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三十三話 修行の成果

あの後、何度かまたジャイアントアントが僕たちを襲って来てそれらを倒しながら僕たちは花畑を歩いていた。


「それにしても、やっぱりここは広いねー」


僕たちが歩いていると、地図を見ながらレナがぼやいた。明治神宮ダンジョンは二重ダンジョンこそ攻略できていないけれど、ボス部屋までは何人もの冒険者たちが既に行っている。そのため、ここでは各階層ごとの地図が既にあるのだった。


「そうですね。でも、最上層より下の階はここまでは広くないからまだ、良いですよね」


「本当にそう。ゴールドダンジョンとかだと全部の階層でこれくらいの広さとか割とあるからねー」


二人が愚痴るのも当然のことだった。明治神宮ダンジョンの最上層の広さは敷地面積で言えば、約四百haもある。これは、ディズ●ーランドが丸々八つ程度入るほどの大きさだった。


「ゼロ君はここまで大きダンジョンは初めて?」


前でノアと喋っていたレナが後ろにいた僕に振り向いて話しかけた。


「うん。ここまでのは初めて。こんなに大きいと、歩くだけで大変だね」


「そうだよねー。疲れたら言ってね。その時はちょっと休憩しよう。これから花畑からジャングルみたいな場所に入るからさ。もちろん、ノア君も遠慮なく言ってね」


「はい」


ノアが答えると共に、僕はレナの言葉に首を縦に振った。

そのまま、歩いていると、目の前に森のような樹々が生い茂る場所が見えてきた。


「よしっ、じゃあ一旦ここで休憩しよー。ここから先は見晴らしが悪いからね。休憩は今のうちにしとこ。それにここで、次の階層までの入り口まで大体三分の一くらいまでなんだけど、ここからはなるべく休憩なしで行きたいしね」


「そうですね」


「えっ、まだ三分の一しか来てなかったの?」


「そうだよー。驚いた?」


「まぁ、うん。そりゃあね」


「そうだよねー。でも、この階層はあと二時間ちょっとくらいで抜けれると思うから、がんばろ!」


「そうだね」


そして、それぞれが飲み物を取り出して水分補給を始めた。ノアが飲み物を一旦異空鞄にしまうと、代わりに異空鞄から缶のようなものを取り出した。


「ゼロ、レナさんこれをどうぞ」


そう言うと、ノアはさっき取り出した缶のようなものから、一粒ずつ飴みたいなものを取り出して渡していった。僕もその飴を貰って飴を見て、ノアに言った。


「これって、回復飴?」


「そう。ここまで歩いて疲れも溜まっていると思うから。ジャングルに入るとモンスターと連戦になるのもザラじゃないから、今のうちにな」


そうノアが答えた。確かにノアの言う通り、僕たちはここに来るまでに、途中モンスターが襲ってきたとはいえ、既に一時間半もかかっていた。


「ありがとー、ノア君」


回復飴

それは回復薬などの成り損ないのようなもので、回復薬などの製造途中で生まれる物を飴のように形成した物のこと。回復薬などのように傷を治したりするという効果は無いが、疲労回復などに効く物だった。ちなみにこれは、宮家財閥の回復薬製造部門の人が製造途中で生まれるカスのようなものを有効利用しようと考えて作ったらしい。


「ありがとうノア」


そう言って、回復飴を口の中に入れると、飴はポカ●スウェットの様な味がして、美味しかった。そして、三人で花畑の芝生になっている地面へ座った。そして、それから十分ほどして、レナが立ち上がって僕たちへ言った。


「そろそろ行こっか。二人とも行けそう?」


「僕は大丈夫。ノアは?」


「僕も同じくです。行きましょう、レナさん」


「オッケー、じゃあ行こっか」


そうして僕たちは立ち上がり、ジャングルの方へと進んでいった。


ジャングルの方へと進むと、さっきまでの花畑の時とは違い、高く生い茂った樹々によって少し薄暗くなっていた。そして、地面は少しぬかるんでいて、少し足が取られそうだった。そして、樹々によって、遠くの方まで見渡すことが出来なかった。


「ゼロ君、足元が普段と違うから、戦う時は注意してね」


「うん。そうする」


「ゼロ、刀を使う時は気に当たらないように注意しとけよ。木の位置とかも確認しとかないと事故るから」


「うん。わかった」


レナとノアが初めて、ここへ足を踏み入れた僕に注意喚起をしてくれた。そのまま、歩いていると誰かに見られているような感覚が僕を襲った。するとすぐに、レナが声を上げた。


