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第1話 「国王様たちは度肝を抜かれるようです」

この話より、国王会談編が始まります。

視点はギオンコロニ王(ルートルインの父親)です!!



「トップメシア王よ、今回は香りに重きを置いたと資料にあるが?」



 国王専用の通信用魔道具越しに、3人の王へ語り掛ける。

 ここは国家間会談室、映像音声配信ができる王族専用執務室。


 各国の王が映る1m四方の画面×3と、ロイヤルディッシュを映している大画面。

 それに向かい合う形で座る私、近くに控えているのは、国家機密を知っても良い立場の傍仕えが一人だけ。

 中々に孤独な戦いだ。



「うむ、我が発表した『ストロベリーフレーバー・コレクション』は、風味づけにバニラエッセンスを用いる事で――」



 トップメシア王が提唱するイチゴに関する研究と、効果的な調理法は素晴らしいものだ。

 そのまま食べても十分に美味しいイチゴは、本格的な料理に使用するよりも、菓子の彩りとして使うのが基本。

 理由は単純な話で、生のイチゴは非常に傷みやすいからだ。


 だが、バニラエッセンスを用いる事で殺菌と香り付けを同時に行い、イチゴの欠点である日持ちの悪さを改善するばかりか付加価値まで付けた。

 見た目も麗しく、まさに宝石のよう。

 女性の興味を引き流行となるのは、火を見るよりも明らかだろう。


 私のギオンコロニ帝国が主催する文化発表茶会『ロイヤルディッシュ』。

 国の貿易価値向上と民の生活基盤改革を目的に、15年前にわが国の賢者が生み出した技術革新。

 姫を代理人にしてからは視聴者も増え、目まぐるしい速度で経済が発展している。

 それは喜ばしい事だが……、今回も収支マイナスだろうか。


 ロイヤルディッシュを見ながら行う国王会談では、発表内容の金銭的価値と購入の是非が話し合われる。

 アイデア料を国同士で売買する訳だ。

 そして、4か国の相互販売金額の差引額によって損益が決定する。


 この損益は、基本的に王族の収支となるが……、ギオンコロニ帝国では、アイデアを『知的財産権』として扱い、自国の開発者に報奨金を支払っている。

 3か国からの受取りアイデア料 ー 3か国への支払いアイデア料 ー 報奨金の支払い = ギオンコロニ王家の取り分。

 その他、配信に掛かる諸経費……、だからアイデアを安く買い叩かれると、普通に赤字になる。


 まぁ、貿易で利益は出るし、国民も活性化する。

 実りの多い事業ではあるんだがな。

 王家が身銭を切って配信しているって評判のおかげで、私の支持率も高いし?



