第19話 「ライラ姫は、ライスバーガーを神だと認定するようです」
※今回は『ライラ視点』の一人称文体で執筆しています!!
「……おぉ、神よ。僕らに御身の祝福を与え給え~~」
「……。」
「……。」
「……!」
「ほんにゃら~、ほんにゃり~~、ぺこぺこ~~、うぇ~~い」
あまりにも美味しそうだったので、リージョン法国に伝わる最上位祈祷で喜びを表現してみた。
どうせ3年に1回の『大霊公神事』にしか使わない奴だし、こういう所でリサイクルしていきたい。
パッと見た所、ライスバーガーは非常に優れた栄養バランスをしている。
幸福エネルギーであるブドウ糖を持つ、ご飯。
神経を修復し心情を安定させるビタミンB、鉄分、亜鉛を持つ、牛肉。
血流と腸内環境を改善させ不安を抑制する、レタス。
そして……、マヨ。
マヨは凄い。
僕の個別魔法『精解』ですっぱ抜いた情報によると、お酢、卵、オリーブオイル、調味料によって構成されている。
お酢は疲労感の軽減効果に加え、高い殺菌作用を持つ。
オリーブオイルは若返り効果、そして極めつけは卵だ。
卵は完全栄養食といわれ、体組織を形成する成分の殆どが含まれている。
その一方で取り扱いが難しく、生で食べればお腹を壊し、熱し過ぎると一部の栄養素が無くなってしまう。
だけど、お酢を混ぜ込むことで、従来よりも低い温度での料理が可能となり、栄養素が保持されやすくなっている。
ということで、ライスバーガーはリージョン法国の宿願である、万能不老霊薬の条件を満たしている。
どんな修行を積んだ聖女でも、ライスバーガーの継続的摂取に匹敵する効果を及ぼすことなど不可能。
どう考えても、人知を超えた神の領域。
祈祷を見た法王にも伝わっただろうし、開発者の確保もしてくれるはず。
「ところで、ルートルイン?」
「な、なにかの?」
「にぎれなくない?」
「……や、焼く前に握っているんではないか?ほら、丸く握ったおにぎりを潰すとあんな感じの形になるだろう!?」
「にぎるのが最終工程じゃなくても、おにぎりでいいのね?」
あ、またルルとレイミスがじゃれ合ってる。
にぎっているとはいないとか、どうでもいい。
このライスバーガーの前では些細な問題すぎる。
それこそ、多少の誤差というもの。
……なお、僕も握ってはいないと思っている。
「ルートルイン。食べていい?」
「え、あ、もちろんなのだ!!すごい食レポを期待しているぞ!!」
言質は取った。
このライスバーガーおにぎり?は僕のもの。
どれだけ恨めしそうに見ても、分けてあげたりしない。
「……ふーふー」
「美味そうだな」
「美味しそうね」
「匂いは美味しいですぅ」
「ふーふー、ぱくっ!!」
ナイフで綺麗に切り分けて、ご飯の上からフォークでグサリ。
そうして作った一口大のミニバーガーライスを、楽しみにしながら口に運ぶ。
かり。
歯に触れたご飯の音。
さくっ。
ご飯が崩れた音。
じゅわ。
牛肉とマヨが溶けた音。
おいし……っ
僕の喉から出た、感想。
「おいし……っ。流石、万能不老霊薬」
「エリク……?」
「なによ、そ」
「ふぇえええ!?え、エリクサーですかぁ!?」
どうやら、リリカルは万能不老霊薬を理解しているっぽい。
祈祷にも反応していたし、普通に博識。
「なぁなぁ、どう美味いのだ!?私にも分かる説明で頼むぞ!!」
「僕は、ライスバーガーを完璧な栄養素を持つ、優れた食べ物として見ていた」
「な、なるほどね……、お米にお肉に野菜にマヨ、凄い種類の食材が使われているものね」
「でも、そんなことはどうでも良くなっちゃった」
「どっどど、どうでもいいんですかぁ!?」
「焼かれたお米は固くなる。なら、先に肉汁とマヨが広がるのは必然」
ステーキからあふれる肉汁とソースは、獣脂系の濃厚な味わい。
甘くて美味しい一方、尖った味付けのせいで喉が渇く副作用がある。
それを、マヨが打ち消した。
植物系の油によってまろやかになった肉汁が、旨味だけを舌に伝える。
卵のコクが加わったことで、目玉焼きとウィンナーを同時に食べたような幸せな味となった。
「仕組み的には、リリカルのグヤーシュライスと一緒。濃い味付け→お米の味」
「ここでもか……っ!!」
「でも違う。グヤーシュライスは引き算だった。このライスバーガーは足し算」
「なんっ……」
「ご飯にたっぷりと塗られたグレービーソース。タダでさえ濃いそれが熱され、カラメル状になるまで蒸発している」
「くあぁぁ……」
「それはきつね色になったご飯の内側に閉じ込められ、そして、お肉とマヨで蹂躙された口の中で……、ぽん」
「ズルだろそんなのーー!!」
「解き放たれた『もっとも濃い旨味』。グレービーソースを得た香ばしいご飯のウマミは、さながら魔法のように、食べた人を健康にする」
健康で長生きする人は強い。
それを実現するための技術書『聖典』の最終目標なんか、僕は大した興味を抱いていない。
食事は楽しんでこそ。
遊楽こそが、栄養素からでは絶対に摂取できない、心のエネルギー。
おじいちゃんたちが必死になって考えている、ただの薬なんて、不完全も甚だしい。
「ん。ちゅーー。ぷは!オレンジジュースとの相性もばっちり。控えめに言って、神」
ということで、真面目な食レポ完了。
その効果は絶大。
リリカルも、レイミスも、ルルも、とても悔しそうによだれを垂らしている。
……?
なぜ?
なぜルルは、食べたことが無いようなリアクションをしているの?
気になる。
ライスバーガーを崇拝するライラ可愛い!!と思った方は、是非、ブックマーク評価で推し活をお願いします!!