「ゼロ君、上からくるよ!」


レナの言葉を聞いて、鬼月を抜きつつ、上を見た。僕が上を見て少ししてから、木の大きくて太い枝から大きな物体が僕の方へと飛びかかって来た。それを鬼月で弾いた。弾かれた物体は、宙をまって地面へと着地した。

それは、八つの眼を持ち、八本の黒く太い脚を持っていて、白い体毛が生えている成人男性ほどの大きさの大きな蜘蛛だった。その蜘蛛は、大きな口をカチカチと鳴らし、キシャアーと叫んでいた。


「オニグライか!!」


オニグライ

蜘蛛のモンスターは基本的に昆虫のモンスターを捕食し、動物などを食べることはしないため、こちらから害や攻撃等をしない限りは襲ってこない無害なモンスターである。しかし、一種類だけ人を含めた動物を主食とする蜘蛛のモンスターがいる。それが、今僕たちの目の前にいるオニグライだ。オニグライは黒く、丈夫な足で獲物の動きを止めてから、粘着質で強度が高い糸を巻き付けて住処へ運んでそれを食べる。コイツはあのオーガですら、捕食対象にする。そのため、鬼を喰らうモンスターとしてオニグライという名前がついた。冒険者も初心者やベテラン関係なく、コイツの犠牲になっている人は多い。だから、別名 白い恐怖とも呼ばれている。しかし、その素材はとても良い物で、武器や防具など様々なものに重宝されている。その為、危険は高いが、リターンも大きい、まさにハイリスクハイリターンなモンスターだった。


すると、オニグライの姿を見たレナが急に叫んだ。


「うわー!! ご、ごめんゼロ君、私蜘蛛だけは苦手なんだ!! だからゼロ君一人でも大丈夫??!!」


「えっ、・・・・わかった。僕がやる」


レナは僕の返事を聞くと、よほど蜘蛛が苦手なのかすぐに後ろの物陰へ逃げた。レナが後ろへ下がると、ノアが少し前に出て僕に言った。


「ゼロ、サポートはするから」


「うん。ありがとう」


「ふぅ・・・・」


僕は息を吐いてオニグライを見定めた。


次の瞬間、じっと僕たちの方を見て動かずにいたオニグライが僕へ襲って来た。黒く硬い脚を二本僕へと突き出した。


「ハァッ!」


僕は下から上へ脚を切り上げるように鬼月を振った。鬼月が脚に当たると、ガキッという音と共に、オニグライの脚が上に弾かれた。そのまま、僕はオニグライの腹へ鬼月を一連の動作で振り下ろした。しかし、切られる寸前ですぐにオニグライは後ろへ飛んで、切られることを回避した。


「これぐらいじゃ、切れないか・・・・」


オニグライはさっきよりも興奮したように、ギシャーと耳障りな音を出していた。


「長引かせて、糸を吐かれても面倒だな・・」


オニグライの厄介な点は強靭な脚ではなく、糸であった。その糸は粘着質なこともあり、非常に切ることが難しく、加えて最悪の場合、持っている武器を絡め取られてしまうことがあるのだった。


僕とオニグライは互いに睨めあっていた。僕は少し考えたあと、鬼月を鞘に納めた。納めた瞬間、オニグライは好機と見たのか直ぐに僕に襲いかかって来た。


「ゼロ、危ないぞ!!」


それを見たノアが後ろで叫んだ。それを聞いた僕はフッと笑っていた。


「大丈夫。ノア」


僕がそういうと、オニグライはもう僕と目と鼻の距離まで接近していた。僕はそれでも尚、焦ることなく、鬼月を引き抜いた。文字通り()()()()()()速さで。


「柳生新陰流 二式 神速」


僕はオニグライを真横に頭から真っ二つに切り裂いた。鬼月についたオニグライの緑色の血をはらってから、僕は鞘に納め直した。


「よしっ、倒せた!」


僕が満面の笑みでノアの方を振り返ると、ノアは驚いたようにポカーンとした顔をしていた。


「ノア? どうしたの?」


「・・・・、いや、なんでも無いよ。それにしても、オニグライを一撃か・・・・。というかサポートの必要が無かったな」


「いやいやノアが後ろにいるだけでも、だいぶ心強いよ。それとレナ! もう倒し終わったよ!!」


僕がそういうと、レナも後ろの物陰から出て来た。


「ごめんねー、ゼロ君。任せちゃって」


「気にしないで。苦手な物は誰にだってあるし」


「本当ーにごめん、ありがとうー」


「うん! じゃあ、オニグライは素材と魔石を回収して、先に行こう!」


「「うん」」


そうして、僕とノアで解体した後、僕たちは次の階層へと目指していくのだった。









次回は月曜に出来そうだったらやります。出来なかったら水曜日までにはします。


感想やコメントなどお待ちしてますのでよろしくお願いします!



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