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19.ステート派のHP作り!

 俺の名前は千里透真せんりとうま


 なんでも屋、サイカー解決所で人々を助ける超能力者サイカーだ。


 今日も今日とて大学の授業を終え、事務所へと向かう。


 俺の大学生活は、いつの間にかただ授業を受けるだけになってしまった。


 サイカーは、SNSでは人気になったり応援されたりするけれど、学校とかで会うと結構恐れられる。

 普通の人間には無い力を持っているから、当然っちゃ当然か…幸い解決所の依頼は多いので、その辺からイメージを払拭していきたい。


 そんな風に思っていると、事務所に到着した。


「おかえり。早速だけど、依頼が来てる。」


 事務所に来て早々、みすみんがそう言った。


 みすみんは、依頼や金銭の管理をしてくれる。また、彼女1人でできそうなものは俺が大学行ってる間にこなすこともあるみたいだ。


 俺はというと…人探し、猫探し、もの探し。透視能力を持っているからか、探し物ばっかり。

 ま、この能力が世のため人のためになるなら喜んで使おう。

 さーてそろそろ、今日の依頼主がやって来る。


 事務所のドアが開く。ビシッと着込んだスーツの男がやってきた。なにやら大事か?


「初めまして。私はアイドル事務所のマネージャーをやっております、谷村たにむらと申します。」


 そう言って律儀に名刺を渡してくれる谷村さん。その名刺には、ステートの文字が。アイドル事務所ってまさか…


「私の依頼は、ステート派のホームページの作成です。我々の作ったホームページを守くんに見せたところ、デザインが古いと言われてしまって…」


 比護守ひごまもるのマネージャー、という訳か。依頼内容が超能力関係無さすぎてびっくりした。


「という訳で。じゃん、カメラ。」


 みすみんが取り出したのは、カメラだった。結構本格的だ。


「ステート派の拠点までは、私が送迎致します。」


 谷村さんがそう言う。事務所の窓から外を見ると、リムジンが止まっていた。おお、これが国家…


 ということで、逮捕された時ぶりにステート派へとレッツゴー!



 ◆◆◆



 はい、到着しましたステート派! リムジンとか人生で初めて乗ったなー。

 ホームページの基本は既に完成しており、俺たちのすべきことはデザイン部分。つまり、とびきりキラキラの写真を撮ればいいってわけさ。


 俺は部屋のドアを開け、入る。おお…

 以前は小綺麗だった部屋だが、今は一面に比護守のポスターが。

 アイドル活動の時の比護守は、ほんとにイケメンなんだよな…

 メガネを外し、前髪を上げている。ここまで変わるのか…


「千里!? これは一体どういうことだ?」


 突然押しかけたからか、比護守が驚いた。メガネにスーツのいつものスタイル。ホームページ作成は伝わってなかったのか?


「失礼。守くんが逃げないよう、サプライズという形を取らせていただきました。」


 谷村さんがそう言った。結構強引だ…


「はぁ、私の負けだよ。こうなったら仕方ない。とびきりのホームページを作ってくれよ?」


 比護守がそう言ってメガネを外した。アイドルモードだ。任せてくれ!


 俺はカメラを構えて意気込むのだった。


 それからはひたすら撮影タイム。数時間に渡ってあらゆる角度から比護守を撮る。ポージングや演出をみすみんが、そして俺がベストタイミングでシャッターを切る。


 一通り撮り終えた。次は編集。若者にウケるようなデザインにするため、とにかくかっこよさをアピールだ。


 もちろんレイアウトは親切に。後は各メンバー紹介だが…


吾妻あずま速水はやみ。2人の紹介も入れてくれ。」


 比護守のたっての願いで2人の紹介も入れることに。比護守が胸ポケットから写真を取り出し、見つめる。


「紹介するためにも、2人のことを教えてくれないか?」


 俺はそう聞いた。俺は2人と特に接点がなかったからな。


「あいつら2人は、親友同士だった。ラッパーでありながら、国に属した吾妻。スポーツ選手になる夢を捨ててまで国に尽くした速水。プライドこそ高かったが、2人は俺の誇りだ。」


 比護守はそう言って写真を見つめている。その写真には、比護守と吾妻雷太あずまらいた速水瞬はやみしゅんの3人が写っている。いい笑顔だ。


「あいつらのためにも、私は必ず世界を守る。だから、融擬傀ゆうぎかいを追うことにした。」


 比護守がそう言った。融擬傀とは、変装能力で速水瞬のフリをしていたサイカーだ。本物の速水瞬を殺してな。


「調べてみると、あいつが意図的に情報を操作していたことが発覚した。サイカーバトルを激化させるためか、都知事である俺の親父すらも騙し、君たちを危険人物であるかのように仕立て上げていたんだ。」


 なるほど、だから以前は逮捕なんて強硬手段に出たのか…


 それに、最近比護守と敵対しなくなったのも、国家の誤解が解けたからなのだろう。…てか、比護守のお父さんが都知事!?


