八十六話 紡ぐ
「ハハハハハッッ!!」
バーターが鎌を振り回して、笑いながら叫んでいた。触れた床がパックリと裂けていた。それだけで、近づくだけでもどれ程の危険を伴うかを語っていた。
「威勢が良いのは口だけですねぇ!! 私に、一つとして攻撃を与えられていないじゃ無いですか?! そんなのでどうやって倒すんですかねェ!!」
「ぐっ・・・・!」
驚異的なまでの強さになったバーターに、遼山たちはずっと押されていた。どんなに連携しても、攻撃をしても、バーターに攻撃が当たらない。いや、当たってはいる。けれど、当たったと同時にまるで飲み込まれるようにして攻撃がなかったことのようにされてしまうのだった。
むしろ、まだ誰一人として死なずにいるこの状況を褒めるほどにバーターは強かった。
そして、状況は少しずつ悪くなっていく。
「戦乙女の———」
「バレバレですねぇ!!」
「なっ・・・・!!」
凛理が床に手をついた瞬間に、間髪を入れることなくバーターが地面を強く蹴りつけた。凹んだ地面から槍が出てくる事はなかった。
バーターという男において、恐ろしいのは、力でも素早さでも能力でも無い。真に恐ろしいのは、驚異的なまでの視界の広さであった。
その広さによってどんなに乱戦状態であっても、常に相手の位置や様子を察知し、予想して動くことができるのであった。
今回の戦いにおいても、力が強くなったとは言え、そもそも攻撃を届かせないといった点においてはその力を存分に扱っている結果であった。
「もう、良いですよ。消えていただいて、ねぇ!!」
立ち上がる時の完全に足が止まってしまう瞬間。バーターは凛理のその一瞬を狙って鎌を振り下ろした。これがただ正対している状況であったら、掠りはするかもしれないが、直撃は避けれる。けれど、この完全な隙を狙ったバーターの鎌は避けることも、受け止めることも凛理に許さなかった。
凛理は頭では避けなければと認識している。なのに、身体が自分のものではなくなったかのように動かなかった。
「ッ・・・・!!」
死を覚悟した。けれど、神に祈るでもなく、目を瞑って諦めるでもなく、凛理の眼だけは動かない身体に変わって、バーターを殺す、ただその覚悟を伝えているのだった。
そして、その瞳はバーターにとって、今までに経験したことのないとてつもないほどに気持ちが悪いものであった。
「! っ・・・・!!」
だからこそ、バーターの手元が少し緩んでしまった。そして、その緩みは本来ならばごくわずかなものであるはずだった。けれど、遼山にとってその緩みは凛理を助けるのには充分であった。
「座標交換!」
強制的に、バーターの位置が少し後ろに遠ざかった。振り下ろされた鎌は凛理の右頬を掠って、地面に刺さった。
本来ならば、もっとバーターの位置は後ろにいっているはずだった。けれど、何かに阻害されるようにして、座標交換が途中で切れてしまっていた。けれど、少しでもバーターの位置が下がったことで凛理は死なずに済んだのだった。
「・・・・餅次!! 良いでしょう。貴方には絶対的な力の差を見せましょう! その方が、心を折るには早そうですからねぇ!!」
一瞬、揺らいだ感情を察知させないように、遼山を煽るようにそう言った。
「・・・・俺の心なんてとっくの昔に形を成してなんかいない。ただ一つ、お前を殺す。その一点だけが俺を動かす動力だ」
「ああ、そうですか。・・・・下らない想いですねぇ!!」
鎌と籠手がぶつかった。遼山は鎌の刃に触れることだけは避けていた。刃の側面を籠手に沿わせるようにして軌道を変えて避けたり、長い持ち手の刃に近い部分のみを籠手に当てて攻撃をいなしていた。
それはあり得ないほどの神業であった。ほんの数センチのズレが即、自らの死に直結する。
けれど、今のバーターと闘い合うにはそれくらいのリスクを冒さなければいけなかった。
「加速分裂弾!!」
一点に狙いを絞った奈々から無数の弾丸が飛び出した。息つく暇もないほどの間隔でバーターへと飛んでいった。
バーターはその弾丸に気を取られる事は無かった。避ける素振りすら見せずに全ての弾丸を受けた。
「効かないですよ。貴女のその弾丸は私に傷一つ負わせられない」
「戦乙女の檻!」
少し両山が後ろに下がった瞬間にバーターを包み込むようにして、地面から無数の槍が飛び出た。
しかし、槍が檻として成り立つ前に粉々に砕け散った。
「無意味ですよ」
瞬間、遼山がバーターの真後ろに移動した。無防備な背中側から拳を突き出した。
しかし、バーターは正面を向いたまま、鎌だけを後ろ向きに振り上げた。
遼山へと凶刃が下から接近した。
