★☆未熟者は暗闇の中で☆★
R‐15です。
その後いろいろ話しながら夕飯をとり、今は部屋で落ち着いている(ちなみに夕飯はグラタンだった椎菜の母親は料理が上手だ。いやあ、美味でござった)。
時刻はもう10時を回っている。
時の流れはあっという間だ。
「もう10時かぁ〜……えへへ、今日は早かったね」
二人で敷いた布団の上で、椎菜が口を開く。
「うん、早かった……それにしても、椎菜のお母さんって料理上手だよね」
「ありがとう。きっとお母さんも喜ぶよ。でも私は、夏村ちゃんがつくったおにぎりも好きだよ?」
椎菜が言うおにぎりとは、確か去年の校外学習の日に、椎菜のサンドウィッチと交換したものである。
夏村が渡したおにぎりは形もぐちゃぐちゃで、塩と砂糖を間違えた上に、乾燥した海苔が自宅に無かったため、海苔の佃煮を塗ったものだ。
自分も一つ食べたが美味しくなかった。
それに比べて、椎菜のサンドウィッチがゴージャスだった。
生クリームとたくさんのフルーツが挟まったフルーツサンドや、シンプルにたまごサンド、がっつり系でチキンカツサンドなど。
いずれも売り物のようだった。
「えぇ、あれ失敗作だよ? 黒歴史だよ? そもそも、健康を害す恐れがあるって。大量の塩……じゃなくて砂糖入れちゃったもん」
ふふっと椎菜が笑った。
「だけど、料理の苦手な夏村ちゃんが一生懸命作ったんだもの。気持ちがこもってたの」
「気持ち、かぁ……」
「夏村ちゃんはなにか気持ちを込めて作ったもの、ある?」
「うーん……」
考えてみると、思い当たる節がなかった。
両親は五年生の頃からいないため、両親のためにご飯を作るなんてことはしたことがないし、学校の人とは上辺だけの友達関係なので「友チョコだよ」とかいうこともしたことがない。
むしろ甘いもの嫌いで通っている。
だから貰うとしても既製品(カップ麺にしてくれと頼んでいる)だし、あげるとしたら椎菜から貰った洋菓子だ。
自分でなにかを作ったことがない。
「ない、なぁ……」
ここで嘘をついてもしょうがない。
正直に答えた。
「そっか……じゃあね……」
椎菜がなにか考えだした。
「明日は給食がないから、お弁当作ろうよ!」
「へ、お弁当?!」
弁当なんてあの黒歴史しか作ったことがない。
給食がなく弁当の日は、親からの仕送りで菓子パンなどをテキトーに買っていた。
「莉子ちゃんと、あん子ちゃんに作ってあげよ? きっと明日がお弁当だってこと、知らないよ?」
パジャマの袖を掴み、お願いしてくる。
「じ、じゃあ……作ってみるよ……」
しぶしぶお願いを受け入れた。
頼まれたら断れない、それが三好夏村だ。
「本当に?!」
少し曇っていた表情が、一気に晴れる。
「うん」
「やったぁ!」
目をキラキラとさせ、心から喜んでいるようだった。
――みんなのためにお弁当を作ろうって言うなんて、優しいなあ……。
「じゃあ、お母さんに言ってくる! ちょっと待っててね!」
そう言いながら、椎菜は階段を駆け降りていった。
特にすることもなくぼけーっとしていると、早々に椎菜が帰ってきた。
運動は苦手なはずなのに、頑張って階段を上り下りしたせいで、肩が激しく上下していた。
「じゃあ、明日、は……5時に、起きよう、ね……時間が、かかる、おかずは、お母さんが、ある程度、作ってくれるって……」
「そっか、わざわざありがとうね」
「う、ううん……そんなこと……」
椎菜の息が整うのを待つ。
ひっひっふー、などとふざけているうちに、すぐに整った。
「じゃあ、もう寝ようか?」
「うん、寝よっか。それじゃ、ちゃんと目覚まし時計をセットしてー……よし! 寝る準備はばっちりだよ!」
「それじゃあ!」
「「おやすみなさーい」」
部屋は闇に包まれた。
――今日は夏村ちゃんにいっぱい褒められた。
――いっぱい喋った。
――それに……キスまでしちゃった。今思い出しても恥ずかしい。きゃっ。
――でも嬉しかった。
だが、椎菜には許せない存在がいた。
三好あん子。
夏村を襲って、ブラウスに下着一枚という格好にして、ディープキスまでして。
許せない。
壊してやりたい。
存在を消してやりたい。
いなくなればいい。
でも、存在を消してしまったら夏村が悲しむ。
だから消せない。
妄想の中では何回も消せている。
現実はうまくいかない。
三好あん子がいなくなれば、自分は夏村とあんなことやこんなことができる……むふふ。
体の向きを右に向ける。
すぐそこには愛する夏村の寝顔がある。
襲ってしまいたい。
あん子がやったレベルを超えれば、夏村にとって自分は一番になる。
