㉑天保の擾乱・中編
(1)
お華は、三日ぶりに八丁堀、浩太郎の屋敷に居た。
遠山家の手伝いを浩太郎に申し付けられ、奥方おけいと一緒に、屋敷で来客の対応をしていたのだ。
三日経ち、もう良いだろうということで、戻って来た。
何はともあれ、浩太郎に報告という事で、屋敷の居間に座っている。
そこに、浩太郎も戻ってきて、おみよに優斎を呼んで貰い、話を聞くことにした。
「これはお華さん。お疲れ様ですね」
優斎の言葉に、お華も嬉しそうに、
「ありがとうございます。先生」
と、和やかに二人並んで座っている。
おさよが、おみよと一緒に、酒と肴を運んできた。
正面の浩太郎が、
「お華。どうであった遠山様の屋敷は」
すると、お華は手を振って、
「もうね。正月のご挨拶といったとこよ。いや、奥様にお聞きすると、正月より多いと、嘆いてらっしゃったわ」
そして、
「遠山様は大目付様なのに、大名だけじゃ無くて、なぜか、旗本の方々まで大勢いらっしゃるから大変でしたよ」
「ほう。そこまで。で、要件はみな一緒かい?」
お華は大きく頷き、
「もうね。同じ事の繰り返し。挙げ句の果てには、私、この私によ、何とかなりませんでしょうかとか聞くんだから。そんな事言われてもねぇ」
それには、浩太郎と優斎は大声で笑った。
つづけてお華は、
「奥様はね。武家は何かと出費が多いし、仕方無いのよ。と仰るんだけど、あれだけ同じ事聞かされると、何とか出来なかったのかしらって、なんてつい考えちゃう」
優斎が頷き、
「その辺は、江戸だけで無く、仙台あたりでも同じですからね」
「まあな。しかし、そんなんじゃ、かなり評判が悪いみたいだな」
お華は頷き、
「悪いどころじゃないわよ。結局、遠山様に、是非、お味方をなんていうから、殿様は、戦国か? なんて仰ってるし」
それにはみんなで大笑いだ。
酒をみんなで呑みながら、お華が優斎に、
「そういえば、先生。伊達様お留守居役の白井様もいらっしゃいましたよ」
それには、優斎も大層驚き、
「え! 白井様も?」
「殿様が私に一緒にお会いしろなんて仰るものだから、ご挨拶させて頂きました」それには、浩太郎とおさよも驚き、
「おいおい、そりゃまた、身分違いもいいところじゃないか。おい! まさか南の件で?」
お華は、一気に猪口を空けると、頷いて、
「そうそう。なんか一生懸命お詫びを仰るから、私もどうして良いか分かりませんでしたよ」
「それじゃ、遠山様も、例の件ご存じで?」
「ええ。それにはお二方とも大笑いなさって……。まあ、私は、おみよちゃんがお屋敷に伺っているし、今後ともよろしくとご挨拶しておきました」
それには、おさよの隣に座っているおみよが、
「お姉さん。すみません」
と頭を下げる。
それには、お華は笑いながら手を振って、優斎に、
「先生。やはり、伊達様も今後が大変だと仰ってましたが、やはり、このままでは済まないということでしょうか?」
優斎は真剣な顔に変わり、
「そうでしょうね。江戸の飛び地は常陸にあるのですが、それより問題は、上方ですから」
「ああ、そのように仰ってました」
すると浩太郎が、
「やはり、お家にとって大変な問題になりそうかい?」
「ええ。昔からの土地なんて言い伝えは、どうでもいいのですが……」
それにはすかさずお華が、
「あ、太閤様からの土地ですか?」
それには、みんながビックリして、優斎を見る。
「お聞きになりましたか」
と少し笑い、
「伊達家に限らず、上方にある飛び地というのは、どこも似たようなものです。いや、それより問題は、そう言った土地は、表高より実高が良く、しかも大坂に近いと言うことが、最大の問題なんですよ。これをいじられると、各大名の台所は大変な事になります」
浩太郎は腕を組み、
「なるほど。とすると、また参勤しないとかいう騒ぎになりかねないと」
