二十三話 レナと組合
sideレナ
私はゼロ、歩君と別れてから、ダンジョン組合の本部へと向かっていた。外は日差しが強く、六月なのに二六度もの暑さだった。私がダンジョン組合本部へ行くのも、最近は色々あったせいでここ一年くらいダンジョン本部へ行けてなかったた。だから、組合マスターへ顔出しをしておこうと思っていた。ついでに、私がダンジョンに一緒に行く子を探そうとも思っていた。組合本部へ近づくにつれて、辺りには冒険者達が増えてきていた。
「はぁーーあ、歩君と別れたくなかったなぁ。まぁでも、これも歩君の為だし、頑張るかぁー」
そうこうしていると、組合が見えてきた。組合本部は、新宿駅から、そう遠くない歩いて十分くらいの所にある。だから、平日休日関係なく、基本的に人が多い。組合の前には案の定人が沢山いた。人混みの間を通って組合の扉の前まで来た。扉を開けると中は冷房が効いていて涼く、外の暑さとは対照的に心地良かった。そして、中は多くの冒険者達で賑わっていた。私は、多くの冒険者に目もくれずに受付へと向かった。私が受付へと歩いていると、私の姿を見た冒険者達が少しざわつき始めていた。と言うのも、自慢じゃないけれど、私は黒級に近い金級達の中の一人で、将来黒級になることを期待されている冒険者だった。所々で、『あれって始動 レナか?』、『初めて見た、あれが黒に近い金と呼ばれている人か』などと言う声が聞こえてくる。正直、私は歩君と同じで、目立つことはあまり好きじゃない。だから、受付で、組合マスターへの面会予約を取ると、すぐに、二階へと行こうとしていた。 すると、突然後ろから、私の名前を誰かが大声で呼んだ。
「レナさん!!!!!! 」
私が後ろを振り返ると、人混みを走りながら、私に近づいてくる冒険者が一人いた。
「あー、ノア君かな?」
「はい!! お久しぶりですレナさん!! 最近ずっと見かけませんでしたけど、どうしたんですか?」
「最近は色々あって、ダンジョン攻略に行く時間がなかったんだよね〜」
今、私の目の前にいる女の子・・・・じゃなかった、男の子は、 ノア•ライヘンドアという名前の銀級の冒険者だ。女の子のような顔で、背が小さく、白いローブを身に纏っていた。言われなければみる人全てがこの子のことを女の子と思うだろう。私がこの子と知り合ったのは三年前、私がこの子とダンジョンに行ったことがきっかけだった。その時に妙に懐かれ、今でも私をずっと慕っている。
それにしても、うーんどこからどう見ても可愛い女の子にしか見えないな〜。
「組合に来たってことは、またダンジョン攻略に復帰するんですか?!!」
「あーうん、まぁそんな所かな〜」
私が最近忙しかったというのは本当だ。最近は、様々な所の調査や名指しの依頼で日本中を飛び回っていた。
現に歩君と会ったのだって元はと言えばあのダンジョンの調査のためだったしね。
「じゃあそろそろ、組合マスターの所に行ってくるから、またね〜」
「はい!! また後でお話しできますか?」
「うん、また後でね」
そう言って私は二階へと行った。二階に行ってから、少しして、アナウンスで私の名前が呼ばれた、
『始動 レナ様、組合マスターとの面会の予約が取れました。組合マスター室までお越しください」
そう言われ、三階へ続く階段へと私は行った。そして、組合マスター室のドアを開けると、中は沢山の書類が積み重ねられた長机とそれに接するように高そうな椅子があった。そして、椅子には筋骨隆々として、顎には髭の生えた男の人が座っていて、書類整理をしていた。その男の人が私を見ると、作業していた手を止め、私に話しかけてきた。
「随分と久しぶりだな、レナ。今日はどうした? またダンジョン内で問題でも起こしたのか?」
「するわけないじゃん!! 私だって昔とは違いますー」
あんまり言いたくないけど、昔私は荒れていた時期があっていろいろな人と喧嘩になったり問題を起こしたりしていた。
