手繰り寄せられた未来 その5
第四章 植え替えられた魅惑の少女 最終話になります。
「ベネツィオ、名を変え、別の人生を歩ませることも考慮しましたが、あなたは良くも悪くも目立ちすぎるため却下しました。また国のために働いてもらうにも経験がたりません。あなたの未来は、私たち4人と共に考えていきましょう。元の学園に戻って、沢山学んでください」
ミラージェルが処分を決定したのだ。これはブリタルア王の意向に沿った決定であり、それ以外の選択肢はありえなかった。なぜならば、彼からは王の全てを捨ててでもベネツィオを守ろうという強い意志を感じたためだ。子に全てを託すミラージェルがそれをわからぬはずもなく、初めて彼女が折れた形となった。
「では、ここからは私が…。ベネツィオ、学園に戻るということは、我らの保護下から外れるということ。まずお前は国内外の様々な組織・団体から狙われていることを認識せねばならない。誘拐、暗殺、懐柔などなど…何が目的で、どんな手段で、お前を陥れるかは誰にもわからん。常に危険が付き纏っていると考えてくれ」ジェフレイジが恐ろしい目つきでわたしを睨みながら説明する。
「護衛は、王国騎士団と王宮魔法使いの合同育成の魔法騎士を学園に投入することで対応します」フィプスアローが付け加えた。
「遺跡の大爆発は国の機密、アンデッド討伐中の広域魔法はフィプスアローの魔道具として公表してある。今回の手柄はなしだ。お前はただの学園の生徒として戦ったに過ぎない。お前が王宮にいたことも王族の血を引くことも極秘だ」ブリタルアは笑っていた。
「はい、それで十分です。あの…最後に、イーノーベの情報が欲しいです」
「イーノーベ? 誰だそれは?」と4人は口々にした。
「えっ!? あの…それは…勉強不足でごめんなさい…。王族や貴族の…策の一つで、話せないということでしょうか?」
「いや、本当に知らんぞ?」ブリタルアが顔を傾けた。
「えっ!? でも…あのとき…いえ、何でもありません。ありがとうございました」
そして魔物の3体と、3本の短剣がブリタルアから渡された。
「気を付けろ、その短剣は魔力を込めると、王族の紋章が浮かび上がる。代わりにこの2本を使いなさい」
青い髪の毛を後ろで縛りポニーテールにし、はち切れんばかりの豊満な恵体をアカデミックローブで包み隠し、顔立ちもはっきりした可愛い少女は、何とも魅惑的な笑顔で。3体の魔物を体全体で迎えるのた。
たったそれだけのシーンで、誰もが美しいと感じる。それがまたベネツィオの脅威でもあった。
挨拶を済ませたベネツィオは、王宮魔法使いフィプスアローと共に学園に転移した。
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そこは学園のFゾーン。教員のみに許されたゾーンだ。そして学園長室のドアを開け入ると…。懐かしい感じの老婆が座っていた。
「ようこそ。私は、学園の学園長イーノーベです」
何処かで遭ったような? わたしの記憶を探るが、思い出せない。
「学園長、通達の通り、現在、ベネツィオは王国の最重要機密人物に指定されています。お忙しいところ大変申し訳無いのですが、ベネツィオを守って頂きたい」
「えぇ…。勿論ですよ」ニッコリと笑う学園長に、何だが、わたしはほっこりしてしまった。
「魔法・高官コース、1年のベネツィオです。よ、よろしくお願いします」
わたしはペコリと不思議な老婆にお辞儀をするのだった。
次回は、”第五章 ひしめき合う闘争と成長点”です。