「そうですね。伊達だけの話じゃありませんから、些か面倒な事になると思います」
すると、頷いた浩太郎は、決断した様に、
「お華! お前はしばらく奉行所の仕事はしなくて良い。そのかわり、遠山様のお屋敷に伺い、また奥様のお手伝いをせよ」
「え! それでいいの?」
「ああ。そして、何か間違いが無い様、屋敷の周りも警戒せよ。佐助を毎日、連絡に寄越す」
こうして、お華は、また翌日から遠山の屋敷に行くこととなった。
(2)
その同じ頃、南町奉行所の、役宅には、奉行鳥居の所に、幕府、天文方見習、そして書物奉行を務める、渋川六蔵が訪れていた。
この男は、商人で、金座・銀座を支配していた後藤三右衛門と供に、身分は低いが「水野の三羽烏」と呼ばれた男であり、忠邦の改革を陰から支えている。
鳥居は、
「渋川殿。改革もようやく目鼻が付きましたな」
と、不敵な笑いと共に、話しかける。
しかし、渋川は、
「いや、まだまだ油断は出来ぬ。一応、江戸の者達は、殿の仰せに従ってくれているが、まだ伊達の様な大藩は、答えを留保しておる」
「ああ。あのような家の連中は、何かにつけ拘るからの。しかし、もう水野様は二回の上地もしておられるし、そうそう無茶も出来まい」
「確かにそうなんだが、例の密偵で使っているあの連中」
「ああ、あの貧乏御家人か?」
渋川自体、それほどの身分ではないから、鳥居のその様な言い方は、余り好きではないのだが、
「あの連中の報告によれば、伊達の留守居は、あの遠山の屋敷に早速行ったそうだぞ」
それにはさすがの鳥居も、視線を厳しくして、
「何だと、遠山に? な、何しに行ったのだ」
渋川は、頷き、
「一応、新任の祝いらしいのだが、結構長く、話し合っていたようじゃ」
「う~ん」
鳥居はさすがに、なんどもやられ、お華には武士として大恥かかされている事もあって、遠山には警戒心が強い。
「もしかしたら、遠山が、いらぬ知恵でも授けているかも知れんの」
それには渋川が、
「これでは、せっかく大目付に追いやっても、意味が無い。また密偵を放ち、他の者達の動向を探らねばならん」
鳥居は頷き、
「そっちの方は頼む。わしは態度を決めぬ旗本連中に、念を入れるとしよう」
「お願いする」
そして翌日。
お華は、遠山の屋敷に近づくと、屋敷の右壁を辿って、中の様子を見ようとしているのか、妙な男達を見つけた。
しかし、お華は、特に気づかぬ振りで屋敷に入っていった。
奥方に笑顔で挨拶し中に入ると、今日はなんと、遠山の子息、本丸小納戸役を務める景纂が来ていたのだ。
「おや、若殿様、いらしてらっしゃったのですか」
「おうお華。久方ぶりじゃ」
景纂は、本所の捕り物の折、お華と一度顔を合わせている。
「本日はどうなされたのです?」
お華が聞くと、
「本日は休みじゃ。最近、色々と騒がしいからの、母上のご機嫌をお伺いに来たのじゃ」
「これはこれは。親孝行の事で」
と、傍らのおけいに投げかけると、
「私は良いのじゃが、金四郎。そなたの方が大変なのではないか?」
金四郎は父親と同様、彼の通名である。
「私の方は、御心配無用です。ただ、今は父上の方がお忙しいとお聞きしますが」
「そうですね。来客が多くてね」
するとお華が、
「お家が大変だ、大変だ~と皆様同じ事の繰り返し。全く、鸚鵡じゃないんですから」
と文句を言うと、二人は大笑いだ。そしておけいは、
「お華ちゃんが来てくれたから、私は楽しいものだけど、殿は大変でしょうね」
すると、景纂は、少々機嫌悪そうに、
「大目付とは言っても、他に同役の方が二人もいらっしゃるのに、不公平な事だ」
と、怒ってみせるのだが、
「若様、残念ながら、殿様しかこの事は無理にございますよ。戦う度胸があるのは誰なのかと言う事にございます」
さすがに、この言葉は、親子二人の目を丸くさせた。
「参ったな、お華には……」