その時に、私を庇ってくれて、面倒を見てくれたのが組合マスターで、元金級冒険者の 夜越 龍羽だった。
「ハッハ、そうか。じゃあ今日はどうしたんだ?」
「私また、パーティーを組んだんだ。だから、またダンジョン攻略をするよ。だから挨拶に来たんだよ」
「!! そうか、そうか。ああ、それは本当に良かった。俺はてっきり、あの事件があってから、もう二度とパーティーを組まないんじゃないかと思っていた。そうか、本当に良かった」
その報告を聞いて、マスターは心の底から、安心していた。
「‥‥うん。後、ソロ以外でダンジョンに行く感覚を取り戻すために、ちょっと今から誰かと一緒にダンジョン行ってくる」
「行く奴は決まっているのか?」
「いや、まだ決まってないよー。なるべく、回復ができる能力の持ってる人がいいんだけど、あっ、そういえばあの子の能力は回復系統だったなぁ」
「誰のことを言っているのか分からんが、今行くならシルバーダンジョンがおすすめだぞ。また最近ダンジョンが増えてな」
そういえばまだ言ってなかったね。ダンジョンはボスを倒して攻略すればこの世界から消える。けど、ダンジョンは消えるけれど、出現もする。しかも、タチの悪いことにどこに現れるかは分からない。もしかしたら、樹海の奥地かもしれないし、住宅地にいきなり現れるかもしれない。そして、なぜかはよく分からないけど、なぜか日本ではこの新宿を含めた東京二十三区にダンジョンが出現する確率が高いのだ。だから、新宿などでは頻繁に新しいダンジョンが出現するのだった。
「じゃあそこに行こっかなー。どこにあるの? そのダンジョンは」
「ここから歩いて十五分くらいの所だな。」
「オッケー。じゃあ、そこにいってくるねー」
「ああ、気をつけてな」
「うん!」
そして、マスター室を出る前に、マスターへお辞儀をしてマスター室から出ていった。龍羽一人だけとなったマスター室では、後ろの大きな窓となっている所から、空を目上げている龍羽の姿がそこにあった。心なしか目には涙のようなものが浮かんでおり、太陽の光が反射して、キラキラと光っていた。
私はマスター室から出て行った後、私はある人物を探していた。しかし、私が探すまでもなく、その人物は向こうから、私の元へとやってきた。
「レナさん! お話は終わりましたか?」
そう、私が探していた人物はさっき私と話した子。ノア君のことだった。
「うん、終わったよー。ところでノア君さぁ、これから私とダンジョンに行かない?」
私がそういうと、ノア君は少しびっくりとしてから、とても喜んでいるように答えた。その姿はまるで、犬が尻尾を振って喜んでいるようだった。
「えっ、僕とですか? えっ、本当ですか?! 行きます、行きます!!!!!! 」
「そっか、ありがとうー。じゃあ今からダンジョンに向かうけど、準備とかは大丈夫?」
「はい!! 僕がダンジョンに持っていくのは、大体この異空鞄に入ってますから! それに、装備もこのローブだけですしね! ところで、何ダンジョンに行くんですか?」
「あっ、まだ言ってなかったね、今から行こうとしてるのはシルバーダンジョンだよー」
「わかりました」
「もしかして、シルバーダンジョンは嫌だった?」
「いいえ、全然。レナさんと行けるならどこだって良いです!!
「そっか、じゃあ行こっか」
「はいっ!!!!」
そうして、私たちは組合をあとにして、シルバーダンジョンへと向かったのだった。
まだ、レナサイドの話が続きます。次回は、レナのダンジョンでの戦闘を描く予定です。レナの強さを見ていただけると幸いです。
次回は明日投稿しようと思ってます。もしかしたら、明後日になるかもしれません・・。とりあえず、明後日までには必ず、投稿します。
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