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第24話 「レイミス姫はオムライスでとろけるようです」

※今回は『レイミス視点』の一人称文体で執筆しています!!


「……なんてこと。ふわふわの卵を割ったらデミグラスソースが出て来たわ。ぷるっぷるな卵から、トロットロなデミグラスが!!なによこれ!?」



 思わずルートルインに向き直り、うん?

 すっごく目が泳いでいるじゃない?

 滝を登る鯉みたいに暴れまわってるじゃない?


 あっ、そうか。

 わたくしのツッコミ待ちなのね?



「ねぇ、ルートルイン?」

「こ、今回はえっと⋯⋯、卵で包ま、あ、にぎって⋯⋯」



 自分で包んでるって言っちゃってるじゃないの!?

 まぁ、あまりイジメても可哀想だし、ここはわたくしが大人の女になるべきかしらね。



「大丈夫よ。むしろ、安心してるもの」

「えっっ?」


「というか、この流れでにぎってあったら、逆に椅子から転げ落ちるでしょ!!でも、そんな事なかったんだし良いってことで」

「う、うむ、そうだな、些細な事だよな!!さぁさぁ食べてみるのだ、すっごく美味そうだぞ、そのオムライス!!」



 ふふっ、何とか取り繕えたようね。

 恐らく、料理人に『食べやすいように、おにぎりにして欲しい』的なことを言ったんでしょうけど、そもそも無理がある話よ。

 こんなに、ふわっふわ・ぷるっぷる・トロットロを握れる訳ないじゃない!!



「まずは外見の美しさを褒めるべきかしら?ナイフを入れた瞬間に卵が蕾みたいに花開く光景。そして、朝露のようなデミグラスソース。もはや芸術ね」

「あんなに可愛かったのに、一瞬で高級料理みたいになったですぅ。すごいですぅ!」


「面白いのが、薄焼きにした卵のおかげでケチャップご飯にソースが染みこんでいない所。ご飯そのものの味も楽しめるようになっているのね」

「おっとレイミス、トマト味のチャーハンはチキンライスと呼ぶのだ!!」



 へぇ、そうなんだ。

 聞くからに美味しそうでいいじゃない。


 ……で、なんで『チキン』ライス?

 料理そのものがチキンライスなら、卵を使ってるし納得するわ。

 だけどその言い方だと、ご飯だけをチキンライスって呼ぶのよね?なんで??



「レイミス、多少の誤差は気にしてもしょうがない。それがルートルインの魅力でもある」

「まぁ、そうよね!」



 そうそう、『テンション高めな元気っ子』が貴女のキャラだものね。

 ということで、わたくしの食レポの方向性は『落ち着いた大人の雰囲気』でいくわ。

 感情に任せたリアクションを取る貴方達との違いを見せて付けてあげる!!



「ふふ。それでは、いただきますわね」



 まずはデミグラスソースが掛かっていない、卵とチキンライスだけを食べてみようかしら。

 ふーふー、

 はふっ……ちゅる。

 すぅーー……、はぁ……、おいしい。



「って、思わず目を閉じてじっくり味わっちゃったじゃないの!?」

「それでどうなのだ!?美味いのであろう!?!?」


「ホクホクするとか、卵の舌触りが良いとか、そういうのを忘れちゃうくらいに……、味わい深い美味しさよ」



 チキンライスは、もちろんケチャップ味。

 ご飯が染まるくらいに入れてるんだから当然よね。


 でも、ただの『トマトソース味』じゃない。

 経験したことないような未知の甘み、これはネギとごま油の風味かしら。



「完熟トマトは美味しいけれど……、ソースにすると独特の雑味が残る時があるわよね」

「うむ、だがしょうがないのではないか?だってケチャップだぞ」


「それが全然ないのよ。代わりにあるのは、焼けたゴマとネギの香り。食欲を掻き立てる匂いのせいで、身体が料理を欲する。そして、そこにチキンライスが入り込むの」

「……じゅるり」


「油で炒めたご飯ってパラッパラになるのね。ザラメ糖みたいな小さい粒が、噛むたびに、サワサワって崩れてしまうの」



 さっき食べたおにぎりは、二つともご飯のモチモチ食感を楽しむ料理だった。

 でも、チキンライスは歯にご飯がくっつかない。

 例えばそうね、焼き菓子に近いって言えば伝わるかしら?



「レイミス。それは冷やしたご飯を使ったから。余計な水分が抜けたせい」

「あぁー、だから銀の箱に入れていたのね、冷えやすいように」



 冷めても大丈夫な調理だから④にしたのかと思ったけど、ワザと冷ましていたとはね。

 それにしても、ここまでライラを感心させる調理法を連発してくるなんてやるじゃない、ルートルイン!!



「トマトの酸味と塩味、そして、ご飯と油たちの甘さ。細かく切られたキノコや野菜の欠片の味わい。色んな味の美味しさに出会える。それがチキンライスよ」

「ほほぅ?みじん切りした野菜が入っているのか」


「という事で、次はデミグラスソースと一緒に食べてみようかしら……、つぅ!?」

「どうしたのだ!?舌でも噛んだのか!!」


「えぇ、じゅわーってよだれが……、って舌を噛んだせいじゃないわよ、お肉のうまみが凄いの!!このソースだけで十分なご馳走になってるの!!」

「……なのに?」


「ご飯との相性もばっちりよ!!」



 あぁもう、落ち着いた大人の食レポを目指していたのに、つい素が出ちゃったじゃないの!!

 って、イケないイケない。

 ポイント差をひっくり返すには、ルートルインにはない大人の魅力で攻めないと。



「あのぅ、卵はどんな感じですか?」

「逆に、卵自体には味が殆どついてないわね。でも、それがいいの」


「というと……?」

「この卵は薄焼きでしょ。そこに濃い味付けをしてしまうと、そっちに引っ張られて卵の味が分からなくなっちゃうわ」


「なるほど、確かにそうですぅ」

「デミグラスソース、卵、チキンライス。口の中で三段階に変化する味。それぞれ方向性の違う美味しさがひと匙の上に乗っている。あぁ、なんて素晴らしい料理なのかしら」



 見た目も良いし、美味しいし、食レポしやすいし、オムライスは文句なしに最高の料理ね!!

 それに、『思念摂取』で得た光景を見る感じ、作り方もそこまで難しくなさそう。

 さっそく明日、わたくしのシェフに作って貰っちゃおっと!!



レイミス姫とオムライスが食べたい!!と思った方は、↓の評価やブックマークで推し活をお願いします!!

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