景纂は、和やかになる。
すると、景纂は、
「話は変わるが、最近、お上の様子が、お変わりになってな」
おけいが、
「お変わりとは?」
「実は母上。先日食事の際に、上様お好きな、「若生姜」が出てなかったのですよ」
これには余りに意外な話で、おけいが、
「若生姜?」
と、声が裏返る。
「実は、上様は、あれが大好物でございましてな。以前は旬になると、食事や、お酒をお召しあげる時に欠かさなかったのです」
そんな話に驚いた、お華が、
「上様は、その様な物がお好きなのですかぁ」
「ところがな……」
と景纂は、少し間を置く、そして、
「初物は今、ご禁制になっておるのじゃ」
お華は驚くが、おけいはさすがに元奉行の奥方様だから、
「そうですよ。初鰹などと同じ様に、旬を早めに出すことは禁止されているのですよ」
お華は、
「はぁ、あんな、物まで……」
少々呆れて声を上げる。
「まあ、あれは上様ご自身が禁止と定めた事。如何ともし難いのじゃがな」
と景纂は苦笑する。
お華も、
「ミイラ取りがミイラってやつですか?」
景纂は少し驚いた顔で、
「お前も知っているだろう、小姓頭の高坂殿。まさに同じ事言って、困っておったよ」
三人は大笑いする。
すると、当家の若い女中が、居間にやって来て、
「お華様。桜田様のお使いで佐助様と言う方が、台所先においででございますが」
と告げた。
お華は、苦笑いで、
「兄上の、取り調べじゃ~」
と言いながら、笑う二人をおいて、台所へ向かった。
佐助は、お華を見ると、頭を下げ、
「お華様、何かご連絡は?」
お華は頭に手を当て、
「昨日の今日でそんな……」
と言った時、お華の頭にあることが浮かんだ。
「佐助さん。ちょっと」
と手を振って、台所の隅に呼んで、框に座るように言う。
「あのね佐助さん。佐助さんの実家で、生姜植えてたよね」
佐助は驚き、
「お華さま。良くそんな事、知ってますね」
「私が子供の頃、ばあやに連れられて、家に遊びにいって、あなたの父上に教えて貰った事があるのよ。今も植えてるの?」
「へ~そんな前の事なのに良く覚えてますね。ばあちゃんが喜びますよ」
と感心しながら、
「ええ、確かに昔から生姜はやってますよ。ちょっと前までは若生姜が良い値で、買って貰ったので良かったんですけど、今、禁止になってしまって普通の生姜を出してると思いますが……」
お華は、手を打ち、
「じゃ、今は七月だから、若生姜って事?」
「そうですけど、どうするんです?」
お華は少し乗り出し、
「あのね。その若生姜、少し分けてくれないかしら」
「え~?」
さすがに佐助は驚く、しかし、
「でも、お華さま、捕まっちまいますよ~」
それには、お華が例の小悪魔の顔で、
「大丈夫。是非、ご献上したいのよ」
「ど、どなたにです?」
するとお華は、人差し指を上に指し、
「お偉い方よ」
「お偉いって、遠山様にございますか?」
お華は、奇妙な笑顔で首を振り、
「もっと上よ」
それには、さすがに佐助は、全身で驚き、框から墜ちてしまった。
「ま、まさか、上の方ですか?」
「そう。そのまさかよ」
「え~」
お華は眉を寄せ、
「いい。兄上には当分内緒。そして、あなたのお父上には、この事話しても良いけどしばらくは、他言無用。罪にはならないと思うけど、とりあえず、捕まっちゃうかも知れないからね」
佐助は、思っても見なかった大きな話に、身が震える思いがした。
そんな佐助を見ながら、
「とは言っても、まずは味見をして頂かなければなりません。悪いけど駕籠に持ってきて貰える? まずは大奥で確認して貰わないと」
それには、もう耳には入っていない。
「それと、佐助さん。もう一つ!」
と、少し大きめな声で言った。
「これは、兄上に伝えて頂戴。ここのお屋敷近辺に、不審な侍が出てきてます。悪いけど、蔵前の親分と平吉さん、ここに呼んで貰いたいのよ」