「とろけるような甘さのイチゴは、まさしく甘美。贈り物、誕生日会、記念日の祝い。この技術を使う機会は多かろう。各国の王よ、価値はいかに?」



 そんな訳で、トップメシア王の料理技術も買うのだが……、髭ズラの強面がイチゴを語るってだいぶ面白いな。

 いつもより流暢に語っている気もするし、レイミス姫との事前打ち合わせでイチゴを食べて目を輝かせ、話に花を咲かせたのだろう。

 髭もじゃ強面なのに。



「そうですね。リージョン法国でも栄養価の高いイチゴは興味を引くでしょう」

「アルアグレンでは日持ちする調理法を歓迎するぜ。軍食に応用できるしな!!いくらだ!?」



 全身白いのに腹だけ黒い眼鏡王と、白馬が似合うイケメン勇者王。

 二人とも余裕があるな。

 今日の発表文化に自信があるのだろう。



「2億エドロでどうだ?」

「はっはっは、ご冗談を。1.5億だったドライフルーツ製法より高くなると?」

「もう少し安いと嬉しいぜ!!俺の小遣いも残りあと僅かなんだ!!」



 それにしても……、たまには各国の王の度肝を抜くような料理を提供してみたいものだ。

 今回、ギオンコロニ帝国が提供するランチは『種子マメ祭り』。

 コーン、大豆、米……、様々な豆や種子を使った料理コースなのだが、ぶっちゃけて言おう。二番煎じ。

 過去のロイヤルディッシュで得た知識の発展形、つまり、大した価値がないものだ。



「ふむ……、どうしたギオンコロニ王。貴殿の意見はないのか?それとも我がストロベリーフレーバー・コレクションは議論に値しないとでも?」

「ふっ。なに、イチゴはルートルインの好物でな。娘の笑顔の為に、どれだけの価値を付けるかを考えていただけのことだ」



 別に嘘ではないぞ。

 ルートルインはイチゴを好むし、この料理技術が髭ズラのガチムチおじさんを含む国民を笑顔にするのも間違いあるまい。

 故に、言葉に詰まっていたのは、貴殿が悪い訳ではない。

『華やかなイチゴの後に豆祭りかぁ……。地味すぎる』と思っただけだ。気にするな。



「では、1.3億エドロで良いか?」

「あぁ。異論はない」

「僕もです」

「俺もだぜ!!」



 議論の結果、トップメシア王への支払いが1.3億に決定したことにより、『豆祭り』の目標値もそこに決定。

 だが、流石に豆祭りで1.3億を超えるのは厳しいだろうな。

 試食した料理はどれも絶品だったが、新しいかと言われるとそこまででもないし。


 値段を決める大きな要因として、姫達のリアクションがある。

 姫が美味そうに食べる=国民の興味を引くな訳で、アイデアの価値が高くなるからだ。


 どうにかこうにか軽微な赤字で済んでいるのも、ルートルイン人気のおかげ。

 ウチの娘、マジ天使。

 もしも市井の生まれだったとしても、お姫様扱いされるに違いない。

 だって世界一可愛いからな。


 そんな当たり前のことを考えていると、配信に目が留まった。

 うちの娘のドヤ顔、マジ可愛い。



『本日のランチ提供はルートルインの番でしたわね?ふふっ、楽しみですわー』

『うむ、今日のは自信作なのだ!!きっと驚きすぎてビックリするぞ!!』



 ……うん?

 自信があるのは良いことだが、今日の料理は豆だぞ。

 その眩しい笑顔でアイデアの価値が上がるのは事実だが、ちょっと過剰じゃないか?豆だぞ??



『今日はとても元気いっぱいね。くす、料理に自信があるのかしら?』

『もちろんだ!!間違いなく、人生で一番いい目覚めだった!!』


『……? ですが、わたくしの午前のお茶イレブンジィズティーも工夫を凝らした至高の一品。貴女も美味しく召し上がっていらしたのではなくて?』

『実際、美味しかったし文句はないぞ!!だが、今日は私のランチの方が凄い。レイミスの連勝もここまでなのだ!!』



「ほほぉ……、随分と煽ってくれるではないか、ギオンコロニ王」

「はっはっは、そう怒るなトップメシア王。実に子供らしいやり取りじゃないか」



 笑顔で誤魔化してみたものの……、ちょっとどころのやりすぎじゃないぞ、ルートルイン。

 髭面に血管が奔って凄いことになってる。

 イチゴを紹介してた癖に、保護ネットに包まれたメロンそっくりだ。



『早くランチを自慢したくてうずうずしているぞ。……という事でファナティ、配膳を始めるのだ!!』

『かしこまりました。本日のメニューはこちらでございます』



「おや……?なんでしょうかね?」

「なんだ?聞いてた話と違うんだぜ!!」



 ……え?

 なにあれ。

 何あの白い粒々した料理。



「どういうことだ?ギオンコロニ王」

「……。ふっ、どうもこうもない。謀ったという事だ」



 これは事実だ。

 故に言い淀む必要も、弱みを晒す必要もない。

 なぜか、謀られる対象に私も入っているが、嘘ではない。



『これはお米を”炊いた”おにぎりという食べ物なのだ!』

『へぇ……、炊いたというのは置いといて、握って三角形にしたからおにぎりな訳ね。それで?』


『私が紹介するのは、おにぎりに使われている、”炊く”という革新的な手法。つまり、新しい料理技術だ!!』



 ……。

 …………。

 …………………いや、ホント、な~~に、あれぇえええええ!?


 知らないんだけど!!

 私、国王なのに知らないんだけど!?!?


 確かに、『度肝を抜くような料理を提供してみたい』とは思っていたぞ!!

 だが、私の度肝まで抜いてどうするッ!?!?


 誰の差し金だッ!?

 というか、ルートルインの言い回し的に心当たりがあるが……、えぇい、とにかく、滅茶苦茶ヤバい。



「ほほぉう。貴殿は才気あふれる若者だとは思っていたが……、国際協定を蔑ろにする程の傑物だったとはな」

「んー、興味深いですねぇ。娘のライラも気になっているようですし」

「だぜ!!」



 夕張メロンと腹黒眼鏡と残念勇者がギラついているッ!?

 度肝を抜かれた私を食い散らかそうと、捕食者の目でこちらを見ているッ!!



姫(娘たち)の仲の良さに対して、王(父親)のこの関係性よ。

彼らは国を背負っている上に、大事な娘を預けているギオンコロニ帝国に対して思う所があるのです。



※国王会談編は娘が可愛くて仕方がない国王(親共)が主人公であり、基本的に全編ギャグパートでお送りします!!



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