「ぐっ・・・・!」
遼山は拳を引っ込めるとすぐに上半身を反らして鎌を躱した。
しかし、バーターは上に振りかぶられた鎌の遠心力を利用しながら、回転すると、鎌を真上から振り下ろした。
遼山は鎌が振り下ろされる前に一歩前に出ると、鎌の柄の部分を受け止めた。
「器用ですねぇ・・・・。だけど、いつまで続きますかねー?!」
「ぐぅっ・・・・!!」
競り合いは互角のように見えた。けれど、すぐに限界が訪れた。そもそも、バーターと遼山との地力は若干バーターが上であるくらいでほとんど差は無い。加えて、能力が酷似していることから二人は拮抗出来ていた。しかし、バーター自身が強化され、その武器もまた比べ物にならないほどのものである今、均衡は一瞬しか保てない。すぐに遼山たちに限界が来る。それは当たり前のことだった。
「死斬演舞」
バーターは少しだけ身体を引くと、遼山の腹に蹴りを放った。
しかし、遼山は一歩だけ後ろに下がると、バーターの鋭い蹴りを躱した。
しかし、バーターの狙いは初めから蹴りを当てることでは無かった。避けたことによって、遼山は鎌を受け止めていた力が少し緩んでしまった。
口角を吊り上げたバーターの動きがブレたと思った瞬間、遼山の手から離れた鎌が嵐のように様々な方向から遼山へと襲い掛かった。
「ッッツ・・・・!!」
ただでさえ、力に差がある。その状態での乱撃を遼山が受け止めるか、避けきるには少々実力不足であった。
「ぐぅぅッッ・・・・、クソッ・・・・!!」
致命傷を負う前に後ろへ下がったものの、その身体には無数の切り傷、そして遼山の右腕が斬り落とされていた。遼山の前腕から血が溢れ流れていた。断面がはっきりと見えるほどに鮮やかに斬り落とされていた。
そして、片手が斬り落とされた状態で戦えるほど状況は甘く無かった。
「あー、斬れちゃいましたかー。それなら、もう終わりですねぇ」
「ッ・・・・、そんな訳が、無いだろうっ・・・・!!」
無くなった右腕を強く左手で握りながら、バーターを睨んだ。その顔には、苦痛の表情が宿りつつも、力強く睨んでいた。
けれど、実際問題としてバーターが入っている事は正しい。この戦いは遼山とルーシーが居てこそ成り立っている。
遼山の片腕が無くなり、百パーセントの力を出せない今、この戦いは遼山たちの負けという形で終わる事が確定しているようなものであった。
「片腕でどうするんですか? 両手が揃っていても通用しない相手に、どう勝つんですかねぇ?」
「戦乙女の激情!」
「時間経過:時溜時速砲!」
遼山を守るようにして、奈々と凛理が同時にバーターへと攻撃を放った。
「・・・・、邪魔ですよ」
バーターは鎌を宙に投げると、左右から向かい来る攻撃へと手を向けて、開いた手を握り締めた。その瞬間、二人の攻撃はまるで何事もなかったかのように消え去った。
「「!!」」
「・・・・どうやら勘違いされているようですねぇ。はぁ、哀れですね。自分たちが私に勝てると思い込んでしまったんですねぇ」
落ちて来る鎌を右手で取ると、遼山から目を逸らしてバーターがそう言った。
「!! やめろォォッッ!!」
遼山は瞬時にバーターが考えていることに気づいた。
恐ろしいほどに口を吊り上げたバーターの眼は奈々たちを映していた。既に、片腕の無い遼山はバーターの眼中には無かった。
「貴女からですかねぇ!」
バーターの姿がその場から消えた。刹那、ルーシーの真後ろに既に斜め下へと鎌を振り下ろしたバーターの姿が現れた。
それは、あまりにも速すぎた。ルーシーを守り続けていた高雅も間に合わない。片腕と大量の血を失ったせいで、遼山の能力も間に合わない。
「! ッ・・・・、、高雅ッ!!」
手元の羅針盤が自分の真後ろを指している。今まで味わったことのない、強烈な寒気。ルーシーはバーターのこの攻撃を避けれない事を一瞬で悟った。
頭を今までの想い出が駆け巡る———否、違った。ルーシーの頭に浮かんだのは走馬灯なんかじゃ無かった。
絶望をするでもなく、目を瞑るだけでもなく、神に祈るでも無く、ルーシーは全てを託した。目の前の強大な敵に勝つために。
その脳裏には、その瞳には、勝つための最善策を浮かばせていた。
走り寄ってきていた高雅を声で静止させると、何かを投げつけた。
「・・・・頼んだよ」
「ッッ、、、ルーシーィィィッッ!!」
「ハハハハハッッ!!」
ルーシーは強く、けれど優しく高雅たちに目を向けるとそう言った。
笑いながら鎌を振るバーターに背中を向けたまま、逃げる素振りは無かった。
そして、ルーシーの身体に鎌が触れた。
少しも突っかかる事なく、ルーシーの身体を鎌が通り過ぎた。
