50.反逆
たね うめる 今日も あたし がんばる
今日はリンゴ 昨日 デザート おいしい
外 かぜ 強い すな たくさん マスク ゴーグル
茶色 上 下 右 左 ぜんぶ 茶色
地面の下の下 右 左 緑 たくさん
地面の下の上 空 青
地面の上と下 ちがう どうして
たね うめる人 いない だから あたし がんばる
いつか ぜんぶ 緑 空 青 いつか いつか
レーダーに光点三つ、ブースター出力アップ、壁をたてに左の射線を切る、右からミサイルの噴射音、胸部の迎撃レーザー、おとりに反応、左手のサブマシンガンで対応、二秒後に右奥の敵から照準合う、キャタピラのギア、ローのまま全開、銃弾が後方にズレる、正面のがれきにわざと乗り上げジャンプ、壁の上から左の敵に裏左のショットガン、右の敵に右手のガトリングガン、空中でブースターを噴かせて上体をひねる、右後ろに流れた敵に向き直してサブマシンガンで牽制しつつ、右肩のグレネードランチャーで破壊。
「JK22、オールクリア。スコアトップだ。素晴らしい」
「あ、ありがと、ご、ござ……」
今日も はこ はいる くんれん
くんれん おわる じょうず ほめられる うれしくない
つまらない こわす どうして いつか ころす どうして
しゃべる きらい ことば つかえる
しゃべる きらい あたし みてない
「女がトップって……、通説は偏見か?」
「男のほうが筋力も体力も上だし好戦的。そこは事実だから男のほうが兵士にむいているという考えは、統計的には正しいのでは」
「JK22が特別か。身体能力も知能もデータ上は最低なのにな」
「戦闘に関する知能はまた違う反応を見せるから、我々の知見が足りないと考えられると」
「ディストピアのせいで研究が進まないから手探りはしょうがない」
「ディストピア……、繰り返すとか、ないですよね」
「そんなもんは確率論だから知らん。それに遺伝子操作による強化兵士が反乱を起こしたのは、知能の高いリーダーがいたからだろう。こいつら不満を感じるかどうかすら怪しい」
みてない だから なかまどうし よくしゃべる
あたし ぜんぶ りかい してるよ?
けんきゅうじょ おおきい けんきゅうしゃ たくさん
あたし 地面の上 うめた たね
あたし おなじ なかま はちにん
このひとたち りかい してない
ちのう 高い リーダー いるよ?
「そうか、ヤツらは俺たちが不満を感じてないと」
あたしたち はちにん リーダー かしこい
うなずくと リーダー 上 にらんだ
「ふん、確かに知能ってやつは、ひとつの在り方ではないかもな。アイツらは科学者としての知能は高いのだろうが、人としての想像力が欠けた不良品だ。強くて従順な兵士を作る研究の実験台にされて、俺たちがなにも感じてないって? こりゃ一生分かり合えないな」
「は、はんらん、か、かー、かくり、つ」
「……ああ、ディストピアの話か」
「そう」
「百パーセントの事象は確率ではなく必然というのだ。そろそろかもな。実は面白いヤツが現れた」
リーダー たんまつ みせてくれた
リーダー どうが みせてくれた
あたし つかえる たくさん みる すき
「ラティシス・ウッドストック。エースと呼ばれる化物だ」
うちゅう はやい ぜんぶはやい
「お前とどっちが強いかな。いや、俺も手合わせしてみたいもんだ。ともあれコイツによって三強のひとつ、リュックザイテ社に大ダメージが入った。俺たちが所属するウーミンインダストリも他星で失敗してゴタついてるし、近いうちに大荒れする。やっとチャンスがきた」
チャンス たくさん ころす つぎは?
あたし おかしい みんな たたかい すき
あたし おかしい あたしだけ おんな だから?
このひとも たたかい たのしそう おんな なのに
じゃあ かんけいない
たね うめる フルーツ おいしい
はこ はいる くんれん つかれる
からだ うごかす とまる しかられる
ごはん たべる シャワー あびる
は みがく ねる まえ どうが みる
『おー、なんか、おー、アニメにいそー』
『えっと……、こういうの流行ってんの? ちょ、コメント見せろ。グルでしょ』
『軍服にポストアポカリプス系アクセメガ盛りイタいっ、姐さんイタいっス』
『からかってるとかじゃないってー。疑うのは良くないでーす』
『街中にこんなファッション見てないっつーの』
『この前着てたリアルなラーテルがかかってこい柄パーカーほどじゃないね』
『あーあれラーテルっていうのか。聞いたことないなぁ』
『百獣の王にもメンチきる小動物だよ』
『車輪ドクロのイヤリングっ、ここまできたら突き抜けるのよっ』
『指抜き革グローブきちゃー』
おんな たくさん ふく きて わらう
これ いいな たたかうより ずっといい
たくさん たくさん ころしたのに わらえるんだ
「憐れな。貴様、延命してたのか。道理で道を踏み外すわけだ」
「王よ。結果が全てなのだ。綺麗事で玉座が務まったのか?」
「外道にも務まらんよ。この星はとっくに終わっていたのだな。是非もない」
「終わってたまるか。人の欲望に終わりなどないわ」
「そこは同意するがそうではない。ま、すぐに分かる。すぐにな」
「ふん、お飾りの王は最期も負け惜しみなどとみっともない。やれ」
おしろ 人 たくさん
中 きぞく 外 兵士
