18.俺とみすみんのお仕事探し!
俺の名前は千里透真。
超能力者同士の戦い、サイカーバトルに出会った俺は、その戦いに巻き込まれていく。
そんな中、大学が再開。遂に始まった学園ライフに胸を踊らせながらも、友達ができることも特になく、サイカーとして好奇の目を向けられながらも日々を過ごしていた。
そんな中、俺はかつてないほどの大ピンチに陥っている。
…いや、それは盛ったか。死にかけたあの時の次に、大ピンチに陥っている。
お金が、無いのだ。バイトをするつもりだったが、化け物の戦いでそれでどころでは無かった。
比護守のアイドル活動の儲けを貰う約束だったが、それも国に没収。
今後お金はなんとかすると言ってくれたが、それは断っておいた。彼の苦労を労おう。
うーん、このままだと来月くらいから大変なことになるぞ…
悩んでいると、スマホの通知がなった。みすみんからのメッセージだ。
『手伝って欲しいことがある。今から会える?』
今日は休日だから問題ない。それに、みすみんの頼みなら行かなきゃな。
そういうわけで、俺は家を後にするのだった。
◆◆◆
「みすみん、どうしたんだ?」
俺たちは、以前たまたま一緒に行くこととなった喫茶店に来ていた。
この前はパフェだったけど、今はお金ないからコーヒーで。
「いいバイト、知ってる?」
みすみんがそう言った。バイト…実にタイムリーだ。
「知らないけど…なんで?」
みすみんは仕事人間だ。急にバイトなんて…あ、もしかして。
「仕事が無くなった。だから、バイトを探してる。…1人だと心細くて。」
みすみんはこれまで、イレイス派に雇われていた。イレイス派の秘密を探るために。その秘密こそが、予兆未来の計画。
だが、イレイス派が消滅し、みすみんは超能力を奪われた。そして、彼女の仕事も無くなってしまった。
「よーし、地元じゃ最強のアルバイターだった俺に任せとけ!」
東京に来るまでの費用。大学の学費。これまでの生活費。俺はそれらをバイトで全て稼いだのだ。
「…ありがとう。」
みすみんはそう言って、笑った。
◆◆◆
そうと決まれば、バイト探し。地元では求人情報を探して歩き回っていたが、幸いここは東京。某アプリで求人を探しまくる。
まずは定番。コンビニ!
「サイカーはちょっとねぇ…」
はい、失敗! 切り替えていこう!
スーパー!
「いやーうちで戦われたら困るよ。」
これもだめ! まだまだ!
ファミレス!
「急に戦い始めてシフトとかめちゃめちゃになっても困るし…」
失敗、だ…
サイカーとして広まってしまったせいで、ことごとく断られる。みすみんはサイカーじゃなくなったのに…これがデジタルタトゥーってやつ?
「…仕方ない。潜入のためだったから。」
みすみんはそう言った。でも、収入ないと困るよなー。
「そういえば、なんで潜入をしていたんだ?」
みすみんは、孤独な潜入捜査をしていた。なぜ辛い潜入をしてまで探りたかったのだろう。
「…実は、ブースターを作ったのは私のお母さんなの。世界の平和を、お母さんは目指してた。だから、私とお姉ちゃんがその遺志を継ぐことに決めた。」
なんだって!? みすみんのお母さんがブースターを作った?
「15年前、お母さんが化け物に対抗するために作ったのがブースター。血を使って、身体能力を上げる装置だった。」
みすみんがそう言う。ブースターは、元々身体能力を上げるための装置。だから攻撃系ではない超能力のブラッドインジェクトは、身体強化。
超能力が血に流れているから…もしかして、超能力の強化は元々想定されていたわけではなかった?
