手繰り寄せられた未来 その3
そのドアの向うにいたのは、毎年、村長バルベルデの家で一緒に食事をする謎の男性、ブリタルアだった。
「久しぶりだな。ベネツィオ」
ブリタルアは、まずベネツィオの父親だと名乗り、次にイフリアン王国の現国王だと名乗った。そして自分とベネツィオの置かれている情況を説明した。
「数枚の資料を見ただけで、お前を語るなと怒られるかもしれん。沢山の苦労を経験したみたいだな。何もしてやれていないのに、お前は…俺のも下に辿り着いた。正直、誇らしい。ベネツィオはどうしたいのだ? 村へ帰りたいか?」
「村ですか…。村に帰っても、もうニールを昔のように愛せない。村の外を、世界を多く知りすぎてしまったから。だって…世の中、テイマーだらけかと思ったよ? 村を出て知ったの、あの村だけが優遇されていたって。笑っちゃったよ。わたしの場合、今いる場所が全てなの。前に進むしか無いの」
「そうか…。自分の息子…いや娘か…。それすらも城の外に出してやれないくらい。私の権力は失墜しているのだ。すまぬな…。お前の戻る場所は、学園か?」
「はい。できれば」
短い会話の後、声を殺し二人は抱き合った。
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次に通された部屋には一人の女性がいた。その対面に座るように促された。
「時間がありません。固い挨拶は抜きにしましょう。私はミラージェル。現国王ブリタルアの妻です。早速ですが、あなたへの処分は私の一存で決まるでしょう。あなたは如何なる罰も受ける覚悟はありますか?」
罰…。何に対しての罰なんだろう? わからない。でも…それがこの世界というものなのだ。
「はい」
ミラージェルは、フィプスアローにベネツィオが保有する”命の達観”と”無常の諦念”を一時的に機能しないようにさせていた。
「この国で最も汚い奴隷たちに、お前が赤子を孕むまで犯させます」
「はい」ベネツィオは膝の上に乗せた両手の拳にギュッと力を入れ耐える。
「その後で、お前の両目と舌を引き抜きます」
「はい…」ポタポタと拳に大粒の涙がこぼれ落ちる。なぜ? そこまでの罪をわたしは犯したのだろうか?
「最後にお前の3匹の魔物を処分します」
ガッと席を立とうとしたところを近衛騎士に押さえられる。
「ま、待って下さい!! メタフォは…魔物は何も悪くありません!! 魔物が罪を償わなければならないならば、わ、私を…拷問でも死刑でも…何でも罰を受けます! 魔物は…助けてください! お願いします…。魔物は…た、たす…けてください」
ミラージェルは微笑む。
「ごめんなさい。ベネツィオ。あなたを試すような事を言ってしまったわ」




