80.同情
あさ め さめる いつも わらう
ゆめ ちがう いま これ ほんと
かお あらう まえ にわ いく
はな いっぱい みんな くれた
「カリンちゃん、おはよー」
「お、おはよう、チェリちゃん」
はな ともだち みんな だいすき
いっしょ くらす まえと ちがう
ごはん たべて きがえて あそぶ
なに しても いいって ゆめみたい
『花かぁ。キャベツか人参、食べられるもの植えね?』
「せわ、む、むずかし」
『ホントに食うわけじゃないから気にしなくていいピョン。おれロボだし、いやウサギだった』
「クックック、カウリーン、それ気にいったの?」
あたし うなずく このこも ともだち
となり お姉ちゃんち うざぴょん きた
「チビッコ組はそっち住んでるからウザぴょんもそっちがいいか」
『姉ちゃんシカトすっからおれ家出もすんだぜ?』
「惑星エンコにアンタ販売したらクレームやばいかもね。さっさと他所に逃げるからいいけど。にしてもカウリーン、そのメガネ、まだ気にいってんの?」
あたし うなずく これ おもしろい
ひとの きもち みえる やさしさ みえる
みんな やさしい あたたかい うれしい
でも いちばん すごいの お姉ちゃん
あたし みて なにも かわらない
あわれみ さげすみ おなじ きもち
お姉ちゃんと お姉ちゃんのお兄ちゃん
あたし みて なにも かわらない
あたし しあわせ かわいそう ちがう
あたし つよい まもらなきゃ ちがう
あたしがお姉ちゃんを守る
『次のターゲットはあれよ』
『いつものアジトと違うんスか?』
『ここの宙賊は大体、あらかた採掘が終わって廃棄された小惑星を不法占拠してアジトに改造してるの』
『なるほど。ちょっとした施設は放置されてるから利用しやすいのか』
『そう。で、今みんなに見えてるあの小惑星は、現役の採掘現場なの』
『え、じゃああそこにいるのは一般人?』
『そう。ルーブが盗んだ情報を解析して見つけたひとつ。逃げ場のない宇宙で賊に監視されて強制労働を強いられている一般人。宙賊倒して解放して世間に公開してやる』
『うわっ、荒れそー』
『行方不明って便利な言葉よね。事実であって嘘じゃない。そして探すのメンドい無理、って無関心な言葉でもある』
『どこにいるのか分かれば無関心ではいられない?』
『例えばその国では年間数万人が行方不明で放置されるくせに、その中のたったひとりが他国に誘拐された拉致被害者と分かれば数十年騒ぐケースもあったの。人ってそんなもんよね』
『あぁー、助ける一般人は実質見捨てられた行方不明者かぁ』
『ギャンブルで身を持ち崩したスタートが大半だろうからあまり同情はしないけどね。お前らコボロッド星系が反社を野放しにした結果がこれだぞ、て事実を見せられてどう反応するか』
『あ! しかも私たちが悪者にされてる現状も逆転する?』
『そのへんはどうでもいいけど反応は楽しみよね。暴力反対を叫ぶ自分は絶対正義、て思い込んでる狂信者はどこにでもいるからそう簡単に目は覚めないだろうけど』
『いやまず反社の経営するメディアが私たちを反社呼ばわりするこの星系が狂ってるよな』
『報道の自由を謳う時代のマスコミがマスゴミと呼ばれた反省がないよね。貴族に支配されて大本営発表してもマスゴミだからバランスが大事だけど』
あたしの相棒 アルデバランにのると 頭がかわる
みんなの声を聞きながら 戦場を見て 深く 息を吸う
『内部突入の制圧は私とナハシュ隊、の前に地表を制圧するわよ』
『『『了解』』』
『じゃ、作戦開始っ』
カタパルト発進 先に出たみんな モニターの点を目で追う
頭の中 線で囲まれた いくつか これ 制圧エリア
みんな あたしに 難しいことは 言わない でも 分かってるよ?
『ラゴー1、アルファ、マーク』
『ケート1、ブラボー、マーク』
『シチヨー1、チャーリー、マーク』
シーバお姉ちゃんたち、エリア三つ、制圧射撃。スモークで射線切り、端は狙撃、中央に弾幕を集中、そっちは大丈夫。あたしのすべきことは。ウーミンインダストリの母体、オーヨウ王国軍に戦い方は叩き込まれた。
“より不利な可能性から優先して潰せ。
オーヨウ王国宇宙軍特殊零科、戦術要項二条”
エリア、フォックストロットに対空火器が配置。ナハシュ隊、エリア、エコーまでの強襲でまだ。戦闘機のお姉ちゃん、コンティノお姉ちゃん、上と下、大変。
両足で両ペダルを押し込みキャタピラ全速前進、ほぼ無重力の、デコボコした地表を砕いてブーストはアフターバーナー、燃料の酸素は有限だけど一瞬の使用だから大丈夫。高く舞い上がり目視、シールドに映るフォックストロットをロックオン、シンクタップで右手の無反動砲を選択、宇宙では高威力の光学兵器から片付ける、発射。着弾と同時に同じエリアの別の連装砲も光線が貫き爆破、凄い、アドラーお姉ちゃんはいつもあたしに合わせてくれる。
もっと凄いのはやっぱりお姉ちゃん。まったく当たる気配がない。戦闘機なのに、鉄の塊なのに、直線の動きがない、くるくる回り、目が回る。あたしとロボットで戦った時のように、一秒後も読めない、読めても見てよけるエース。敵も味方も目が離せなくなる。
しまった、後方から加速して宙を高く飛びすぎた。遅いあたしに対空砲が何門も口を向ける。
“お前が最初の盾になれ。
オーヨウ王国宇宙軍特殊零科、戦術要項一条”
違うっ! お姉ちゃんが最前線に立つのはパーフェクトゲームのため。誰も死なせない。あたしも死なない。両肩のエアブースター、右肩は前に、左肩は後ろに噴射、ほんの一瞬の加速で急旋回、先にこちらがレーザーサイトを合わせて対空砲に右肩のグレネードランチャーを手動でトリガー、反発力で後方に飛びながらマルチロックオン、左肩の垂直上昇ミサイル三十二発全弾発射。白煙を盾にしながら反発力で地表に降下。
『バッファロー、ナイスキル』
あ……。あたし、戦闘中に笑ってる。
『地表はクリア、こっちは迎撃態勢が少なかったわね。突入するから他のみんなは警戒ヨロ』
いつもと ちがう ヒミツ ばしょだから
かんたん おわった よかった
たすけた ひとたち アテナ つれて きた
一万人 くらい? たくさん まえにして
お姉ちゃん 話した
「みなさんをテキトーなコロニーに送ります。所属する国とは違う人だらけだろうけと、そのへんは勝手に頑張ってね」
「無責任では?」
「じゃあここで死ぬ?」
「え?」
「私はどっちでもいいわよ。あなたたちの生死になんの興味も責任もないし。ウザぴょんよりウザい人間なんて目障りだからせめて黙れ」
「そんな、むちゃくちゃだ」
「結構いるのよね。一生被害者マウントとってくる図々しいタイプ。自分は被害者だから優しくしろって大声で主張する相手は反社か所属国家にしなさいな。私の知ったことではない」
でもよかった そういって お姉ちゃん 笑った
「感じが良ければ受け入れるつもりだったけど、ナシね。コロニーまで六時間ほどで着きます。ご機嫌よう」
お姉ちゃんは 優しい とびっきり 優しい
でも 人は えらぶ えらばれた あたし ほこらしい