佐助は、ぶるっと平常に戻り、
「お侍の不審者ですか?」
「ええ。この時期だから、捕まえる事までしなくて良いけど。身元は必ず調べて貰いたいのよ」
佐助は、
「へい」
と頷いた。
「いい。生姜の件は兄上にはないしょよ。間違えないでね」
「承知しやした」
と、佐助は、妙に嬉しそうに、風の如く出て行った。
(3)
すると翌日の朝、佐助は駕籠を背中に背負って、やって来た。
お華が迎え、
「ありがとう。どんな様子かな?」
佐助は笑い、
「昨日も申し上げた通り、今は誰も手を出しませんから、山ほどありますよ。おっ父に言ったらぶったまげておりまして、本当に宜しいのかと」
お華は頷き、
「ここからは私の仕事。心配しなくていいわ」
と台所の隅で、二人で駕籠を真ん中に話していると、そこに丁度、朝の仕度もあって、
「もう、お食事の用意は出来たかしら?」
と言いながら、台所に、加藤と一緒に入ってきた。
すると、隅で密談しているお華を見つけ、
「おや、お華ちゃんどうしたの」
と言いながらやって来た。
お華は笑顔で振り向き、
「これは丁度良い!」
などと言って、正面で佐助と一緒に片膝を着く。
佐助には、誰だかわからないが、吊られて、つい同じ行動をとってしまう。
お華が、おけいに向かって、
「奥方様、加藤の殿様。お願いがございます」
加藤は笑いながら、
「丁度良いとはなんじゃ」
と叱りつけながら、おけいと並んで座る。
お華は、
「奥方様、実は、この者」
と佐助を見ながら、
「が、もって参った物を、是非とも上様にご献上したいのですが……」
当然、二人とも驚愕した。
いや、佐助なんぞ、前にいる人間の正体が分かって、慌てて平伏している。
加藤が、眉を寄せ、
「一体、なんじゃ」
と聞くので、お華は、駕籠からお盆に少し載せ、差し出す。
それを見た、おけいが、さらに驚愕する。
「お華ちゃん、これって、わ、若生姜じゃないの!」
見ても区別がわからぬ加藤でも、その名を聞いて、驚く、
「お華、お前これ、どうして」
すると、おけいは早速、気が付いたらしい。
「昨日の金四郎の話を聞いてでしょ」
と、おけいは、加藤に一連の話をした。
納得はしたものの、加藤は、お華に、
「何故、このような事を、お前もバレたら捕まるんだぞ?」
それにはお華が、少し低い声で、
「加藤の殿様。私もお手先。罪は承知でございます。ただ私は、恩返しがしたいのです。たかだか若生姜などでお困りの、上様にお役に立てるのなら、大した事ではございません。上様には、あの南町の件で、上様に危ない所助けて頂きました。今こそお礼をする時と存じます」
「ふ~ん……」
と加藤は唸った。言っていることは充分分かる。
すると、おけいが、
「それなら、私も乗りましょうその話。元々それは金四郎から出た話。母として責任があります。私から殿様にお願いしましょう」
女二人から、そう言われてしまうと、加藤は返す言葉が無い。
しかし、実際どうやって? とお華に問う。
するとお華は、
「これは、あくまで味見でございます。そういう事で、大奥、姉小路様にお話し願えませんでしょうか、加藤様」
それには、加藤も頷き、
「そうか。同時に姉小路様にもお礼をって事だな。お華」
「はい。左様にございます」
と、お華と、佐助は深く頭を下げる。
すると、おけいは立ち上がり、
「それじゃ、まず、殿様に味見をしていただきましょう」
すると、佐助が、見上げて、
「それなれば、甘酢漬けでしたら、直ぐにお召し上がりになれます」
と、言葉を添えた。
二人が立ち去ると、お華は佐助に、
「たぶん、本日結果がわかるから、良いようだったら、兄上に報告してくれる。そして、皆には内緒で、大奥に持って行くようにね。それは兄上が指示してくれるから」
佐助は、思わぬ展開になぜか心が躍る。
