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すみません。テイマリアン・サーガを読みたくて  作者: きっと小春
第五章 ひしめき合う闘争と成長点
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ブラックカードの世界 その3

数十箇所の出入り口が全て閉じると、接ぎ目一つ無い光沢ある黒い壁に戻った。


部屋中央の床に、教室一つ分ぐらいの大きさの魔法陣が、鈍い光を発しながら浮かび上がる。


「や、やばい、予感しかねーな」と魔法剣のアルトが誰よりも前に立つ。


「いいですか、アルト以外は、守りだけを考えてくださいね」フィプスアローの愛弟子であるフェルスは、先程ベネツィオが使った王宮魔法に少なからずショックを覚えていた。弟子になって数年が経った今でも王宮魔法を習得していないのだ。それなのにと…。


魔法陣から出てきた魔物は…。「「「ド、ドラゴン?」」」と皆が驚くが、しかし…首しか無かった。


「竜首だ! 気を付けろ! 災害指定級の魔物だ!!」アルトが竜首に駆け寄る。無謀じゃない? とわたしは思ったが、アルトには成さねばならぬ重要な行動だった。アルトを追いかけるように、竜首の向きが変わる。竜首は大きな口を開けると、この広い部屋の壁まで届く程の射程距離を持つブレスを吐いたのだ。


なるほど…。こちらを向いていたら、一撃で全滅だったのね! しかし…あの巨大な魔物を一撃で倒せる威力のある攻撃手段は、メタフォビームしかないんだよね…。下手に刺激して反撃を喰らうことを考えると…。


「はぁっ!!」とスイレンが支援魔法で己の筋力を倍増して大地の斧を竜首の後頭部に叩きつける。


ゴギャァッァァッ!! という叫び声と一緒にブレスを撒き散らす。そのブレスの正面に魔法障壁を作り出してみたが、本物のガラスのように簡単に砕け散った。


ブレスが止むと、アルトとスイレンが正面から、竜首の鼻先に斬りかかっていた。


わたしに何ができるのだろう? 短剣を構えるとフェルスに肩を掴まれた。「駄目です。ベネツィオは守りを…」


考えろ! 少しでも有利に!! 支援魔法でアルトの素早さを上昇させると、アルトはニヤっと笑った。


一瞬のミスも許されない攻防の中、小さなダメージが蓄積され、竜首も生きが荒くなってきていた。「メタフォ! うさ角! いけますか?」と今まで温存していたカードを切る。「ワン!」「キュッ!」と返事をすると勢い良く飛び出して行った。


驚くべきことに、竜首がブレスを吐こうと大きな口を開けたところに、うさ角のかかと落としで、口を閉じさせてしまったのだ。閉じた口の中で爆発するブレス。流石の竜首も防御力のない口内に大ダメージを受けたみたい。


その一瞬の隙にメタフォが本気の60連撃を繰り出す。はっ!? 60連撃って…。


今までの強敵は質より量だったから…単体に対して魔物たちが、ここまで強いとは思わなかった。


チャンスとばかりにスイレンが、学園長と特訓していた大技を発動させた。


大地の斧を振りかぶり「巨人の斧!!」と叫ぶ。斧はまさに巨人が持つに相応しいサイズとなり、振り下ろすと、竜首の長い口を押し潰した!! そしてアルトが巨人の斧をジャンプで飛び越し、最大の長さにした魔法の剣で、竜首の脳に突き刺したのだ。


竜首が横に倒れると、ドロップアイテム:竜の指輪、竜の髭、竜の盾と金貨100枚になった。


大はしゃぎする物理系チームと魔物、魔法系チームは…何も出来ずに落ち込んでいた。


「ハハハッ!! まぁ、この魔法剣のアルトさんに、きっちり着いて来い! 守ってやるぜ」


「この! 調子に乗るなよ、アルト!!!」フェルスにほっぺたを抓られていた。

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