一瞬の出来事とはいえ、本当ならば、想像を絶するほどの痛みのはずなのに。ルーシーは叫ぶことも悲鳴を上げることも、苦痛の表情さえ見せることなく、自らの死を受け入れた。
鎌がルーシーの身体を通り抜けた後、ルーシーの身体に斜めに切れ目が入った。
そして、綺麗に斬られた上半身が滑り落ちて床に落ちた。その勢いで下半身も力無く倒れたのだった。床には倒れた衝撃で撒き散らされたルーシーの臓物と夥しい量の血が流れていった。
「ハハハハハッッ!! 身体を裂くこの感覚、いつになっても癖になりますねぇ!! 悲鳴が聞こえなかったのはいささか不服ですが、まぁ良しとしましょう!!」
今までが奇跡だった。誰も死なずに戦えていたあの状況が。これが普通だった。それほどまでにバーターは恐ろしく、強い敵だった。
「ッアァァア、バーターッッツ!!」
「五月蝿いですねぇ、今更一人死んだところで何も変わらないでしょうに。それに、心配しなくて良いですよ。貴方たちもすぐ同じ所へ送ってあげますからねぇ!」
バーターは笑いながらそう言い放った。その顔は心から殺すことを楽しんでいるようだった。
「・・・・? どうしたんですかぁ? 叫んだ割に向かってこないんですかぁ?」
高雅は眼から血を流すほどに血管が眼球に集まっていた。けれど、高雅はバーターに飛び掛かろうとはしなかった。
バーターは不思議そうにしながら両手を広げて高雅を煽っていた。
「ああ。・・・・俺たちは託されたんだ。激情だけで動いて死ぬ事は許されないんだよ!!」
「ああ、そうですか。でも、どうするんですか? 私の能力について来れる人間は重傷、私の能力を無力化させる人間は死亡。そんな状態で、本当に勝てるとでも思っているんですかぁ?」
「勝てるから戦うんじゃない。戦った結果が勝ちに繋がるだけだ。生憎と、勝てないから戦わないなんて選択肢は初めから持ち合わせちゃいねぇんだよ!!」
「それならお望み通り、彼女と同じ場所へ送って差し上げますよぉっっ!!」
バーターが一瞬にして距離を詰めた。睨んでいた高雅の眼前に姿を現すと、動きに反応出来ていないものにとって、不可避の斬撃が繰り出された。
「今の貴方なら、能力ごと刈り取って差し上げますよ!!」
バーターはは醜く顔を歪めたまま、高雅の脳天目掛けて振り下ろした。
しかし、それは高雅には当たらなかった。
「!?」
「見えてる、テメェの動きなんぞ、もう見えてるんだよ!!」
鎌を躱した高雅は振りかぶった事によって無防備になったバーターの脇腹を殴りつけた。
バーターにダメージは一切無かった。けれど、バーターは一度後ろへと退いた。
「・・・・どういう原理ですかぁ?」
バーターが不審に思うのも当たり前のことだった。もう、ルーシーは居ないはずなのに高雅はバーターの動きに反応した。それはあり得ない事だった。
「想いの力だ!」
「・・・・、想いの力? そんなものはあり得ない。気持ちによって身体が強くなることなんて———」
「爆発的な怒りが、託された者の想いが、人を動かす原動力になる。その原動力は身体を強くする、何がおかしい事なんだ? バーター」
遼山がバーターの言葉を遮ってそう言った。
「・・・・そうですか。不便な存在ですねぇ、貴方たちはッッ!!」
予備動作を少しとして見せる事なく、地面を蹴った。高雅を超えて、奈々へと斬りかかった。
「甘い理想を抱いて死んでいてくださいよッッ!!」
けれど、その正面に高雅が一瞬でその姿を現した。
「はぁ?!」
そして、ほぼ何でも斬り裂くことが出来るはずの鎌は高雅の身体に触れた瞬間、弾かれたのだった。
そして、弾かれたも束の間、バーターの死角に回り込んでいた奈々は完全な不意打ちをバーターへと放った。
「ッ・・・・!!」
刹那、バーターの身体が消えた。消えたバーターの身体は全員から少し離れた場所へと移動していた。
目標を失った奈々のエネルギー砲が壁に当たって粉々に破壊した。
「・・・・、、本当に・・・・」
「どうした、バーター? 想いで強くなる事は無いんじゃないのか!?」
既に止血を終わらせた遼山がバーターに向かって叫んだ。
「・・・・、いや。・・・・・・・・、いつまで続きますか、その意思は」
「さぁな? 少なくともお前を殺さない限りは消える事は無いだろうな!!」
遼山たちのこの状況を簡単に一言で言ってしまえば、限界突破という事であった。
目の前で二度も仲間を殺された怒りが、託された想いに応える気持ちが、彼らの全てを底上げしていた。
想いが人を強くすることがあり得ない事はない。また、その逆だって。人はいつだって想いで、戦ってきた。
