第10話 「国王様たちはご飯の価値を議論するようです」
「本来、米は病中病後の栄養補給として食されてきた穀物だが……、」
「それが主食となる、つまり、継続的に食べ続ける事になれば、それこそ、万病予防になるでしょうね」
「なにより美味そうってのが良いんだぜ!!薬を無理して食うなんて、健康には程遠いんだからな!!」
国王達が、真面目に会談をしている。
それだけ、ライラ姫の食レポがインパクト抜群だったってことだが……、情報不足な今、普通に困る。
「ギオンコロニ王よ、万能不老霊薬については偶然だというが……、ご飯の研究については相応の年月、それこそ貴殿の即位と同時期程度から行われていたのではないか?」
いいえ、昨晩です。
具体的には昨夜の午後10~午前6時までの8時間。
その後、料理開発に4~5時間って所。
要するに、半日しか研究してない。
「具体的な言及は避けるが、それほど長い年月ではない。炊飯の基礎理論は天からの閃き、思い付きによるものだからな」
「ほう?一人の天才が思いついたと」
うむ、ウチの娘は天才だ。
天才過ぎて天災になりかけているぞ。
「それで、核心の炊飯についてですが……、その思い付きによる基礎理論くらいは、そろそろ発表していただいても?」
各国の王の瞳は真剣そのもの。
誰一人としてご飯を軽んじている者はなく、私が炊飯について語るのを静かに待っている。
……どうしよう。マジで語ることが無いんだけど。
とりあえず、配信を見ようぜ!って方向に話を促し――!!
『では、③の料理名を発表させていただきます。『焼き鯛の炊き込みご飯』。こちらの料理は、炊飯という調理そのものに手を加えた、いわば、ご飯の正統進化系の料理でございます』
今、炊飯について語っていなかったか!?
しかも、次の食レポはルートルインの番だ!!
おぉ、神よ、私の祈りを聞き届けてくれたのですね!!
ほんにゃら~、ほんにゃり~~、ぺこぺこ~~、うぇ~~い!!
『ルートルイン。解説できる?』
『うむ!通常の炊飯は真水で調理するものだが、それをスープに置き換える事も出来る。さらには具材を足すことも!!』
『じゃあ、スープと鯛のウマミを全部ご飯に吸わせたということ?』
『そうだ!!そして、タナーは煮込み料理のスペシャリスト。さぞかし芳醇な鯛の出汁となっているだろうな!!』
「……と、ルートルインが語ったように、炊飯は米に真水を加えて行う。仕上がりが粒状であることから分かると思うが、その水分を米に含ませる行いを炊飯と呼ぶのだ」
「ふむ。おそらく温めるのだと思いますが、具体的な手順をお聞きしても?」
それは知らぬ!!
重要参考人招致した料理人に吐かせるまで待て!!
「米の皮を剥き白い実を取り出す。その後、鍋に水と共に入れる。だが……、ここから先の手順を、私はいくつか聞いた」
「どういうことでしょう?」
「米の品種、季節や気温、具材やスープの有無、それらの組み合わせと料理人の技術レベルによって手順は異なるのだ。そして、今回の料理についてはルートルインの好みに合わせ、ギリギリまで調整していたのだ」
「ルートルイン姫?まさか開発に関わっているのですか?」
主犯だ。
いや、娘を犯人呼ばわりはよくないぞ。
元凶?事の発端?えぇーと……。
「もともと、米の炊飯はルートルインの発明なのだ」
「なんですとッ!?」
「これも詳細は伏せるが、米を食べやすくしたかったらしい。隙を突い……、いや、暇を見つけては厨房に通い、料理人たちと共に作り上げたのだ」
この流れ的に、料理人を寄越せと言われるのは必須。
特に、万能不老霊薬を研究していたリージョン法国は、どんな手段を使ってでも手に入れようとするだろう。
だからこそ、こちらも防御手段を構築させて貰う!!
王族の、それも第一子を寄越せなんて言おうものなら、それこそ戦争だからな!!
「ルートルイン姫が……。ギオンコロニ王、ライラを貴殿に預けたのは間違いではなかったようですね」
「ここでする話ではあるまい。それに、米の利権については一国を優遇するつもりはない。皆で国を盛り上げようではないか」
これでリージョン法国対策は済んだ。
米の利権に対しては3か国で平等に分けようと思うが、知識の出所であるルートルインとライラ姫の関係性については別。
もともと既定路線ではあるし、癒着を仄めかすだけで十分だ。
そして、敵に回すと一番厄介なリージョン法王を抱き込むことで、他の国の取引もスムーズにいくだろう。
後は息子の将来が心配な所だが……、それは早くて数年後の話。
とりあえず、今日を切り抜けられればどうとでもできる!!
本日は短め、




