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幕間 蒼丸の受難

———時は遡り、歩たちがが新宿へと向かう前の頃。



ある一人の男が仲間たちと話していた。


「お前、一体何をしたんだよ。今少し有名になってるぞ、お前の話が」


「本当ですよ。あなた何しているんですか? 全く。あなたに巻き込まれて私まで嘲笑を受けたら承知しないですわよ」


「だから言ってんだろ!! 俺は何もしてねえんだよ!! テメェらまで俺のことを馬鹿にしやがってよ!!」


その男はイラつきながら、仲間たちへ叫んだ。そして、その叫び声の主は西倉 蒼丸のものだった。そして、その男はこの前警察のお世話になってしまった事件のことをパーティーメンバーである桜 つぐみと、鬼丙 陸の三人で話していた。ここは、四人、いや今は三人のパーティーメンバーたちが用が有る時に使っているマンションの一室だった。このパーティー、『ラグナロク』はレッド級の冒険者たちの中では割と有名なパーティーだった。というのも、メンバーの内三人の能力が稀有なもので、パーティーを発足してから3年程度でレッドダンジョンまでも攻略したためだった。


「馬鹿にもしますわよ。だってあなた府中駅で起きた事ネットでもだいぶ話題になっていますよ? 顔にモザイクはかかってるけれど、見る人が見たらすぐに誰だかわかってしまいますわよ」


つぐみは蒼丸を馬鹿にするように笑いながらそう言った。


「うっせぇなぁ!! ああ、クソッ!! 今思い出しても腹立つ!! あの仮面野郎のせいで、クソ、クソ、クソ!!」


「さっきからそれしか言ってないが、その仮面野郎っていうのは誰だ?」


「ああ? まだ言ってなかったか? アイツはよ、俺があのグズの家を貰ってやろうと家に行った時に会った奴でよ。真っ黒い仮面をつけた白級のやつでよ! 白級の癖に俺に生意気言ってくるから、痛い目を見てもらおうと思ったらよ。いきなり、俺の視界から消えたんだよ。んで、俺は気づいたら府中駅に居たんだ」


「それって白級に返り討ちにされたってことで事ですわよね? もっと強いと思っていたのですが、どうやら見当違いだったようですわね」


つぐみが今度は蒼丸を馬鹿にしていることを隠すことなく、笑いながらそう言った。そう言われた蒼丸の顔はみるみる赤くなっていった。


「つぐみ!! テメェは黙ってろ! 次俺を馬鹿にしたら許さねぇからな!!」


「はいはい。それでは黙っていますわよ」


「しかし、それにしても、その仮面の奴は何者なんだろうな?」


「それをよくわからねぇから困っているんだろうが! いや、待てよ。そう言えばアイツ、あのグズに用が有るとか言ってたな。アイツの従兄弟だとかか?」


「それは無いんじゃなくて? だって昔、いとこやはとこはいないって言っていましたもの」


「じゃあ一体誰なんだ、アイツは!! お前らもなんか心当たりとかねぇか?」


「いや、俺は無いな」


「私もですわよ」


「チッ! お前ら! 仮面野郎を見つけたら、絶対に俺に教えろよ! つか、見た瞬間捕らえろ! 絶対に見つけ出して、ぶち殺してやる!」


蒼丸は目を血走らせながら、二人へそう言った。その様子と形相はなんの比喩もなく、真っ赤な顔も相まって鬼のようであった。今こいつを馬鹿にしたり、おちょくったりしたら、そいつを殺してしまいそうなほどの勢いだった。だから、二人は蒼丸の言葉に頷くしか無かった。


「はいはい、分かりました」


「分かった」


(「それにしても、黒い仮面か‥‥。調べてみる価値はありそうだな」)


「あっ、でも蒼丸さん。これから学校はどうしますの? ネットであんなに有名になったら、学校にも行きづらいのではなくて?」


「ああ、そのことか。昨日、学校の校長から連絡がきたよ。ほとぼりが冷めるまでは休学ってことにするってよ」


「ああ、そうなんですの」


「そうか」


「でもお前ら、俺が居ねぇ間に俺の噂とか、悪口が流れねぇようにしろよ? もしそうなったら、その噂を流した奴らを徹底的に潰せ」


ちなみに、この三人は同じ高校に通っている。そして、クラスも同じである。そのため、何かあった時にお互いに干渉し合えるのだった。そして、今はここには居ない。黒い仮面の冒険者である刻藤 歩も同じ高校であった。しかし、この三人と歩はクラスだけ違った。だから、基本的にダンジョン以外では、あまり関わり合うことは無かった。


「あんまり気乗りはしませんわね」


「まぁいいだろう、善処する」


「ああ、頼んだぜ」


そういうと、蒼丸はドサッとソファへ腰を下ろした。


「じゃあ話は終わったか?」


「ああ、どうした? これからなんかあんのか? 陸」


「少し用事があってな。これで俺は帰る」


「そっか、つぐみは?」


「私ももう帰りますわ」


「そうか。分かった。じゃあな」


「はい、それでは」


「ああ」


そう言うと二人はそれぞれがバックやリュックを持って、玄関へと向かった。そして、ガチャっというドアが開く音がして、二人はこの部屋から出ていった。残された部屋で一人、蒼丸はこれからどうしようかなと考え込むのだった。


——そして、その日の夜、蒼丸がその部屋で寝落ちしてしまった時。

蒼丸は変な夢を見たのだった。夢にしてはあまりにもリアルで、夢の内容自体は荒唐無稽だったが、否定し切ることが出来ないようなそんな夢だった。


「うわっ!!!!!! ハァ、ハァ」



蒼丸の身体にはべっとりと汗が染み付いており、顔は真っ青だった。そして、何故か蒼丸の顔には一筋の涙が伝っていた。


「?? 何を見ていたんだっけ?」


そして、蒼丸は酷い夢を見たはずなのに、次の瞬間には、そのことを忘れてしまっていたのだった。


西倉 蒼丸もまた、歩たちと同じく大きな運命を背負い、引き返すことが出来ないということを未だ知るものは居なかった。

次回は出来そうだったら明日やります。出来なかったら、今週中です。


次回から、やっと本編へ戻ります。思ったよりもレナ編が長くなってしまった・・・・。まぁ、いいか! あまり深くは考えません


感想やコメントなどお待ちしてますのでよろしくお願いします!

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