いす 王 横 かいちょー 後ろ あたしたち
外 じゅう 中 みんな死んだ
王 きぞく 弱い そして
「我らがウーミンインダストリは長く腐敗した王侯貴族の横暴に振り回されてきたが、それも今日までのこと。膿を除き、オーヨウ王国は生まれ変わる。新生ウーびぼっ、……?」
広間の死体を囲む兵士、玉座から滑り落ちた王の死体を足蹴にする会長、周りに侍る腰巾着、得意気に演説する老人の喉から細身のナイフが飛び出し、全員の思考が止まった隙をつき、四人と三人に分かれて壁に沿って走り抜けながらアサルトライフルを連射、途中弾が尽きたら倒れた兵士に飛びつき床を転がりながら武器を奪って撃ち続けた。
あたしたち ななにん リーダー 合図 動く
赤いひろま 死体 たくさん かいちょー しゃべる
兵士 けんきゅうしゃ ふつうのふく たくさん
みんな弱い 死体 ふえた リーダー かいちょー 死体 けった
「コイツまじか。生体脳の軍事使用や遺伝子操作による研究者と兵士の製造の罪を王侯貴族に被せて殺して、世間が納得すると思ってたのか。やっぱ無理矢理長生きするとアクティブにボケるってホントなんだな。王だけはここまで読めてたらしいが。最期、お前を見てたのか?」
うなずく 王 あたし 見てた
ころされる のに あたし あやまった
すまない 目 しゃべった どうして
「仲間も二人やられた。流石に多勢を相手に無傷は無理か」
そう ろくにん でも みんな わらう
今日 みんな 死ぬ みんな ころして 死ぬ
ころすこと だけおしえられた だから おかえし
「役職名は知らんが会長の荷物持ちからマスターキーゲット。軌道エレベーターに急ごう。この日のために生きてきた。ひとりも生かすな」
えらい人 ぜんぶ あつまる 場所
ほか ぜんぶ すきだらけ
くるしいこと ぜんぶ ぶつけて死ぬ
この日のために生きてきた?
むね いたい たね ダメだった
「見ろよ、例のエースも暴れるらしい。同接数ヤベぇな。今ほとんどの人が見てるかも。おかげでいつも以上に警備がザル。こういうのを天の配剤というんだろうな。全てが俺たちに味方している」
ひゃく すうじゅう さい 生きたら かわる?
だから あたしたち みんな ちがうのか な
この人 たたかう あそぶ おなじ こわい
「(コヒュー、コヒュー)SS切り離し成功。クククッ、痛っ、もっと手順が面倒かと思ったらそうでもない。有事に備えた軍事はマスターキーとワンクリックで核も撃てるんだな。ああ……、いい景色……、でもないか。雲だらけ、まだらに茶色。きったねぇ星」
うなずく くび いっぱい うなずく
うちゅう はやい のに おそい
ブリッジ しずか まどの外 黒 まっ黒
うかぶ ほし ぜんぶ みる なにも みせない
「生き残ったのはお前だけか。……すまねぇ、俺らだけでやるべきだった。(コヒュー)培養液のプールで作られて、大人の身体で始まって、名前もなく、番号で呼ばれて、最低限の知識を植え付けられて、(コヒュー)戦闘力が高いだけのバカ、理想的な人造兵士の第一世代にさせられて、俺らは、このムカつきを爆発させて、コイツら皆殺しにできて満足したけど、お前は違うだろ」
くび ふる ブンブン ふる
なんで そんなこと いうの?
あたし だけ ちがうの いや
「(コヒュー、コヒュー)女だから……、は関係ないか。クククッ、あー痛、見ろよこの女、マジにバケモンじゃねぇか。お前、言動がそれだから出来損ないみたいに扱われていたけど逆だからな。訓練結果も、こうやってお前だけ無事なのも、賢いからって見りゃ分かることなのに、アイツら、ガチのバカで傑作」
地面の上 生まれた あたしたち
地面の下 生まれた ほかの人
おなじ なれない? ころしあう しかない?
たね うめても かわらない?
『戦場は、オレらひとりひとりが命を懸けて立ってる。全員等しく、あっけなく死んでいく。でもなっ、エースは、いっつもひとり、平然と笑って一番危険な死線に立ってんだよ。背中でオレらを引っ張ってくんだよ。なあ、オレらの王はカッケーだろ。テメェらの王はどこでなにしてんの? そこにいないならなおさら、味方に文句を言うひまあるなら生き残る方法死ぬ気で考えろやぁ!』
「あー、痛ぇ、刺さったぁ。ククク痛っ、そっかー、最初から死ぬつもりの俺らじゃコイツらには並べないか。バカや老害を相手に意趣返しよりも、(コヒュー、コヒュー)戦士に生まれたからにはこういう連中と戦って死ぬほうが上等だったか。みんなには悪いことしたな。お前も、もう行け」
くび ふる 行くとこ ない
「このDFSSには俺らのドレスアームズも格納されてる。慣熟訓練でしか乗れなかったが、お前もそいつがあれば他国のSSに亡命くらいはできる。戦う以外の生き方でもいいんじゃねぇの」
くび ふる たね うめても ダメだった
「コイツは俺の棺桶だ。(ゴボっ)ファウトゥースに俺たちの痛みをぶつけてやる。お前は……、好きに……、生き……」
くび ふる あたし ものがたり だれも みない
たくさん みる ものがたり こっち
スーツ きる ロボット のる
きんきゅうぶっし とうかコンテナ はいる
リモート ざひょう 55.88821 37.74699
みんな みてて
たね うめて はえない ほし いらない




