ブラックカードの世界 その2
各領地の学園から、生徒失踪の知らせが、王宮に次々と届く。しかし各領地の学園および王宮魔法使いを筆頭とする王宮魔法省、王国騎士団、国防省の諜報員たちを持ってしても、何一つ手がかりは探し出せなかった。
「何の痕跡も残さずに…これだけの人数を連れ去ることができるものなのか?」意味のない国王ブリタルアに声に耳を貸さずに、ミラージェル王妃は、現時点で取れる行動を指示する。
「総務省と連携し、学園に在籍する生徒が、”いる貴族”、”いない貴族”を調査しなさい」
「フィプスアローに現地の調査を依頼しなさい。何処の領地でも構いません」
「外務省には、他国でも同様の事案が発生したか、情報の収集を、くれぐれも内密に」
「学園関係者には、過去に同様の事例が、何でも良い、失踪に関する手口や魔法がないか調査を指示しなさい」
「これは我が国、イフリアン王国への宣戦布告であり、報復も辞さない。そのことを肝に銘じて行動をお願いします」
***** ***** ***** ***** *****
流石は領地が違えど、学園の生徒なのか、各領地の学園代表者が集まり、今後の対応を協議していた。
しかし、ブラックカードに…次のメッセージが表示されると、一旦落ち着いた生徒たちが動揺し始める。
”味方はいない。食料はどうする? 全員分の食料は無いぞ? くくくっ”
完全に生徒同士の殺し合いを想定したメッセージだった。
メッセージが表示されると同時に、黒い壁に、数十箇所の出入り口が作られた。
「ベネツィオ、俺達のリーダはお前だ。行くか、待つか、今後を左右する大きな選択だぞ」
ぐぬぬ…。選択か…。必ず悪い方を選んでしまうわたしに選ばせるとは…。いや、例えば、他人に任せると言ったとしても、その他人を選んだのも自分、他人に任せたのも自分、結局、何をどうしてもわたしが選択したことになるのだ。
夏休みの計画を立てている最中に、わたしの魔法の箱に、6人で20日間生きていける食料を詰め込んである。しかし…水が問題だ。水は場所を取るため10日間分しか用意できていなかった。
生徒たちは蜘蛛の子を散らすように出入り口に飲み込まれていった。そして誰もいなくなった空間で、未だに悩むベネツィオだった。
「俺達、最後じゃねーか」と呆れるアルト。あっ! と声を上げたベネツィオが魔法を発動させた。
「初めてだけど、上手く発動してくれよ…。王宮魔法…素娥の旋律!」
その魔法は、時空を超え、王宮魔法使いフィプスアローに繋がった。流石、王宮魔法!!
フィプスアローに現在に至るまでと現在の情況を伝えたところで、魔法の効力が切れてしまった。
「この魔法の再使用までの時間がわからない。どうしようか、進むべきか、もう一度、繋がるのをまつか…」自分の選択運の無さに自信消失気味のベネツィオは判断力が鈍っていた。
しかしブラックカードの世界は、停滞という事象を許さないのか、ベネツィオたちにメッセージが送られた。
”慎重なことは良いさ。それとも臆病なのかい? そんな君たちにプレゼントがある”