勝ちたい、褒められたい、死にたくない、理由は何だって良い。強い想いが人を動かし、人を強くありせんとたらしめる要因であった。そして、その想いは時に奇跡を起こす。
遼山たちの極限までに高まった想いが一つの奇跡を起こした。
それは、能力の強制進化。歩が持つ異能力とは違う、アプローチも違う。けれど確かに能力が進化したのだった。
それに伴って身体能力も進化した。進化した動体視力が、バーターの動きを捉えていたのだった。
そして、その進化はこの場の全員に起こったのだった。
「確かに、私が間違っていた事は否めないでしょう。人は想いによって強くも弱くもなるようだ。・・・・けれど、それは有限でしょう?いつまで続きますかねぇ?」
バーターの言う事は正しい。そんな力が永遠に出せる訳が無い。能力の強制進化は脳に多大な負荷を及ぼしていた。負荷が許容量を超えれば、先に待つのは当然死のみであった。
しかし、そんな事は遼山たちが一番よく分かっていた。この力は諸刃の剣であると。けれど、今更そんな事に構っている暇なんて無い。僅かでも生まれた希望をみすみす手放す訳が無かった。
「ああ、そうだな。だが、それがどうした?! こんなリスクなんて喜んで受け入れる! バーター、これで決着だッッ!!」
「・・・・ッ、ああ、そうですねぇ! これで決着ですよ、餅次!!」
バーターと遼山姿が一瞬にして消えた。そして、消えると同時にぶつかり合った。
二人とも移動した場所は数センチの誤差もないほどに同じであった。
「左腕だけで戦えるんですかねぇ?!」
「無理だろうな。無論、支援が無ければの話だかな!!」
「戦乙女の戦場」
遼山が叫んだ瞬間に、地面が盛り上がると細い槍が無数に飛び出した。さっきまでとは比べ物にならないほどの量が一斉にその切先をバーターへと向けた。
「時溜・転送」
奈々が地面を思い切り殴った。すぐに、バーターへと向けられた切先が光を帯びた。
「「英雄の咆哮!!」」
瞬間、先端に集まった光がレーザーのようにバーターへと発射された。
遼山はレーザーが届くギリギリまでバーターを引き付けていた。
「喰らえ、暴食の鎌!!」
しかし、遼山が離れた刹那、一秒にも満たない時間でバーターは迫り来る全ての光を喰らい尽くした。
「戦乙女の審判」
しかし、最初から狙っていたのはそれでは無かった。その後に待ち構える二段構えの攻撃。
視界を埋め尽くす光が消えた瞬間に、既に眼前には迫り来る無数の槍があった。
全方位から迫り来る無数の槍。それは、一度鎌を振ってしまったバーターにとって対処するのは容易では無かった。
「チッッ・・・・!!」
だから、能力で避けるしか無かった。そう、能力を使うしか無かった。
「どこへ行くんだ? バーター!」
けれど、バーターが移動したその真正面に遼山が現れた。
遼山が逃げることを許さなかった。遼山は既に気づいている。バーターの能力は連続で使うのに限界があるということを。
タイムリミットがある遼山たちが取れる行動はリスクも、防御も捨てた猛攻であった。
そして、その行動はバーターとの戦いにおいては理想的なものであった。
バーターの能力は瞬間移動。自分の視界に入っている場所に自分自身を移動させることができる。ただし、連続で使いすぎると自分自身の存在が希釈され、存在が消えてしまうと言うものであった。しかし、バーターはその使うタイミングと元の技量で能力をほぼ無敵のような能力に昇華させていた。
だからこそ、遼山たちの猛攻は大きな意味を持つ。
「餅次ィィィ!!」
バーターが激昂した。右腕が無い遼山はバーターの動きを完全に読み切り、足止めをする事を徹底していた。
「「英雄の一撃」」
瞬間、今度は巨大な一つの光がバーターへと襲いかかった。さっきとは違ってたった一つ。けれど、その大きさは十数倍のものであった。見ただけで分かる、これは直撃した瞬間に身体が吹き飛ばされる。それに、光が強く、大きいせいで瞬間移動も出来ない。
「壊死!!」
だからこそ、バーターは遼山が消えた瞬間に既に鎌を振っていた。今度は後ろに槍があることを見越した上で、広範囲に鎌を振った。
「戦乙女の瞬撃」
けれど、バーターの仮定は外れていた。槍は光の後ろじゃ無い。バーターの死角である真後ろにあった。
音も出すことのないまま、槍がバーターへと突き進む。
「!!」
バーターの背中に触れた瞬間、バーターの身体が消えた。そこに関しては流石としか言いようが無かった。常人であれば今ので決着がついていた。心臓が貫かれて死んでいるはずだった。けれど、バーターの驚異的な反応速度と文字通り人間離れした触覚が死角からの攻撃にも反応してみせた。
