第7話 ヲタク28号
葉原。
くもってきた空を見上げる、美少女コスプレイヤーがいた。
名前は、篠原量子。16歳。
通称・リョコちゃん。
高校に通いながら、ゲーム系のコスプレイヤーとして、イベントに引っ張りだこの女の娘だ。
彼女は、現在、ゲームアプリ『電子の妖精28号』のヒロインのコスプレをしていた。
ヒロイン・28号は、藍色の髪の妖精だった。
「リョコちゃん。雨振りそうだから、撮影は休もうか」
「はーい。わかりました」
ピカッ
「…きゃあ!」
空から、リョコちゃんの前に光りが走り抜けた。
「リョコちゃん…!」
スタッフのカメラマンが、駆け寄る。
リョコちゃんの前には、同じ藍色の髪の美少女が立っていた。
藍色の髪は、オカッパで、冷めた目つきをしている。
「…キ、キミは誰だ?」
カメラマンが問いかける。
「私…、私は、ヲタク28号…」
第7話 ヲタク28号
葉原は、騒然としていた。
近くでカミナリが落ちたと、道行くアニメおたくたちが、ウワサし合っている。
火事が起きるかもしれない。
ケガ人が、いるかもしれない。
誰もが、未確認情報に不安をおぼえていた。
空は、くもり模様。
雨が降る可能性もある。
アニメショップを離れた、オタたちは、空を見上げていた。
「28号です。きっと…」
ヲタク2号は、オタとライラに伝えた。
「私と同じ、未来の落ちこぼれアンドロイド…。性格は暗く、人間が嫌いな娘なんです」
その女の娘の気配がするらしい。
「…危険なアンドロイドなのか?」
ライラは、真剣な表情で問いただす。
「…わかりません。私は、安室博士を通してしか、存在を知らないんです。ただ、私と同じ、廃棄寸前のアンドロイドがいる。それが、ヲタク28号です。」
「そうか…」
「む〜。見た目は?」
口をとがらせる、オタ。
明らかに、不服な表情だ。
「…藍色の髪のオカッパで、背丈は、私と同じくらい」
「なら、あの娘だ」
オタの目線の先に、藍色の髪の女の娘がいる。
ザワザワ…
「何だ、あの娘は?」
「意外と可愛い女の娘じゃん?」
葉原のアニメおたくたちに、噂されながら、藍色の髪の女の娘は、オタの目前で立ち止まった。
「…私は、ヲタク28号…」
「…ボクは、オタっていうけど〜?」
「…あの…」
ヲタク28号は、オタを見上げた。
「…貴方は、アニメおたくデスカ?…」
「…うん」
「…私を…弟子にしてクダサイ…」
ヲタク28号は、声をしぼり出すように言った。
空のくもりが、晴れていく。
「うん。二人目の弟子ね。了解で〜す」
オタは、敬礼してみせた。




