ブラックカードの世界 その1
わたしたちは夏期休暇について議論している。誰一人として、わたしが狙われる可能性があるからと、学園に引きこもろうと言う者はいない。いない…。それで、良いのか? はて?
「二ヶ月もあるのです! 流石に国外や別領地は許可が下りないと思いますが、冒険をしたいじゃないですか!!」魔法剣のアルトが力説する。おい、護衛のお前が…それ言っちゃって良いの?
出逢ったことは、御国系の護衛ということで、ちょっと引き気味だったリーナとスイレンも、熱く接する二人に打ち解けるのも早かった。わたしとリーナは二人の天然っぽい部分に安心感を覚えたのだが。
「う〜ん、冒険ギルド? それも良いけど、わたしたちのランクが低いから、それほど激しい場所には行けないよ?」ハードモードは不可と教えておこう。
「うん、まったり系のクエストばかりだからね」リーナも安心できるクエストばかりで喜んでいた。
「う〜ん、フィプスアロー様に前人未到のダンジョンを紹介してもらうか?」フェルスが余計な事を言い出した。
「「おっ!?」」と食らいつくアルトとウーラ。
ワイワイ、ガヤガヤと言いたいことを言い合ったが、結局この日は何も決まらなかった。
それに、誰も故郷に帰ると言い出さないのは、わたしの護衛だから?
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学園には期末試験などはない。試験のために勉強をするのではなく、自らが目標を立て、授業を利用するのが本校のスタイルだからだ。なので卒業生の実力はバラバラなのだ。それにクレームを入れる保護者もいるが、本校は一定の実力を保証し100人の凡人を作るよりも、1人の天才を生み出したいという信念だそうだ。
そして前期最終日。わたしとスイレンは部屋を出ようとしたとき、ドア下の隙間から黒いカードが差し込まれていることに気が付く。
「完全に怪しいわね。待ってて、何か調べる魔法が…」って、言う前に…スイレンがカードを拾ってしまった。
「特に、何も無いわよ? えっと…。魔法屋新規開店のお知らせ?」スイレンがカードを読む。
「うん? 関係者以外、寮に入れないもんね。誰か生徒がバイトで配っているのかな? ねぇ、その店、何処に出来たの? 学園エリア? 商業エリア?」わたしが尋ねると、スイレンがカードの裏側を見たその瞬間、カードから黒い光が放たれる。
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(起きて…。ねぇ、起きて…よ)リーナが夢の中に語りかけてくる。
ハッと、目が覚める。ここは? 調べると接ぎ目一つ無い光沢ある黒い材質不明の壁で部屋が覆われていた。中には壁を破壊しようとする者もいたが、目的を果たせずに苛立ち叫んでいた。
完全に閉じ込められていた。余裕がなく、リーナたちとも一言も口を利いていなかった。
この巨大な空間の中には、アカデミックローブを着た。数千の生徒がいた。イッシュベル領地の生徒、上級生から、他の領地の生徒まで…。
「愚かなる生徒諸君…。嬉しいことに、誰一人として取りこぼすこと無く、全ての生徒を…。このブラックカードの世界に引きずり込むことができた。我らの目的は、ただ一つ、お前らの死だ。だが、残念なことに、直接、手を下すことは許されていない。また脱出方法を教えるという制約も忌々しい。詳しいことは、お手持ちのブラックカードをご参照のこと…。では、精々頑張って足掻いてみろゴミ学園の生徒ども…」




