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六話 謎と仮面と地上


「‥‥っ!」


僕は飛び起きて辺りを見渡した。

僕のすぐ近くにはには首から上が消え、大きな血溜まりと、胴体だけを残して倒れているオーガの骸だけがあった。


「一体、どういうことだ? 僕はオーガに吹き飛ばされて、その後、気絶したはずじゃ?」


———。


なぜかレティアにも反応はなく、ただただ、僕はこの不自然すぎる謎に、頭が回らなくなっていた。ただ一つ分かるのはあの理不尽の塊とも呼べるオーガは死んだという事実だけであった。

そして、オーガに受けた傷もほぼ完治しており、折れたはずの肋骨はくっついているようで皮膚にも目立った外傷は消えていた。


「‥‥とりあえず、生き残ったことを嬉しがるべきか? ‥‥いや、一度ダンジョンを出て、状況を確認するべきか‥‥」


頭痛がするのを堪えて、オーガの骸へと近づいていく。そして、オーガの核と、腰に付けていた黒い髑髏の様なお面を取ると、オーガの体は何かが砕けたような音と共に、ダンジョンに消えていった。僕はその足で、ダンジョン高層へと続く階段へ向かった。


「‥‥ねぇ、レティア? 聞こえているんなら返事してよ!」


さっきから何度かレティアに呼びかけているが、一向にレティアが答える様子はなかった。僕は一旦レティアと連絡する事を諦め、階段へと向かった。

階段へと辿り着き、階段を登っている間に思考を巡らせる。 なぜ僕は死ななかったのか? なぜあのオーガが死んでいたのか? それも首から上だけが消えた状態で。

考えれば考えるほど、謎は深まっていく。そんな考えをしていると、だんだんと薄暗い階段に光が差し込んできた。俺は、久しぶりに、ダンジョン入り口へと戻ってきたのだった。今はまだ、午前中であった為か、ダンジョン高層では多くの探険者達で賑わっていた。基本、ダンジョン高層は、弱いモンスターしか出ないため、初心者の修行や、パーティーの連携を確認する場として使われている。そんな所で仮面をつけて、中層から上がってきた僕はあまりにも異質なものだった。


「‥‥やっぱり、みんなの視線が痛いな‥‥」


彼らの目は怖いもの見たさからか、ただ興味心からか、僕を注視していた。所々で、「誰?」、「なんだあいつ?」 という声が聞こえてくる。

当たり前と言えば当たり前だけど、彼らが注視していることに良い気分はしなかった。さっさとダンジョンから出てしまいたい気分だった。それに、さっきよりかは引いたけれど頭痛もあった。

僕は足早に、出口へと向かった。

・・・・この時 、僕は油断からか、疲れていたためかはわからないが、僕のことをじっと見定める様な目で見ていた人物がいたことに気づく由もなかった。


そして、僕はついに、地上へと続く階段へとたどり着いた。 階段を登っていると、僕の頭に声が響いた。


———おい、歩!!!! 大丈夫だったのか!?


「! レティア! やっと繋がった!! ‥‥うん、なぜかはよくわからないけど目が覚めたらオーガが倒れてて、傷も治ってたんですよ!」


———‥‥、そうか。ひとまず、体に何も()()はないんだな?


「体がだるくて、疲れているのと、頭痛がすること以外は特には」


———それなら良い。


「レティアは何か知らない? 僕があの後どうなったのかを」


———すまないが、君の記憶が途切れたタイミングで私との接続も切れてしまっていた。だから私も何があったかはわからない。


「そう‥‥か」


僕ががっかりしていることを見抜いてか、レティアが言ってきた。


———‥‥とりあえず! 今は、命があったことを喜ぶべきだろう?


「うん‥‥、確かにそれもそうだね」


———そうだ。あのままだったら間違いなく、君は死んでいたんだからな。今は謎があることを棚に上げて、どんな形であれ、生きていることを実感しよう


「‥‥うん」


そんな話をしていると階段の終わりが見えてきた。僕は階段を登り切り、最後の段差を踏んで、僕はやっと、地上へと戻ってきたのだった。



次話からダンジョンの外のお話に入ります! 後々幕間も出していくつもりです。次の更新は明日か明後日には行います!コメントや感想お待ちしておりますのでよろしくお願いいたします。

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