だが、そんな事に驚く事など無かった。既に遼山たちは動いている。
バーターの前に現れたのは遼山ではなく高雅だった。
「貴方に何が出来るんです?! 能力諸共、斬り刻んで差し上げましょうッッ!!」
「死んじまえ、バーター!!」
両手で柄を強く握りしめたバーターが鎌を高雅の脳天めがけて振り下ろした。
けれど、高雅は避ける素振りも受け止める素振りも見せなかった。
むしろ、鎌を振ってガラ空きとなった上半身に殴りかかった。
「ガハッ・・・・!!」
脳天に振り下ろされた鎌は高雅を斬れなかった。ほとんど何でも斬れるはずの鎌がただの人間に弾かれたのだった。
バーターにとって予想外だったのは、高雅が斬れなかったこと———では無かった。そんなことよりも高雅の殴りが異常なまでに強いことだった。
たった一発。それなのにもかかわらず目の前がチカチカするほどにバーターへとダメージを与えていた。
今現在、バーターの身体は暴食の鎌から漏れ出る力を直接受け取っていた。つまり、バーター自身が暴食の力を持ち生半可な攻撃であれば完全に消滅させ、強い攻撃であったとしても大幅にその威力を緩和させることが出来ていた。
それなのに高雅の殴りは、そんな状態のバーターに大きなダメージを与えていた。それは、あまりにも異常であった。
「どうした、足元がおぼついてないのか?」
「お前・・・・、何を?」
少し吹き飛ばされて、口から血を吐き出したバーターが忌々しそうな目をしながら高雅に向かって言った。
「いや、良いです。・・・・まさか、能力まで変化してるとは・・・・? ああ、そう言えば能力は感情によって変化するんでしたっけ・・・・」
口元に付いた血を右手で拭き取りながら一人で呟くようにそう言った。
バーターの推測通り、全員の能力は進化していた。特に、高雅の能力の進化は凄まじいものだった。
高雅の能力は喰らった物理攻撃を吸収し、それを自身の攻撃力と破壊力に還元することができるようになっていた。加えて、今までは吸収できる物理攻撃には上限があった。しかし、自身の命を燃やして爆発的な力を得ている今、高雅が吸収できる限界は無かった。つまり、バーターの何でも喰らう鎌の攻撃でさえ、今の高雅は吸収することができるのであった。
「・・・・、見たところ、全員能力が成長したんですか・・・・」
バーターは何度か頭を振ってから、焦点が合った眼を高雅たちに向けた。
「・・・・」
「・・・・」
バーターの高雅が同時に動き出した。
バーターは間合いから外れているところから鎌を振るった。
今の高雅には物理攻撃は効かない。本来ならば、高雅の能力を見たら攻撃が効かないように思える。しかし、既にバーターは高雅の能力に当たりをつけていた。
だからこそ、高雅には物理攻撃をしない選択を取った。
「真空悪食」
「?!」
高雅が鎌が振るわれた場所に触れた。その瞬間に、無敵とも思える高雅の身体に激痛が走った。
「ッッツ・・・・!!」
胸元に鎌で斬られた傷とは違う、歪な切れ目がついていた。
「? 心臓まで届くと思ったんですがねぇ? ・・・・ああ、餅次の仕業ですか」
バーターがそう言うように、遼山が高雅の命を救っていた。
バーターがやったのは、真空による空間の削り取りであった。暴食の鎌はその名の通り何でも喰らうことができる。人間でも、攻撃でも、大気でも。
バーターはその特性を利用して、空間を削り取った。そして、真空となった空間に対象が触れた瞬間に体内の毛細血管が破裂し、皮膚を突き破ったのであった。
遼山は一瞬の嫌な気配から、少しだけ高雅の身体を後ろにずらしていた。もし、あのまま高雅が真空に完全に突っ込んでいたら、心臓まで食い破られ、高雅の命は無かった。
「ほんっとうに、お前は私の邪魔をしてくれますねぇッッ!!」
「それが、今の俺に出来ることだからなぁっ!!」
バーターと遼山が再びぶつかった。その戦いの速度はより増していった。
けれど、それでも何とかギリギリのラインで遼山は片腕の状態でその速度についていった。
「空弾」
バーターが小さく空間を削り取った。バーターの身体に暴食の鎌の能力が宿っている今、爪で空間を削ることで、さっき高雅にやったことと同じことを小範囲で出来るのであった。
「時溜小連弾!!」
奈々がバーターと遼山の間を縫って連続で撃ち込んだ。奈々のエネルギー砲はバーターの空間断裂全てに撃ち当て、無効化するのに成功していた。
「チッ・・・・」
「戦乙女の真槍」
超巨大な槍が高速でバーターへと襲い掛かった。貫くというよりかは圧倒的な物量で圧し潰すといった表現が合っているほどの巨大すぎる槍であった。