 その時、部屋からサイレン音がなった。何事だ?


「化け物が現れた。すぐに向かうぞ、千里!」


 比護守はそう言って部屋を出る。俺も続いた。別で打ち合わせをしていたみすみんと谷村さんも外へ出る。


 俺たちは、谷村さんの運転で現場へと向かうのだった。



 ◆◆◆



 大きな山の麓。そこに化け物がいた。近くにいるのは、快斗かいとと融擬傀だ。


「化け物による妨害…やっぱり、この山には何かがあるんだね。」


 融擬傀が快斗にそう言った。快斗は返す。


「さあな。お前には関係ないさ。」


 こんな山に、一体何が? …とりあえず今対処すべきは、目の前の化け物だ。俺と比護守は車を降りると、ブースターを装着する。


「「ブーストアップ!」」


 俺たちがそう唱えて向かう。融擬傀がいち早くそれに気づいた。


「あーあ、いっぱい来ちゃった。じゃ、僕は帰るね。」


 物凄いスピードで姿を消す融擬傀。逃げ足が早すぎる。


 俺は化け物の方を向き、情報を見る。


 この化け物は、カメムシ型。特徴は、強い悪臭だって!? これじゃあ無理に近づけない…


「千里、助かった! 俺も戦う!」


 快斗はそう言ってブースターを取り出した。だがそれを、比護守が制止する。


「ここは私に任せてくれ。」


 比護守は自身のブースターに手をかけた。何か作戦があるのか?


『ブラッドインジェクト。出力レベル2。』


 ドーム状のバリアが化け物の周りに展開される。化け物はそれに対して一瞬ビクッとしたが、特にダメージは食らっていない様子。


「これでいい。後は少し待てば…」


 比護守がそう言う。直後、カメムシ型の化け物がひっくり返り、動かなくなる。どういうことだ?


「カメムシは密閉空間で、自分の放った臭いによって気絶する。」


 比護守がそう言った。え、そうなの!?


「なるほど! カメムシの出すガスにはアルデヒド類の成分が含まれているから確かに毒性がある。それが密閉空間にいることで高濃度になり、自家中毒を引き起こしたというわけか。」


 快斗が何やら説明する。でもごめん、全くわかんない。


「とにかく、今がチャンスってことだな!俺に任せろ!」


 俺はブースターのボタンを押した。


『ブラッドオーバーフロー。』


 無機質な音と共に、バリアごと化け物をぶち破る!


 攻撃を受けた化け物は見事に爆散。へっへーん、どうだ!


 ……って、くっさ! やばい、鼻がもげる!


「後先考えず突っ込むから…」


 呆れている快斗の方へ、俺は走る。早くここから逃げないと!


「…こっちに来ないで。」


 みすみんが鼻を摘んでそう言った。そんな、みすみん…


「同じ車には乗れませんね。守くんに万が一があってはいけないので。」


 谷村さんがそう言う。俺の全身から匂うカメムシ臭に、みんなが離れていく。


「…仕方ない、俺が送るよ。昔から自然とは触れ合ってきたから、この匂いも慣れっこだ。」


 快斗がそう言ってくれた。まじでありがとう…!


「うぅ…快斗…!」


 感極まった俺は快斗に抱きつこうとする。だが、それは避けられた。


「おおっと気持ち悪い。早いとこ風呂でも入りなよ?」


 無事に化け物を倒した俺たちは、もう夜なこともあり一旦解散という流れになった。




 ◆◆◆



「できた…!」


 あれから数日。ついに、ホームページが完成した。ステート派の紹介から比護守の活動。SNSのリンクやファンからのコメント紹介まで、完璧なデザインだ。


「よし、依頼完了。お疲れ様。」


 みすみんもにっこりだ。イレイス派の潜入を終えてから、みすみんの笑顔を見る機会も増えた。

 あと、実はほとんどがみすみんの手柄だったりする。俺がチャレンジして作ったデザインは比護守から酷評を受け、みすみんが作り直してくれた。

 田舎者にインターネットは早かったみたい。


 何はともあれ、無事に依頼は完了。この調子で、解決所の仕事も頑張っていくぞ!

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