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第2話 「国王様たちは混沌に陥るようです」


「ギオンコロニ王よ、ロイヤルディッシュにおける国際協定5項を言ってみよ」



 うーん、ヤバい。ヤバすぎる。

 ブチ切れた梅干しみたいになったメロン……、もとい、トップメシア王がガチ詰めしようとしている。

 ぶっちゃけて言ってしまえば、100%ギオンコロニ帝国の過失、要するに私が悪い。

 恐らくルートルインの暴走だし、もしも暗躍している奴がいたとしても、未然に防げなかった私の落ち度だ。


 だが、認める訳にはいかぬ。

 安全管理されてない料理を姫に出した事が露見すれば、良くて国際裁判。

 悪ければ戦争だ!!



「提唱せし文化発明において、国の代表者たる国王同士の会談にて価値を示し、談合の後に決定しなければならない。また、その際に過不足のある説明を用いる事を禁ずる。だな」



 とりあえず、質問に素直に答えて時間を稼ぐ。

『不測の事態なんて起こってないですが、何か?』って顔ですましつつ、ロイヤルディッシュ配信から情報をかき集めるしかない。



「過不足どころか、そもそも説明する気がないではないか!!」

「そうだ。私には、この『ご飯』に秘められた途方もない価値が計り知れぬ。それ故に通常とは異なる方法を用いさせて貰った」


「なんだと?」

「形式に則っていないのならば、後に無効とすることが出来る。そうは思わないか?」



 これでどうだ!?

『すっごい価値の発表をするが、気に入らなければ参加しなくていいよ』作戦!!

 こんな風に言われると、大人しくなるしかないだろう!!



「ほぉ……、相当な自信があるようだな?」

「面白そうな提案ですねぇ?嫌いじゃないですよ、駆け引き」

「だぜ!」



 よっしゃぁ!!食いついたッ!!

 貴殿らの立ち位置を考えれば、絶対に飲んでくると思っていたぞ!!


 配信上でルートルインが言った、 

『これからは米の時代だ!!炊いたお米『御飯』が大陸を席巻し、新たな料理が次々に開発される。夢のような時代が来るのだ!!』

 つまり、ご飯が主食になると言っている。

 相当な規模の市場が発生する訳だ。


 そうなれば当然、ギオンコロニ帝国のみで賄うことは不可能。

 だからこそ、配信前にギオンコロニ帝国と他国が手を結んでいる様に見えてしまう。

 そして、現時点で仲間外れにされていると、各国の王は思わざるを得ない。



「新たな主食ですか。それはまた経済圏がガラリと変わってしまうでしょうね?」

「だぜ!」



 特に、食品貿易量を監視しているリージョン法王には焦りが見える。

 まったくの寝耳に水だろうからな、その気持ち分かるぞ、すごく!!



「米か。さぞかし美味な料理なのであろうな?」

「あの美しさを見て欲しいものだ。砂糖菓子のように輝いているではないか」



 アレはああいう料理ですよと言って、誤魔化す。

 それ以外に言いようがない、食ったことないからな。


 ルートルインの顔を見る限り、かなり美味なのが伺える。

 ファナティシアが止めなかった所を見ると、悪いモノじゃないのは確定的。

 後は、実際に他の姫の口に合うかどうかだが……。



『ちなみに味付けは塩だけなのだ』

『『『……は? 塩だけぇ!?』』』



「だ、そうだが?貴殿は我らのことを舐めているのか?あ”?」

「……。」



 なんで塩だけなんだよっ!?!?

 おかしいだろ、国の威信を掛けたロイヤルディッシュだぞ、今やってるの!!



「これは……、流石ですね。ギオンコロニ王」



 何が!?

 何が流石なんだッ!?!?



「ふっ、分かってしまうか。リージョン法王」

「炊飯という料理技術に注目させる為、あえて塩のみというシンプルな味付けを指示する。なるほど、理に叶う戦略でしょう」



 そうなのか!?

 いや、そうな気がする!!

 確かに言われてみれば、その方が味が分かりやすい。

 私的にもありがたいぞ!!塩味だと言っておけば良いだけだからな!!



『ん~~!!これこれ!!お米の味を楽しむなら……もぐ、シンプルな味付けが、もぐもぐ、いっちばん、な~のだ~~!!』


「ふむ、食える料理ではあるようだな」

「顎の動きを見るに噛み応えがあるのでしょうか?」

「だぜ!」



 幸せそうなルートルインの顔を見ていると和む……、和んでどうするッ!?

 今は修羅場だぞッ!?!?


 だが、釣られたのは私だけではなかったようで、他の姫達も次々におにぎりを口に運んだ。

 想定外の連続だが、今の所は、何とかなっている。



『もぐ……。もぐもぐ……。もぐもっ……こくん。んなっ、何よこれ……。めっちゃ美味しいわね!?』

『もふひぃ、もっもちょふらい』

『はわぁ、とても面白い食感ですね。いくつでも食べられそうですぅ』


「なん……だと……!?」

「ライラに至っては、おかわりの要求までしてますね」

「リリカルも美味そうに食ってるぜ!!」


 それぞれの娘のリアクションを見た結果、別の意味で活気立った。

 娘の晴れ舞台を見る父親のノリ……、どいつもこいつも親馬鹿どもめ!!



「ギオンコロニ王、なんだあれは?」

「米を炊飯した料理、ご飯だ」


「それはもう聞いた、詳細な説明をせよと言っているのだ!」



 そんなもん、私が聞きてぇよ!!

 今の所、話せる情報は貴殿らと同じ『娘が笑顔になった』しかないんだぞ!!



『こ、こんなの何処で見つけてきたのよ!?教えなさい、ルートルイン!!』

『なんてことは無い。夢で見ただけなのだ!!』



「ほほぅ。つまり、長い年月を掛けて研究したということだな?」

「でしょうね。リージョン法国内でも、炊飯という手法は存在しないでしょう。完全な未知理論ですよ」

「細かい所はともかく、リリカルが幸せそうだから良いんだぜ!!」



 ……違うけど?

 十中八九、ルートルインの夢旅行で得た知識だと思うけど??


 ロイヤルディッシュで出す料理は、私も試食をしている。

 自分で説明するのだから当然だ。

 味を忘れぬように昨夜のメニューは豆尽くし……、その時には、ルートルインは何も言っていなかった。

 ということは、朝目覚めるも興奮は冷めず、勢いでロイヤルディッシュにぶち込んだはずだ。


 あぁぁぁ!?

 安堵と絶望が滝のように湧き出してくる!!


 誰かの策謀に嵌ってないのは良かったが、それはつまり、今行われているのは12歳児の思い付きってことだ!!

 なんで一言、連絡を入れてくれないんだよーー!?!?

 反抗期かっ!?これが反抗期って奴なのか!?!?



「レイミスの反応を見る限り、相当な価値があるようだな」

「おや、ライラも早々に諦めましたね。非常に優れているとみて間違いないでしょう」

「リリカルも『世界が変わる』なんて言ってるな。すげぇぜ!!」



 幸いにして、各国の王のご飯に対する心象は悪くなさそう。

 よし、この状態を維持したまま、どうにか逃げ切るしかない!!

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