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05.力で支配! リヴァイバル派!

 俺の名前は千里透真せんりとうま


 超能力者同士の戦い、サイカーバトルに巻き込まれることとなった俺は、玻璃美澄はりみすみによってイレイス派へと連れて行かれた。


 イレイス派はブースターを全て破壊するため、俺を雇おうとしていたが、結果的に敵対。


 俺と影宮幽かげみやゆうの戦いの中で乱入してきたリヴァイバル派、義炎爆ぎえんばくは圧倒的な力をみせつけた。


 そして俺は、彼にブースターを奪われ、リヴァイバル派へと赴くことになったのだ。


 リヴァイバル派…正直、1番気になっている派閥だ。鑑見かがみさんがそこに所属しているのもそうだし、義炎爆がかっこよすぎる。


 当然俺も、天才でイケメンな紳士だからかっこよさは負けちゃいないけどな!


「ふふっ、千里くんって面白いね。」


 横で鑑見さんがそう言った。おお、タメ口! ってあれ? 俺名前言ったっけ?


「あっ、ごめんなさい。ついタメ口で話しちゃって…」


 鑑見さんがそう言った。別に同じ学年だし、こっちもタメ口で話してるから気にならない。


 …あと、めちゃめちゃ可愛い。


「そんな、可愛いなんて…」


 鑑見さんが照れてる。俺、声にでてたかな…


「お言葉に甘えてタメ口で話しますね! …私、触ってる人の心が読めるんだ。」


 えっ!? 鑑見さんが衝撃的なことを言う。俺は慌てて手を離して考えた。


 変なこと考えてなかったよな、大丈夫だよな……ってか落ち着け、紳士たるもの慌ててはならない…


 ふぅ。多分大丈夫。初対面の時からかっこつけまくってた俺のイメージは、きっと崩れてなんて……やばいかも。


「…悪い人じゃ無さそうで安心したよ。さ、行こ?」


 そう言って鑑見さんは手をこちらに向ける。美少女と手を繋ぎたい気持ちと、心を読まれたくない気持ちが俺の中で戦っている。


 いーや俺は紳士だ。誘惑なんぞには負けない!


