠:0> こんな感じでーす!! ”
「巫山戯やがって…」と憤るスイレンに、フェルスが「怒るだけ相手の思う壺だ」と諦めろという表情で言った。
「そうですよ。この情報だって、信じられるかどうかもわからないんですから」リーナも起きていたのか、ブラックカードを見ながら言った。
「それより、気になるのは、”罠”という項目ですね。この先、罠もしっかりと警戒しないといけませんね」とフェルスが注意を促す。
「罠って、1日1階層消えることじゃないのかな?」とウーラが推理する。
「それより、ベネツィオは大丈夫か?」とアルトがリーナに確認する。
「ええ。もう地下42階にいます」