――うふふ。
立ち上がり、そっと近づく。
そして夏村に馬乗りする。
潤った唇に、自分の唇を近づける。
が、重なる直前で止めてしまう。
――……っ。
唇をきゅっと閉じる。
襲ってしまいたい気持ちはやまやまだ。
だが夏村の意識がない状態で襲っても意味がない。
それにこんなことをして、嫌われてしまうのが怖い。
誰かに一番をとられてしまうより、嫌われるのが怖いのだ。
夏村に嫌われたら立ち直れない。
夏村が笑っていると、自分も幸せになる。
そんな夏村に拒絶されたら……。
考えるだけでも恐ろしい。
実際、すこし考えただけで唇が震えている。
「夏村ちゃん……」
聞こえないようそっと呟く。
――そうだ。
別の考えが浮かんだ。
一旦自分の布団に戻り、そこから夏村の布団に潜り込む。
「……ん、椎菜ぁ?」
重たいまぶたを擦りながら、夏村が起きた。
「ご、ごめんね、起こしちゃって……」
起こすことが目的なのだが。
「ちょっと、寂しくなっちゃって……」
「そっかぁ……椎菜は寂しがり屋さんだもんねぇ……さ、おいでぇ……」
どこの聖母だよ、と心の中でつっこむ。
が、言われるがままに夏村の腕の中に失礼する。
ここで夏村にお願いする。
「あん子ちゃんと、やったこと……私とも、しよ?」
三好あん子成分を浄化するつもりだ。
夏村はびっくりしたのか、素っ頓狂な声をあげる。
しかし、それも一瞬の出来事。
「じゃあ……してみよう、かなあ……」
これこそが最大の狙いだ。
夏村ちゃんノートの過去の記録によると、ちょっと眠気があるときにお願いするのが効果的なのだ。
「本当に? ……嬉しい。じゃあ、まず、パジャマ……脱がせて?」
このときのために、ボタンで留めておくタイプのパジャマにしたのだ。
「いいよ」
微笑みながらボタンを外していく。
細い指で、下のボタンから順に外す。
中にブラジャーしか着ていないため、お腹がまる見えだ。
夏村の手先は止まることなく、あっという間にボタンを外し終えた。
勝負下着(可愛らしいリボンがついたピンクのブラジャー)があらわになる。
もちろん胸も。
「じゃあ、夏村ちゃんのも、脱がすね?」
夏村はボタンタイプではなかったので、袖を抜いてからパジャマを脱がせた。
夏村は白い小さめのブラジャーだった。
胸相応といったところだ。
次はズボンだ。
「さすがに、ズボンは自分でやろうか」
「私も、そう思ってたの」
ズボンを下ろす。
勝負下着をお披露目だ。
夏村は水色と白のしましまパンツだった。
夜中に部屋で下着の少女が二人。
恥ずかしい。
顔が熱くなるのがわかる。
部屋が暗いため、あまり目立たないのが救いだ。
「寒いから……だ、抱き合おう? ほら、裸で温めあうと、あったかく、なる、って、聞いたこと、ある……ような、ないような」
言葉がすらすらとでてこない。
「う、うん」
夏村が承諾したので、同じ布団の中で抱き合う。
風呂の中もアリだが、布団の中ももちろんアリだ。
心臓が恐ろしいほど早く鼓動する。
それは夏村も同じだ。
「はわっ」「ひゃっ」
夏村と自分がほぼ同時に声をあげる。
無意識のうちにブラジャーを外しあっていたため、お互いの胸が支えを失った。
――夏村ちゃん、やるね。
わけのわからない感想を抱いた。
頭が混乱しているのか。
続いて手が下に伸びる。
さすがにまずいと思ったが、手は止まらない。
指が太ももにあたる。
パンツを下にずらした。
ずらしたあとに、やはりこれはまずいと思った。
自分から誘ったくせに、ここで折れるなんて情けない。
「……ごめん、ね」
とりあえず謝る。
「いや、私……すでに、下げちゃった、から……」
夏村は罰が悪そうに目を背ける。
なんのことかと思い、自分の下半身に目をやると、たった今自分が夏村にしたことが、自分にもされていた。
「夏村ちゃん……やるね」
さっきと同じ感想を、今度は口にだした。
「そっちこそ」
にししっと笑う。
「お互いへたれだね。大事なところで折れちゃって」
「そうだね。まだまだだよ、私達」
「もうちょっと鍛えないと……」
そしてまた、笑い合った。
恥ずかしいとかは言えない。
お互い気持ちは同じだ
だから笑うことしかできない。
そしてどちらから言うでもなく、時間の都合的にも、今回はここまでにしておいた。
――まだこのくらいがちょうどいい、かもね。
パジャマをしっかりと着て、同じ布団で眠りについた。
自分頑張りました!←
結構長く書きましたね、今回は。笑
つまんねー、もっとやれ!
って思った方、すみません!