「呑み込め、暴食」
バーターは巨大な槍を斬る事なく、跡形もなく消し去った。痕跡すら残らないほどに一瞬で喰らいさったのだった。
まだ余力のあるバーターと、全員満身創痍で時間制限のあるこちら側。
絶望するには充分すぎる材料が既に揃っている。
だが、それでも。遼山たちの脳裏には絶望も、敗北の二文字も姿を表さない。
「「バーターァァアァッッ!!!!」」
高雅と遼山が前後方からバーターを挟み込んだ。
「死斬演舞」
前方の遼山へと鎌を大きく振った。今の遼山にはこれを受け止めきれるほどの余力は無かった。だから、鎌の間合いから退いた。
「バーターッッアアア!!」
前方だけに意識がいっていたバーターに真後ろから高雅が殴りかかった。
けれど、バーターはむしろ、遼山よりも高雅に警戒を払っていた。
「貴方は、対人戦の経験が足りなさすぎますねぇ」
鎌を少し上に投げて後ろを振り返ると、伸びていた高雅の腕を躱すと、腕を掴んで即座に引っ掻いた。
「グゥッッッツッアああ!!」
高雅の腕がズタズタに斬り裂かれた。皮膚の真上で真空を起こされ、小範囲とはいえ完全に直撃した。
腕がもげたと思えるほどの激痛が高雅に降り注いだ。
そして、痛みに怯んだ瞬間に、掴んでいた腕を離して、高雅の顔面を左手で引っ掻いた。
「死ね、空命」
「ッッがァァアァァァアアアァァァっッッツ!!!!!!」
高雅の叫び声が上がった。頭が沸騰するような感覚が高雅を襲った。
いや、感覚なんかじゃない。実際脳の血管が沸騰するように破裂していた。顔面、それも脳付近への真空の直撃。
高雅の脳内の血管が破裂し、即死であった。
高雅は少し勘違いをしてしまった。バーターと高雅には能力の進化だけでは埋め尽くせない圧倒的な技量の差があった。そもそも、いつも防御に徹してきた人間が、普段から近接で命の取り合いをしている人間に肉弾戦で勝てる道理はなかった。
膝から高雅が崩れ落ちた。
「あと三人」
「ッッ・・・・!」
『四十・・・・、いや三十秒だけ稼いで下さい』
その時、遼山たちの脳内に凛理の声が流れた。凛理は使い捨ての魔道具である念話礼装を使用していたのだった。
念話礼装は一分間だけ、任意の人物間で頭の中で会話をすることができるようになるものであった。
『三十・・・・、分かった。巻羽、やれるな?』
『分かってます。凛理、頼んだよ』
バーターに三十秒。それは長すぎる。五人が全員揃っていて、バーターに慢心がある状態であれば簡単ではある。けれど、人数が減り、バーターに慢心なんてものは無い。むしろ、バーターのほうもこちらと同じように進化をしているのか、反応や、攻撃がどんどん重くなっていた。
そんな中での三十秒。それは、命を投げ打ってもなお、余りあるほどの時間だった。
『・・・・どうか、全力を尽くして』
凛理は死なないでとは言わなかった。分かっていた。自分が言った三十秒は二人に死ねと言っているのと同義なことを。
だからこそ、凛理は死なないでとは言えなかった。それは二人への最大級の侮蔑であったから。
「時溜:制限解除・極砲」
いくつもの巨大なエネルギー砲を奈々が撃ち放った。
「悪食裂創」
バーターがその場で大きく鎌を振り下ろした。直後、鎌の軌道上の空気に亀裂が入ると、まるで異界の扉が開くようにして奈々のエネルギー砲を呑み込み、消滅させた。
「バーターッッ!!」
エネルギー砲が消えると同時にバーターの真正面に遼山が現れた。
まだ、鎌を構えきっていないバーターへと左腕を伸ばした。
「もう良いですよ、餅次。無駄な足掻きは寒いですよ?」
けれど、遼山の動きは遅くなっていた。気合いがあっても、遼山は血を無くしすぎた。
今の遼山は能力を支えるどころか、立っているのですら奇跡と呼べるほどの失血をしていた。
「足掻かないでどうする、その足掻きがお前を追い詰める!!」
「・・・・、無理ですよ。奇跡は、何度も起こらないから奇跡と呼ぶんですよ」
バーターは流れるように伸ばされた左腕を躱した。
そして、遼山が腕を引く前に片手で鎌を回すと、左腕へと振り下ろした。
「ッアァァア・・・・!!!!」
遼山の左腕がどさりと床に落ちた。
遼山は左右の腕を無くしてしまった。けれど、それでも止まることはなく、ガチリと歯を食いしばると、バーターの首元に噛みつこうと首を前に出した。
「グゥゥゥッッッアアアア!!!!」
「とんだ執念ですね」
現実は非常だった。遼山の歯がバーターに突き刺さるよりも先に、バーターは遼山の鳩尾を殴った。
「ゴボッッ・・・・!!」
