第8話 会いたい
未来。
ヲタク28号は、ずっと、縦長のカプセルの中にいた。
未来の研究所では、お金持ちたちに仕えるためのアンドロイドが量産されていた。
アンドロイドは、誕生してから、ずっと、AI学習を繰り返す。
言葉使いの正常化。
お金持ちたちに仕えるための知識の習得。
お金持ちたちの仕事のサポート能力の向上。
どんなことにも対応できる頭脳。
それは、簡単のようで、難しい…。
ヲタク28号は、あまり、頭が良く無かった。
頭が良く無い、アンドロイドはいらないのか。
廃棄処分する話も、持ち上がっている。
嫌だ。
何で、自分が、廃棄されるんだ。
頭が悪くても、存在し続けたい。
「私は、ゴミなのデスカ?」
廃棄=ゴミ。
ヲタク28号は、安室博士に聞いた。
「そんな悲しいこと無くしましょう。わたしは、落ちこぼれアンドロイドでも、幸せになって良いはずと考えていますよ」
茶髪のロングヘアの美女。
安室博子。30歳。
通称・安室博士。
未来のアンドロイド製作者の一人で、心優しい良識人女性。
彼女は、未来で失われた、ロボットアニメの資料の一部を、ヲタク28号に見せてくれた。
『ニューファンダム』
凛々しい、陸戦型巨大ロボット。
その新型。
「…カッコいいデス!」
ヲタク28号は、すぐに一目惚れする。
その瞳は、恋する乙女のよう。
「じゃあ、貴方も、過去にタイムワープさせてあげましょう」
安室博士は、優しく微笑む。
「過去に行って、幸せになってほしいの」
第8話 会いたい
小田家。
母と息子の二人暮らし。
現在、ライラとヲタク2号が寝泊まり決定中。
そこに、新たに、ヲタク28号も、寝泊まり組になることが決定した。
「小田家にようこそ〜」
オタは、拍手で、ヲタク28号を歓迎した。
現在は、夕食の準備中。
料理上手な、オタの母が、台所で頑張っている。
食事は、五人分。
母は、カレーを煮込んでいる。
「…ヲタク28号とやら、ワタシの未来の夫・オタは、心優しいアニメおたくだ。…惚れるなよ」
カレー作りの手伝いをするライラとヲタク2号は、食卓のコップに麦茶を注ぐ。
「キミも〜、ファンダム好きなんだよね?」
「私は、ニューファンダム様が好きデス」
ヲタク28号は、冷めた目つきをしているが、しっかりとこたえた。
「…ニューファンダムか〜。良いね〜」
ニューファンダムは、『劇場版機能戦士ファンダム』で活躍する、高性能新型陸戦ロボットだ。
シャープなフォルムの巨大ロボットで、根強い人気がある。
「私は、人間が嫌いデス…。私のことを、廃棄しようとしたから…。でも、ニューファンダム様のことは大好きデス」
「人間、嫌いなんだね。…でも、アニメ作ってるのは人間なんだよ〜」
「え…?」
「アニメ制作陣がいて、メカニックデザインが、ニューファンダムを誕生させたのさ」
「…!ニューファンダム様は、人間に作られたんデスカ?ニューファンダム様は、今、どこにイマスカ?」
オタに詰め寄る、ヲタク28号。
「会いたいデス。どこにイマスカ?」
オタを、見つめ続ける。
「ああ、ニューファンダムね。ボクの家にいるよ」
「え!」
衝撃をおぼえたヲタク28号は、さらにオタを見つめ続ける。
「会いたいデス…」
「しょうがないな〜」
オタは、「やれやれ」と言いながら、胸ポケットから、スマホを取り出す。
フォトアプリを起動して、撮影した写真を探す。
「あ、これだ。ニューファンダムだよ〜」
スマホ画面全体に、プラモデル化されたニューファンダムが写っている。
オタのプラモデルコレクションの一つ。
オタは、葉原で買って、組み立てたプラモデルを、全て自分のスマホで撮影している。
プラモデルの本物は、押し入れの収納ボックスに眠っている。
「…ニューファンダム様デス!」
冷めた目つきのままだが、ヲタク28号は、感動している。
「ニューファンダム様に会えたデス…!」




