手繰り寄せられた未来 その2
「都市フェイリスで、その爆発による影響が出ておりますが、如何なさいましょうか?」ジェフレイジらしい質問だ。
「災害指定級の案件ですので、調査結果を待って、国から補助金を出します」
「次は、眷属の力を借りた魔法について。資料によると、ベネツィオが壊滅寸前に陥った討伐軍を救った魔法ですね。この質問に関する回答は、国内の討伐軍関係者にのみ公表します。回答内容はフィプスアローが事前に渡した魔道具を使用したと公表しましょう。しかし本当の問題は、”眷属狩り”がベネツィオを討とうとする可能性にあります。これはまた後で考えましょう」
問題が山積みのためか、ささっと片付けるミラージェルに、男たちは感心するしかない。
「領主ホーロヴェムの三男であるシルシニル殺しの件の落とし所ですが、何か良いアイディアはありますか?」
「完全なる正当防衛です。法的には問題ありませんが、報復…貴族間の圧力、暗殺などの危険に晒されるかと…」
ジェフレイジの回答に最もだという顔のミラージェルだ。
「また…兄セニシアルの帰国した後の足取りが掴めていませんね?」
「誰かが手引をしたとしか考えられませぬ」ジェフレイジは訝しげな表情になる。
「話をまとめる。国内外への公式な回答は決まった。後はベネツィオの扱いか…」
ブリタルアは王であり、親であり、また飾りである立場だ。悔しいが一番発言権が低いのだ。
「処分するしかあるまい。まず他国に奪われた場合の損害が計り知れない。また国内の貴族が我先にとベネツィオを奪い合い内戦の火種になりかねぬ。また完全に精神を乗っ取れば、強力な兵器となり、王家、法、権力、財力…何もかも引っ繰り返るのですぞ」
「わたしが保護しましょう。命の達観や無常の諦念が生まれたのはなぜでしょうか? 資料の通り、命の危機でも、自分の運命が捻じ曲げられようとも、決してルールや法に逆らえないがためです。つまりはこの服従の論理に行き着くでしょう。あれだけの力を持ってしても逃げない強く清らかな意思がある証拠。ベネツィオは破壊の化身になどなりません。また王宮魔法使いの側近になれば、国内外や眷属狩りから守りやすいですからね」
「あなた…ブリタルア王との約束は反故されました。わたしとの約束の時、既にベネツィオが女性だったにも関わらず、あなたは…その情報を伏せていました。いえ、例え知らなくとも同じことです。ガイゼリスの妻は、ベネツィオにします。本来の姿ですから」
ジェフレイジは処分を、フィプスアローは懐柔を、ミラージェルは王族への回帰を望んだ。
「あなたは? 何を望むのですか?」
「ベネツィオと話をさせてくれ…」
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その後、ベネツィオの封印が解除された。
「フィプスアロー様? ここは?」見たこともない空間だ。ただより上位の存在が住まう空間だということだけはわかった。
「付いてくればわかる。だが、魔物の封印は…今は、解けない。それは我慢してくれ。連れて行く前に聞かせて欲しい。お前は…あの魔物の力を使えば、自分がどんな立場になるか…高官コースなのだから、わかっていたのだろう?」
「はい。ただ…リーナに助けられたとき、目の前でレイプされる女性を放っておくような、汚い心が浄化されてしまったみたいなんですよね」