バーターの拳が遼山の鳩尾にめり込んだ。ブチブチと変な音がして遼山の身体が吹き飛ばされた。
血を吐きながら、勢い良く背中から壁に激突した。もう、遼山は動かなかった。崩れた壁の中でだらんと肩が垂れ下がっていた。
けれど、稼いだ時間はまだ十秒ほどしか経っていなかった。
「っ・・・・、、時溜転送:極砲・円環」
奈々は遼山に一瞬だけ目を送ると、即座にバーターを見直した。
一瞬でエネルギー砲をバーターを囲むようにして転送すると全方位から同時に撃ち出した。
一つ一つが超高威力を誇るエネルギー砲が逃げ場のないほど辺りを埋め尽くした。
そして、同じ一点へと向かうエネルギー砲がぶつかりあった。轟音と共に爆風が流れた。
「ど・・・・」
「どうもなってませんよ。当たってないので」
振り返るよりも先に奈々は全身からエネルギー砲を撃ち放った。
「判断は良くなったようですねぇ。けれど、足りない。死斬裂断」
バーターは奈々から放たれた無差別の攻撃を斬り裂いた。
「時溜:極砲・死凸!!」
その一瞬で振り返ると右手に溜め込んだエネルギー砲をぶつけるようにして腕を伸ばした。
「瞬死断斬」
けれど、もうそこにバーターの姿はなかった。右手から放たれた一直線に伸びるエネルギー砲は虚しく空を切った。バーターはいつ通り過ぎたのか、奈々の真後ろに背を向けて立っていた。
少しだけ遅れて、奈々は気づいた。
「あ・・・・、」
自分は、斬られていた。お腹が熱くなるのを感じて、前のめりに倒れた。
地面に落ちた衝撃でドロリと身体の内側にあるべき物がが出てきた。
ああ、自分は両断されてしまったのだ、と奈々は少しずつ襲ってくる冷たさを感じながら気づいたのだった。
「・・・・さて、あとは一人。さっきから、何をしようとしていたんですか? まぁ、聞いたところでもう意味はないんですけど」
凛理はこの状況でも、力を制御し続けていた。遼山と奈々の二人が命を賭して、稼いだ時間は二十秒ほど。
凛理が言った時間には届いていなかった。
「さようなら、死斬裂壊」
「まだ、終わらせない!!」
床に手をつけたまま、止まっている凛理へと鎌が振り下ろされた。
「!! なぜ?!」
けれど、その鎌は弾かれた。決して凛理が弾いたわけじゃない。
その鎌は、他の誰でもない、高雅によって止められた。
「なぜ、貴方が生きている?!」
バーターはそれには驚きを隠せないようだった。確実に、バーターには殺した感覚があった。それに、側から見ていても高雅が死んだのは一目瞭然であった。
けれど、高雅は生きていた。亡霊なんかじゃない、生身の実態を持って高雅はバーターの前に立ちはだかった。
「紡いだ想いの結果だよッッ!!」
右眼が少し濁り、白目の部分は真っ赤に染まりきっていた。血を吐きつつ、高雅はバーターへと叫んだ。
高雅が死ななかったのは、奇跡ではなく、ルーシーが死ぬ前に高雅へ投げた魔道具が原因だった。
ルーシーが高雅へ託した魔道具は形代というもので持っている対象の命に関わるダメージや怪我を一度だけ身代わりに受ける。ただし、受けるのは傷だけであり、痛みは受け負わない。そのため、命は助かっても痛みによって精神がおかしくなってしまう事がほとんどの欠陥魔道具であった。
けれど、高雅は痛みによって気が狂うことはなかった。死の痛みに耐えきったのだった。
「ッ・・・・! 大人しく死んでいれば!!」
バーターは鎌ではなく、拳で高雅を相手にした。鎌で戦っても、高雅にその攻撃は効かない。その上で、自らの防御を上回る攻撃をしてくる高雅に鎌を使わないのは賢明な判断であった。
高雅はバーターの動きに食らいついた。
「おおオッッッ!!」
バーターの指先に神経を張り巡らせ、真空の攻撃だけは直撃しないようにしていた。
真空の攻撃がある場所は空間が歪んでいるように見え、よく目を凝らせば認知可能であった。
バーターにとって、高雅に有効な攻撃は真空の攻撃だけであった。
だからこそ、高雅を相手にするのには時間がかかる。
「飛んでいろ!!」
バーターは有効な攻撃が届かない以上、高雅を倒し切るのを諦めた。
足払いをするようにして高雅の体幹を崩すと、右足を掴んで投げ飛ばした。
「ぐっ・・・・!!」
「貴方は、後で相手してあげますよ!!」
右手に鎌を出現させたバーターは凛理に狙いを定めると、一気に跳躍した。
「ゴホッ・・・・、いがせな゛い゛・・・・!!」
「しつこいんですよ!!」
間違いなく、死に至るほどの血を口から吐きながら、バーターの前に遼山が現れた。足つきはフラフラとして戦力にはならない。
けれど、その動きは一秒以上の時間を稼いだ。
「チッッッ・・・・!!
