ブラックカードの世界 その4
喜んでいるアルトの横でスイレンが膝を突き、両手をだらんとさせていた。
「スイレンさん? ヒールを!!」とリーナが叫ぶが、スイレンは拒んだ。「これは…通常のダメージじゃない。あの大技を使った代償だ。しばらく斧が持てない」
メタフォは、ドロップアイテムの竜の髭を咥えてきた。もしかして?? みんなに了承を得てドロップアイテム竜の髭をメタフォのお尻に刺してみる。
前回同様、既存の尻尾と同等の太さになり鋼色の輝く。「ワン!!」とメタフォは嬉しそうだ。
フェルスが竜の指輪と竜の盾を鑑定した結果、竜の指輪は自分の口からブレスを発動できる効果があり、竜の盾は自動で身を守ってくれるそうだ。
「竜の指輪欲しい人いる?」とわたしが聞く。みんな微妙な顔だ。じゃ、ちょっと保留で。
「竜の盾は、誰が持ってもいいよね。う〜ん。どうしようかな…」
「でも盾は一応、手に持たないと駄目なんだろう? 俺とスイレンは両手塞がってるぜ?」アルトが言った。
「ウーラも両手使うし、残りは、リーナかフェルスになるよね」
「リーナが良いと思う。唯一のヒーラだし、戦いに慣れていないから」とフェスが譲ってくれた。
リーナが手に持つと、スッと盾が消える。どいうこと? リーナも驚いて確認する。掌に盾の印が浮かび上がっていたので、意識して盾を出ろと念じたら、盾がまた召喚された。いいじゃないか、コンパクトな盾だね。ちなみにアルトが盾を出した状態のリーナを攻撃したら、自動で盾が剣の攻撃を防いでくれた。
一通り回収も済んだところで、王宮魔法を確認したけど、まだ再使用できない。
「あれ? そいうえば、出入り口って、全部閉じちゃったんじゃ?」
「ううん。ほら、あそこ、見て」とウーラが指を差す。今までの壁の出入り口ではなく、魔法陣があった床に階段が現れていた。
わたしは支援魔法で筋力をアップすると、スイレンをお姫様抱っこする。
「な、何を!!」と驚くが、「だって、本当は歩くのも辛いんでしょ? このぐらいは、わたしにも手伝わせてよ」と照れるスイレンを言いくるめる。
「待って、ベネツィオ。進む前に決めないと行けないことがあるわ」と戸惑うリーナの表情が怖かった。一体何を決めるのだろうか? もう決断はしたくないよ。だが心が繋がっているため、リーナが何に気が付いたのかわかってしまう。
「わたしから言うわ、リーナ。大丈夫よ。声の主が言ったことを覚えている? 直接手を下せないが死を望んでいる。そこに食料が全員分無いというメッセージ。つまり完全に生徒同士の殺し合いを想定しているの。決めることは、この先、同じ国、同じ領地、同じ学園、同じクラスの人たちと殺し合う覚悟あるか? ということ」
「それは…先に進んで、その場で決めれば?」ウーラが言った。ウーラはわたしを殺害しかけて、他人の命を奪うことに、当たり前なのだが、酷く躊躇している。
「それでは遅い。俺の最優先は、ベネツィオの命だ。だから俺は次に遭う奴らを敵だと考えている。命を奪うのも躊躇しない。悪いがお前たちにも、俺の考えを強要する」
アルトの強い口調にスイレンが付け足す。
「この先、どのような試練が待っているかわからない。仲間を募らなければ倒せない魔物がいるかもしれない、仲間が増えたことで食料が足らなくなるかもしれない、最終的に脱出できる人数に制限があるかもしれない、逆に一定の人数がいなければ脱出できないかもしれない、裏切りに注意しなければならない」
一体…どうすれば??