 俺はそう思い歩き出す。鑑見さんはふふっと笑って一緒に歩き出した。



 ◆◆◆



 いかにも老舗って感じのラーメン屋に辿り着いた。こういう店のラーメンは美味いんだよな…じゃなくて、義炎爆が入店して行った。


 おい、ラーメン食べに行くのかよ! そう言いたい気持ちをグッとこらえて俺たちも入店する。


「いらっしゃい。…おや? 怜奈れいなと一緒にいると言うことは、そういうことかい?」


 店主のおばちゃんがそう言った。鑑見さんがそれに返す。


「うん。同じ大学の千里透真くん。おばちゃん、2階に通してもいい?」


 鑑見さんの下の名前、怜奈って言うんだ……って、そんなこと気にしてる場合じゃない。えーっと、どうやらここにラーメンを食べに来たのではなく、2階に行くそうだ。

 リヴァイバル派の拠点ってことなのかな。


 おばちゃんは、好きにしなと言って通してくれた。俺はぺこりとお辞儀する。


 今度、普通にラーメンも食べに行きたいな…と、写真の醤油ラーメンを見て思うのだった。


 2階に上がると、そこで義炎爆が仁王立ちしていた。


「お前はなぜ、ブースターを使ってあの化け物と戦った?」


 義炎爆がそう言った。俺はあの時、なんで化け物を前に逃げなかったのか…答えは決まっている。


「俺は紳士だからな。弱きを助け、強きを挫く。当然のことだろ?」


 紳士たるもの、誰も見捨てるわけにはいかない。


 それを聞いた義炎爆は笑った。


「面白い。それがお前の信念か。…だが、力無き者がそれを謳っても、意味をなし得ない。」


 義炎爆がそう言った。確かにその通りだ。俺はあの時…吾妻雷太あずまらいたを助けられなかった時、己の無力さを実感した。


「ちょっと爆、いきなりその言い方はないんじゃない?」


 鑑見さんが反発した。…ありがとな、でもこれは事実だ。


「鑑見、俺はこいつと話をする。お前は下でばあちゃんを手伝っといてくれ。」


 義炎爆はそう言った。こんなワイルドでかっこいい男からばあちゃんという単語が出るとは思わなかった。


「分かったけど…喧嘩しないでね?」


 鑑見さんはそう言って下に降りる。俺と義炎爆の2人だけになった。


「確かに俺は弱いかもしれない。でも、弱いことは、紳士でいないことの理由にはならない。」


 俺は、何も出来ないただの一般人だ。本当は自分でも痛いくらい分かっている。


 …でも、紳士でありたい。だから本当のことじゃなくても、天才でイケメンな特別な人であり続ける。


「ふっ、笑わせるな。弱い者が意地を張って戦っても、痛い目を見るだけだ。」


 義炎爆はそう言った。それを聞いて、俺はつい苛立ってしまう。


「…なら、お前が戦えよ! 強いお前が、化け物を倒せばいいだろ!」


 義炎爆はあの時、化け物を前に戦うことをやめた。そんなお前が、俺にとやかく言うなよ。


「俺に人を救う資格などない。…少なくとも、今の俺にはな。」


 義炎爆は自分の右手を見つめ、握りしめた。


 …何か過去があるのだろうか。その様子に、俺の怒りは収まった。


 義炎爆がこちらを向く。


「力ある者が世界を手にする! 俺が支配者となった時、世界は生まれ変わる! 強きも弱きもない世界へと。」


 義炎爆がそう言い放った。だから、リヴァイバル派。強きも弱きもない世界…それって、一体なんなんだろう。


「お前は我らがリヴァイバル派には相応しくない。だが、内なる強さは認めよう。」


 義炎爆は俺に何かを投げる。俺はそれをキャッチした。…ブースターだ。


「お前の心は強い。強い心に、強い力は宿る。いずれ敵として戦うその日まで、生き延びられたらいいな。」


 義炎爆が笑った。よく分からないけど、ブースターが手元に戻ってきてよかった。


「名を聞こう。貴様はそれに値する。」


 義炎爆はそう言う。なんか認められたみたいだ。やはり俺は天才でイケメンな紳士なのかもしれない。


「千里透真だ。」


 俺は自分の名を名乗る。この男とは、いずれ戦う。そんな気がしている。


 俺はリヴァイバル派の拠点…ラーメン屋を立ち去った。結局、情報はあまり得られなかったな…だが、俺のすべきことははっきりした。


 例え弱くても、何も出来なくても、俺は逃げない。


 超能力の起源と親父探しのつもりだったが、この大都会・東京でもう1つ目標を決める。


 化け物は、全員俺が倒してみせる。


「ちょっと待ってよ、千里くん!」


 後ろから鑑見さんがやって来た。何か用だろうか。


「爆が、護衛しろって…大丈夫だと思うけど。」


 護衛…確かに、ブースターを持っている俺は、いつ襲われてもおかしくない。

 だが護衛って…義炎爆、優しいやつなのか?


 ってか、なんで鑑見さんはリヴァイバル派にいるんだろう。力で世界を支配する…なんて、鑑見さんには似つかわしくない。


「…あのさ、」


 俺がそのことを聞こうとした時、1人の男がやって来て、話しかけてくる。


「世界は再び飲まれる。変数は、消え失せろ。」


 黒髪に紫のメッシュが入った男。目が死んでおり、表情から何も読み取れない。


 その男が地面に手をかざすと、地面に黒い泥が湧き出た。化け物が出てくる時の、あの泥。


 俺を変数と呼ぶ抑揚のない声。この男は…


「お前が化け物を生み出していたのか! 何者だ!」


 こいつが恐らく化け物を生み出している元凶だ。


「さあ、ブースターを起動しろ。命が惜しいならな。」


 黒い泥の中から、化け物が現れた。両腕が鋭く尖っている、カマキリ型の化け物だ。


 俺と鑑見さんはブースターを取り出した。義炎爆が鑑見さんにブースターを貸したのだろう。


「この男の相手は俺が。鑑見さんは化け物をお願い!」


 この男が現れたのには、何か理由があるはずだ。良くないことが起こる前に、俺がこいつを倒す。


「余計な真似を…まあいい、まずは貴様を消し去る。」


 俺は鑑見さんと別れ、謎の男と対峙した。


 こいつはなんなんだ? 俺は彼を見る。


「視え…ない。何も。」


 驚いた。こいつからは、何の文字も出てこない。ますます謎な存在だ。


 ドカーンと戦いの音が鳴る。近くで化け物と鑑見さんも戦いを始めたのだろう。


 なにも見えない相手と、どう戦うか…俺は拳を握りしめ、構えた。

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