直後、バーターの姿が遼山の眼前から消え去った。
ボロボロの遼山の執念がバーターに能力を使わせた。
そして、三十秒が経過した。文字通り、命を賭して繋いだ三十秒。永遠とも思えるような長い一瞬が過ぎた。
「ありがとう・・・・、皆んな。戦女神の・・・・憤怒!!」
バーターが姿を現すよりも先に、凛理が目を開き、床につけていた手を少しだけ上にあげて地面を殴りつけた。
刹那、急速に凛理の眼球に血液が集まっていく。そして、右眼が破裂した。眼球から夥しい量の血が床に垂れ落ちた。燃えるような激痛が凛理に襲い掛かった。
「ッッ・・・・!」
けれど、それでも手を緩めなかった。
目が破裂したのは完全な脳へのオーバーヒートの影響だった。これ以上の能力の行使は生死に関わってくる。
けれど、凛理はいっそう出力を上げた。
「アアアァァァアアアアッッ!!!!」
凛理が心の底から咆哮した。
直後、バーターが凛理の真後ろに現れた。
「終わりですよっっ!!」
しかし、それとほぼ同時に味方のいる場所を除いて、この空間全ての床から槍が真上に突き出た。
広範囲の攻撃は、瞬間移動によってどこに現れるか分からなくても有効であった。
バーターは凛理に攻撃するよりも先に、防御をすることを迫られた。
「ぐっっッッ・・・・!!」
「命溜:極限命尽砲」
その防御を弾くようにして、死んだはずの奈々からエネルギー砲が放たれた。既に上半身と下半身を分断されているのに、上半身だけでバーターに抗った。
文字通り、残っていた消えかけの全生命エネルギーを使った攻撃がバーターへと降り注いだ。
「・・・・!!」
「餅・・・・次、、、!! がァァァアアアアッッ!!」
「・・・・・・・・・・・・ァ!!!!」
なんとかして躱そうとするバーターを遼山が捕まえた。
遼山に意識が、命があったのかは分からない。けれど、バーターを逃すまいと羽交締めをするようにしながら力づくで捕え続けた。
遼山とバーターが奈々の無数のエネルギー砲をその一身に受けた。
「オオオォァアァァァアアアアッッ!!」
そして、槍によって姿が隠れる場所に高雅がいた。高雅の右腕は皮一枚で繋がっているようなもので、脇腹は少し抉れていた。
高雅は凛理の槍によって巻き添えを喰らっていた。動かずにその場にいれば、高雅たちに槍が当たることは無かった。けれど、それでも一直線に、槍に当たって、それを砕きながら、バーターが現れる方と走り向かっていた。本来ならば、バーターがどこに現れるかなんて分からない。けれど、野生の勘か、第六感か、バーターがそこに現れると確信して高雅は走っていた。
そして、その覚悟が、バーターへと高雅の拳を届かせた。
雄叫びを上げながら槍ごと奥にいるバーターを殴りつけた。
「グゥッッッ・・・・!!」
太い槍が叩き折れ、殴りつけられたバーターは小さく呻き声を上げて、回転しながら吹き飛んだ。
何本もの槍を壊しながら、壁に衝突した。
「・・・・・・・・ゴホッッ・・・・」
壁に叩きつけられたバーターはその口から少なくない量の血を床に垂らした。
槍越しとはいえ、高雅の全力の一撃が直撃した。それは、バーターでも致命傷となり得る一撃であった。
「ゴフッ・・・・、、死・・・・、ですかねぇ」
壁に埋まった自らの身体と、床に吐いた大量の血を見ながら、バーターはそう言った。
「はぁ、はぁ、・・・・、、ゴボッ・・・・。あ・・・・あ、そうだ。死だ、バーター!」
高雅が壁に叩きつけられたバーターへとよろよろと近づいてそう言った。
バーターの手にはいつのまにか鎌は握られていなかった。どこかで弾かれたのか、もう既に手元には無かった。
「はぁ・・・・。想いだとか、そんなもので負けるなんて。面白くない・・・・」
血だらけになったバーターは無機質な天井を見上げながらそう言った。
これで終わるはずだった。多大な犠牲を出したが、遼山たちが勝ったはずだった。
けれど、遼山たちに執念があるように、バーターにも執念があった。
その執念が戦いをこれだけでは終わらせなかったのだった。
すみません、更新が遅くなりました。
次回は土曜日には行いたいです。
個人的に、バーターは結構好きなキャラです。欲望に忠実だけど、実力はある感じが好きですね。
三章は結構新キャラが出て来ましたが、これからもどんどん新しいキャラは出していくのでお楽しみに。
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