そして、
「あ、親分達は本日、お昼頃こちらに来ると言ってました。それでよろしいので?」
「ええ。あなたも手が空いたら、また来て頂戴」
「はい。分かりました」
そして、居間の朝食。
珍しく、父と息子揃って、座っている。
「今日は、城に上がるんだろ?」
「はい。父上。何かと騒がしいですが、行かないわけにはいきません」
「そうじゃの~、わしも大変じゃ」
と、お茶を飲みながら待っていると、朝食が運ばれて来た。
その、品物を見て、当然ながら、二人とも驚いた。
景纂が目を丸くして、
「こ、これは、若生姜では?」
遠山本人も、
「一体、どういうことじゃ?」
と、それらと一緒にきたおけいに聞くと、おけいは、お華との話をした。
それには、さすがに二人は大笑いだ。
「なんだと~。罪は承知と言ってもだな、わしは北町奉行だったのじゃぞ。そんなこと通る訳あるまい」
と、口では言うが、思わぬ事に、かなり喜んでいる。
景纂は首を傾げ、
「お華は、すごいの。わしがちょっと話をしただけで、これじゃ」
すると、おけいは、
「これらは、すべて姉小路様に引き渡して欲しいそうにございます。姉小路様が駄目と仰ればそのまま。少なくとも、感謝の気持ちを伝えて欲しいと言っております」
「ほう、姉小路様まで巻き込むか。大したもんじゃ」
と言いながら、早速、遠山は一口。
途端に目が見開き、
「こ、こりゃ、上手い! おいおい久々に食べたが、これは誠に上手いぞ!」
景纂も、
「うん。こりゃ、上様もお喜びになるに決まっている」
「まったく、朝から酒が欲しいわ。おい、金四郎。お前、この事決してお城で漏らすでないぞ」
「は? 父上。どういうことです?」
「わしが心配なのは、高坂様じゃ」
「ああ、小姓頭の」
「そうじゃ。あの人もお華の事知っておるから、あちこちで喋ってしまう。南町の件なんぞ、伊達様お留守居役にまで喋ってしまった。今回の事は、それは非常に困る」
景纂は笑って、
「なるほど、あの方はそういうお方でございましたな」
遠山も、若生姜をパクパク食べながら、
「これは、お華の命にも係わりかねない。さすがにこれは黙ってて貰わないとな。やはり、姉小路様のお手配ということで押し通せ」
景纂は頭を下げ、
「承知しました父上」
その後、加藤は、結局お華の言う通り、梅林坂を上って行くことになる。
七つ口玄関にて、局の綾瀬に、駕籠の様な包みを差し出す。
一通り聞いた綾瀬にしても、驚きを隠せない。
「加藤殿、構わないのか?」
さすがに、小声で聞くと、
「はは。え~お華様の仰せですので、申し訳ありませんが、姉小路様もご一緒に加担と言う事でお願いします」
と、腹を抱えて笑う。
綾瀬も、釣られて笑い、
「いやいや、これは誠に家臣として素晴らしい事じゃ。姉小路様も助かると存じます」
そこで、加藤は、
「しかしながら、物が物、場合が場合でございますので、恐れ入りますが、お華の事は上様以外ご内密にお願いしたいのです」
綾瀬は、大きく頷いて、
「承知致しました。確かに微妙な時期。折角の上様への気持ちを無駄には致しません」
「ありがとうございます」
こうして、お華の謀略? は完成した。
~つづく~
二部作にしようと思っていましたが、ちょっと伸びてしましました。
この辺は、どちらかというと江戸城宮廷政治で動いているところなので、どうしても動きより会話。結構大変です。
さて、「若生姜」のエピソードはこの時期有名なのですが、実際には作り話とされてます。ただ、そういった話は、小説にはとても大事。
例えて言うなら「南部坂雪の別れ」みたいな話でしょうか 。
そういう話には、お華に働いて貰います(笑)
作り話だとしても、如何にもありそうという気がしませんか?
それでは、また次回よろしくお願いします。
ありがとうございました。