「お姉ちゃんは、3年前に失踪した。その直後、行方不明だったブースターが現れた。突然現れたブースターを追っていたら、予兆未来に辿り着いた。」
3年前に現れたブースターの謎、か…
予兆未来、それから融擬傀は、5人のサイカーの覚醒を目指している。
彼女らが3年前にブースターを撒いた本人ということは、このサイカーバトル自体、仕組まれたものだったということになる。
「…私は、絶対にお姉ちゃんを見つけ出す。ただそれだけ。」
そのために、孤独な潜入を耐え抜いてきたのか…
「俺も、15年前に失踪した親父を探しているんだ。きっと東京封鎖に関わっている。…俺たち、似た者同士だな。」
俺はそう言って笑う。みすみんが暗い顔をしていたから。
「…とりあえず、目の前のバイトからだな! 次行こう!」
俺はそう言ってみすみんの手を引く。その時、遠くで歩いている男女が目に入った。
…快斗と、鑑見さんだ。珍しい組み合わせ。え、もしかして2人ってそういう関係なの? ショックなんだけど。
俺は咄嗟に隠れてしまった。みすみんも察して、隠れる。
「…決めた。仕事がないなら、作ればいい。透真、手を貸して。」
みすみんが小声でそう言った。え、今!? この状況で!? ってかしれっと名前呼び!?
俺はびっくりする。快斗と鑑見さんの方を見る。…ん? 2人が何か動いて…戦ってる!?
「千里透真を追え。その先に、答えがある。」
何やら話している。これは…遡先現の声。
2人はブースターを持っていないのか? 戦う様子がないように見える。俺が助けないと!
俺はブースターを腕につけ、そちらに走る。
「ブーストアップ!」
赤いアーマーを纏った俺は、遡先現に殴り掛かる。やつは紫の剣を作り出し、それを横に向けて盾にする。
遡先現。彼には、希薄な超能力が流れている。そしてもう1つ、別の禍々しい何かが流れていた。一体なんなんだ、これ。
「お前は何を抱えている?」
近くで、俺はそう聞いた。こいつは、予兆未来や融擬傀とも違った目的を持って動いている。
「知る必要はない。これ以上、俺に関わるな。」
遡先現はそう言って剣を振るった。俺はそれを躱す。ようやく戦う気になったか?
「次はないぞ。」
遡先現が姿を消した。おい、逃げるのかよ。
「2人とも、大丈夫か?」
俺はブースターを外し、快斗と鑑見さんに駆け寄る。みすみんも、ひょこっと姿を現した。
「あー…おう。気にするな。」
快斗が俺にそう言った。若干目が泳いでいる。
「怜奈、怪我は無い?」
みすみんが鑑見さんにそう聞いた。ちなみに怜奈は、鑑見さんの下の名前だ。
「うん、大丈夫だよ。ありがと、みすみん。」
鑑見さんはそう言った。2人はやっぱり仲がいい気がする。
俺がぼーっと2人を見ていると、鑑見さんがこちらを見て微笑んだ。
「私たち、実は小学校からずっと一緒だったんだ。」
鑑見さんがそう言う。え、ここも幼馴染!?
「いつも1人だった私に、怜奈が話しかけてくれた。」
みすみんがそう言う。なるほど…なんとなく、想像できるな。
「爆とは仲が悪いんだけどね。…じゃあ、私たち行かなきゃいけないところがあるから。」
鑑見さんがそう言う。そっか、2人はデート中だっけ…いや、付き合ってると決まったわけじゃないんだけどさ。
「私たちも、行こう。仕事が待ってる。」
みすみんが俺にそう言った。仕事…そういえば、仕事を作るって…
◆◆◆
ってなわけで、新しい仕事が決まりました!
メンバーは、俺とみすみん! 仕事内容は、なんでも屋!
その名も…超能力で、なんでも解決! サイカー解決所。
もちろん、俺たち2人で立ち上げたわけでは無い。…ってかむしろ、大体の手続きは比護守にやってもらいました!
アイドル活動のお金を渡す件で借りがあったからか、快く引き受けてくれた。多分大変だったと思う。ありがとう。
覚醒の一件で俺が人気となったこともあり、早速依頼は殺到している。俺の能力とも相性がいい。
「…よく思いついたね。流石みすみん!」
俺は事務所で、みすみんにそう言った。この事務所も、比護守に用意してもらった。完全タダだ。
「依頼を通じて、情報も集められる。お父さんのこと、何か分かるといいね。」
みすみんは得意げな顔でそう言った。なるほど、情報収集も兼ねてるのか…
みすみんは、俺の助手をしながらも、社長として頑張ってくれるみたいだ。
こうして、俺の仕事は決定。これからは大学生活とサイカーとしての戦いに加え、なんでも屋という3足のわらじ生活だ。
俺は綺麗な事務所で、深呼吸をするのだった。




